
留学過剰考察
留学まであと大体20日ほどとなりました。そこで、2025年最初のnoteは、私の2025年の全てであるこの留学の計画にしようと思いました。留学前に一旦、留学計画を綿密に具体化し、マイルストーンに落とし込みたいといった意図です。事前に考えておく対象としては、どのような心構えでこの研究留学に望むのか、というのがメインです。タイトルは令和ロマンくるまの「漫才過剰考察」に肖っていますが、留学なんて、過剰なくらいに事前に考えまくった方がきっと良くなると思っています。ほぼ全て自分のためのものですが、似たような経験をされる方がいればその助けになれば良いなと思っています!
目標
まずは一旦、以前の留学のきっかけを書いた記事から引っ張ってこようと思います。大事なことだから忘れないように。
抽象的長期目標
私にとって光り輝いて見えるのは、自分が何かを成したことでそこから少しずつ、留まることなく影響の和が波及していき、私の知らない誰かをも幸せにしているという自分の未来の姿である。
これが一番根源的にやりたいことで、どうやってそれを達成するか?と考えると、やっぱ自分に一番合ってるのは以下のものなんじゃないかな、と思います。
具体/抽象中間的長期目標
量子コンピュータで社会に革命を起こす先導者でありたい。
量子コンピュータはきっと社会を劇的に変えます。それはサイエンスのフロンティアである量子を、社会にうまく結びつけ、サイエンスのあり方自体を根本から変えて、本当に今じゃ想像にもつかないようなワクワクする世界へと社会を導くはずです。(遠いかもしれませんが、、。)そんな未来において、やっぱ中心でいたいな、というのが私の願望です。ハードウェアを作るのか、それともそれありきで社会にどう応用するのかを研究するのか、また、それは起業という形を取るのか、どうなるのかはわかりませんが、一番自分に合っていて、レバレッジが効く、とでも言うのでしょうか、そのような位置で生きていきたいなと思っています。そんな遠い未来のための今回の留学です。もちろん、その中間にある海外大学院進学が念頭にあります。このような中・長期目標を踏まえ、具体的な計画に落とし込んでいくために、まずは以前の記事に書いた目標を引用しましょう。
留学中の目標(以前の記事に書いたもの)
・自分が物性物理の研究を心の底から楽しめるかを確かめる。(明日目覚めるのが楽しみかどうか)
・自分が研究に向いているかどうかを確かめる。(1年間で最低共著で1本は論文が出せるかどうか)
・自分で「こうやればうまくいくんじゃないか」というアイデアを「出す」。(帰ったら寝るまで論文を読み、朝研究室に着くまで論文を読み、能動的に考える)
・ボストン周辺で物理分野でPhD.→起業をした人にできるだけ話を聞きに行って、「PhD.→量子分野起業」の解像度を徹底的に上げる。
たくさん友達を作って、楽しく過ごす。
・最先端の研究者がいる量子コミュニティに入って、量子分野の温度感を把握する(どの方式が期待されているか、トポロジカル量子コンピュータがどれくらい可能性があると思われているのか、自分で意見を持った上で、それを確かめたい。)
これらを具体化して、事前に考えうるなるべく多くのことを言語化し切っておいて、肌で感じるべきところに集中できるようにしておきたい、と言うのがこれ以降で行うことです。それではどうぞ。
達成すべきマイルストーンとその具体的方法
研究を心から楽しめている状態、向いていると感じる状態とはどのようなもので、終了時にどうなっていたいか?
これは1年間で達成するタイプのロングタームの目標だが、ちょっとぼんやりしていて、自分にとって何が大切なのか不明瞭。そこで色々考えた結果、結論から言えば、「自分で裁量持っている感」が自分にとって大事だということに気づいた。これはどういうことかというと、1年間続けたインターンでの研究経験から体感的にわかったことだが、自分が楽しいと感じる時は大抵、「これだったら自分ならうまくやれるかも!」という感覚を持って議論の中である程度自分で裁量をもって自分がやることを決め、それを持って帰ってその感覚のまま研究して試行錯誤しつつもうまく行った時だった、ということである。これは「向いている」という感覚も多分生じさせるもので、なぜなら自分である程度主導権を握れている状態は、そのまま大学院に行っても大丈夫、という感覚を与えてくれるはずだからである。そしてその状態はさらにアイデアを自発的に出していくことにもきっと繋がるはずである。思い返せば、研究以外のところ、例えば進路選択などでも、自分で自分のやりたいことを決めることができるような環境に行きたい、仕事に就きたいと昔から思ってきていた気がする。例えば、もちろんこれは完全に個人の感想であり、それを選択しようとしている人や実際に働かれている人には尊敬の念が絶えないが、自分の場合に限っては、医者になるという選択が自然と選択肢から外れたのもそれが原因だと思われる。つまり、10代後半の時点でそれ以降の人生全ての裁量を(もちろん転職できるとはいえ)手放すことが、自分の感覚と調和しなかったということである。話を戻して、やはりこの留学では「自分で裁量を持てている感」を目指していきたいし、それをチェック材料に、というか、だんだん定量的にしていきたいと思う。(例えば、今週のタスクの何割くらいを自分で決められているか、サブグループのミーティングの発言量は何割くらい自分で占められているか、などである)もちろん、最初からこんなふうにはならず、一番初めに目指すべきは下記のハーバード大学院生との差を埋めていくことなので、最初の2,3ヶ月くらいは裁量持てるかどうかは一旦忘れて我武者羅に頑張ることになると思うが、長期目標としてはこれを目指していきたい。
実力を高める。
シンプルではあるけれど、この下の論文一本出したい、よりは優先度高く持っておきたいのでここにおいた。「実力を高める」とはどういうことなのだろうか。わからない。
単純に物理の基本的な理解度はハーバード大学院生と比べれば雲泥の差がある。それは絶対埋める努力をする。でもそれ以外は?研究スタイル?思考方法?何が隔てているのだろうか?新しいアイデアを産むためにはどんな力が足りてないんだろうか?論文を読んで1を聞いて1しかしれていないのが100知れるようになるまでには何が違う?そして最終的には、「どうすれば研究に貢献できるのか?」
わからないことが多すぎるので、具体的には事前に予定を立てることができない。なので、最初は言われたことをひたすらやるようにはなってしまうだろうが、後述のようにハーバード大学院生との差を埋めるべく、そしてさらには研究に貢献できるように、とだんだんと言語化してプランを立て実行するのを繰り返す方向へとシフトしていきたい。
最低共著で一本論文を出す。
これより上の二つではどちらかというと抽象的な目標であったが、具体的な目標としては、論文を共著でも出すことで目にみえる成果を出してやりたい、というものがある。これはまず第一には、海外大学院進学を見据えて論文があった方が出願に有利に働くのが間違いないし、さらには海外大学院へのアプライには(特に学部からだと)推薦状が非常に重要になるため、このような若造を迎えて入れてくださった研究室に対してきちんと貢献しておきたいというのがある。ただ、それに加えて、ただ純粋に自分の実力が上がったことを定量的に自分でも、外からも評価できるものとして、研究を論文化し切るところまで持っていくのも重要である。学部の1年間で出来ないという見方ももちろんあるが、正直自分次第だと思う。論文化の速度が速い研究室だからこそ、その波にうまく乗ってきちんと貢献できれば、射程圏内な目標だと思う。というかむしろ一本だと少ないくらいかもしれない。その際大事にしたいのが、「何を自分がどう貢献したのかを明確化すること」だ。過去の経験から、後で振り返って「あれ?どう貢献したんだっけ?」となるのは避ける必要があるとすでに学んだからだ。かつ、結局海外大学院進学のためなどでちょっと名前を載せてもらったとしても、それは実力づけを考えたり将来を見据えても、全く意味がないことだからでもある。だからこそ、「この人はこの部分で他の人と同じくらい貢献してくれたんだ」という状態で名前を共著に入れてもらうのが良く、さらに良いのは、研究室内の誰もが認める状態で主著で論文出すこと、ではあるが、これは達成確率5%くらいかもな、、でもそれくらい目標に据えておきたい。結果は蓋を開けてからのお楽しみ。
※後日、この辺りに関して現在ハーバード大学の研究者をされている方からコメントをいただきました。非常に重要なことだと思われるため、ここに引用させていただきます。
東大を経てハーバード院を出たハーバード在籍の研究者です。
この大学には本当に世界中から人材が集っています。研究領域に依るものの、非英語ネイティブが半数を超えることも珍しくありません。そんな環境では言葉以上に熱意の具体化こそが機会につながります。東大出身者は様々なことを考えることに長けており、個人的にもこの点はとても好きなのですが、留学中はともかく研究室と研究への貢献を最大化することに集中する、そしてまずはこのためにどういう貢献余地があるのかを出来るだけ具体的に見定めることに注力されるといいかと思います。言語の壁も環境の差も、教員や院生の多くが自分で経験しているので、誠実かつ必死に頑張っていれば必ず評価してもらえます。逆に、自己発見や内省に時間を費やしすぎて「貢献度が低い」とみなされる事例も少なくありません。この点は米国的な実力主義です。
ベンチマークとしては、2-3本で共著者に名を連ねさせてもらい、留学後もRAとして日本の夏休み期間に米国に呼んでもらえるあたりかと思います(これを満たせればハーバードを含む多くの大学のPhD入学が現実的になると思います)。頑張ってください。
(以下、私の返信に対して)
はい、私のコメントはご自由にご活用ください。
少しだけ付言します。米国に限らず、博士課程生の採用とは教授の後継者育成と学派拡大を意味します。したがって、どれだけ傍目に優秀で実績があっても自分の後継や学派を担える期待値が相対的に低ければまず受かりません。日本の学部の画一的な受験システムと全く異なり、あくまで研究分野や研究室との親和性が第一の問題です(なので、ハーバードの教授にUCLAへの出願を勧められるなども頻発し、その場合も推薦や紹介をしてくれます。これは大半の場合は優劣ではなく研究の親和性による判断です)。
出願審査プロセスは希望指導教官のみならずプログラム事務局や他の教員から成るcommitteeにより進められますが、当該教授にもほぼ確実に確認がいきます。この意味でも学部の間の留学やRA、共著などは研究人生の最初歩として致命的に重要です。
そして、将来どの大学の博士に出願するにせよ、必ずこれから留学中にお世話になる引き受け教授に照会がいく(それ以前に、出願時にこの教授の推薦状が無ければ強く怪しまれる)と思っておいてください。
実りある留学となられることをお祈りしております。
英語力について。
正直に言って、私の英語レベルはこうやって研究留学してもいいレベルではないかもしれない。スコアで言うとIELTSは7あるが、リスニングとスピーキングが特にダメ。でもそれ以上に(と言うか複合的に)自分にとって重要なのは、「英語のまま 論 理 的 に考える力」だと思う。今の自分にはこれが壊滅的に欠落している。友達と「どうやって論文読んでる?」といった議論をした時に気付いたのだが、私のメモは、整理はほぼ英語、疑問点は必ず日本語だった。つまりこれは、疑問点を言語化しようと思うと頭の中で論理的に思考しなくてはならず、それが日本語になっているという証拠である。つまり、これが意味するところは、「英語脳」で論文を読んでいてもそれは整理できて知識として入っているだけで、全く何も考えていない状態だということだ。(大学入試までは「整理」だけで全然耐えたが、今後はそうは行かない)うん、やはり、早く論文を読もうと思うと、この能力の低さは致命的だと思う。毎回日本語で論理思考しないと頭に入らないのだから。

ここまではReadingのお話。リスニングとスピーキングはやはり言わずもがなで、特にリスニングは、後述のラボミーティングで大事なので、頑張りたい。全体的な英語のレベルをどこまで上げるかに関しては、目標は「英語で知らない人と新しいことを議論するときの抵抗感が日本語を使った時のそれと同じくらいにする」がいいかもしれない。というのも、今後また海外で長期休みに研究経験を積む可能性はあって、その時は何かのプログラムで行くというよりは、個人的に直接メールを送って、zoomをして、そこでアピールして勝ち取る、みたいなことをしようと考えているからだ。これはPhD.出願の時も似たようなことをしなくてはいけないので必須の能力なため、これを目標に頑張っていきたい。また、以下のようにやはり留学中にいろんな人とコミュニケーションをとってその能力を上げるべく大学院留学されている方もいて、非常に納得したので、「英語」に限らずコミュニケーション一般にも重きを置ければ、と思う。
様々なPI[1]との共同プロジェクトから研究の裾野を広げ、論文数を増やし、科学へのインパクトを大きくしていくのは人脈とコミュニケーション能力がないとできません。
分野の中心に入り込むコネクションとコミュニケーション能力を得るための大学院留学。
月一くらいでセミナーなどに参加する。
できるだけネットワークを広げたい。これはいろんな人に会うことで、その後のつながりを作るだけではなく、その人の考えを吸収することで、自分自身の選択にも役立てたいし、また物理の理解という側面からも、見聞を広めて解像度を上げていきたいといった理由がある。ボストンにはやはり大学が集中しているので、以下のように定期的にセミナーやシンポジウムを調べて積極的に参加するようにしたい。頻度は大体月一。頭に入りやすくするためにセミナーの内容の事前調べは徹底しつつも、後述の完璧主義は捨てる作戦でなるべくいきたい。
https://www.physics.harvard.edu/sites/projects.iq.harvard.edu/files/spsbook24-25.pdf (これは授業リスト)
海外大学院進学で、自分が求める要素の解像度不足
例えば以下の記事の決め手で上から順に、「研究内容」「指導教員との相性、指導方針」「ラボメイトの雰囲気」「知名度」「研究室の規模、財力」「経済面」「周辺の環境」、、、、などが「どう」だったら自分にとっていいのかがあまりわかっていない。つまり、「どのような研究内容であれば良いのか」「どのような指導教員と相性がいいのか」「ラボの雰囲気はあかるいほうがいいのか、真面目な感じの方がいいのか」などに対する回答を得たい。これの確信度を深めるために、これらの項目についてどう考えたのか、せっかくハーバードに行くので、周りの人にインタビューしてみたいとも思う。
スケジュール
流石に再渡米以降が全然具体化されていないので、途中帰国の時に綿密に冷たいと思う。これは一度ある程度自分で建てた上で、この文章全体をコピーして、ChatGPTo1と壁打ちして作成しました。
1. 渡米後(2月12日〜5月上旬まで)
2月12日 到着〜2月末
(1) 生活の立ち上げ
2〜3日以内に銀行口座開設・SIMカード手配・滞在先のルール把握など必須タスクを完了
食材調達、公共交通のルート、初期生活用品をそろえる
自炊の頻度・大まかな献立を決めておき、健康第一を意識
(2) 研究室でのオリエンテーション & 人間関係構築
サブグループのメンバーに自己紹介:自分の背景・研究経験・興味分野を簡潔に伝える
週に最低1回はグループメンバーと昼食 or コーヒーブレイクに行くようアプローチ
研究室のセミナーやミーティングのスケジュールを把握し、必ず参加(わからないことはメモ)
(3) ラボミーティングの予習と質問
事前に発表者に「どんな話をするか」軽く聞き、その関連論文をチェック → 興味・疑問点を2つほど用意
ミーティング当日はメモを大量に取る。終わったらすぐ発表者 or 先輩に質問
わからないところをため込まないよう、「後で全部聞きにくる人」キャラを早めに確立
(4) 自分の勉強ルーティーン確立
平日:朝〜夜の大枠スケジュール(例:午前は実験・解析、午後はディスカッション、夕方1時間は文献読む)
週2回以上は誰かと食事をとる時間を固定化して「会話する習慣」を作る
水・日曜の夜に1時間の内省タイム
研究の進捗、わからなかった点、コミュニケーションの課題を洗い出す
改善策を翌週にすぐ反映
3月
(1) ハーバード大学院生との差を言語化
3月前半:研究室の大学院生やポスドクに「どう学んできたか」をヒアリング
研究スタイル・メモや議論の仕方・文献へのアプローチなどの「違い」をリスト化
その差を埋めるためのスキル習得計画を立て、教授や先輩にアドバイスを仰ぐ
(2) 3月上旬に“5月までの研究目標”を明確化
「5月帰国前までにどこまでデータ・解析を進めるか」
必要となる理論 or 実験スキル一覧を洗い出す
週次ミーティングなどで進捗確認 → タスクを細分化し、ToDo管理
(3) 英語力強化
リスニング強化:ミーティング録音を週1回文字起こし→AIツールで要点整理
スピーキング強化:議論する相手を週1人は変えてみる(固定メンターだけでなく他の学生とも)
4月
(1) 研究に集中する1か月
3月に立てた“ギャップを埋めるプラン”を本格実行
ラボミーティングでは最低1回は発言することを目標に(質問でもOK)
完璧主義を捨て、早めにアウトプット → フィードバックのサイクルを回す
(2) 月1セミナー参加 & ネットワーク拡大
4月中に1回は学内 or 周辺大学のセミナーに行く
可能であればセミナー後に発表者に挨拶して、名刺 or 連絡先交換
トポロジカル量子コンピュータなど、興味あるテーマのセミナーを狙う
(3) コミュニケーション面の継続強化
1週間の昼食・夕食14回のうち 最低10回は誰かと、の目標を再確認
週1〜2回は運動やスポーツを誰かと一緒に → ストレス発散+会話機会確保
5月(5/7一時帰国・5/12再渡米まで)
(1) 5月上旬までの研究総括
5/7帰国時点で、「自分がどこまで貢献できたか」「今後の論文化のめどはどうか」を言語化
中谷財団ARIP成果報告会に向け、発表用に進捗まとめ
(2) 一時帰国中(5/7〜5/12)
周囲からアドバイスをもらい、再渡米後の研究計画を練り直し
アメリカのメンバーとの連絡を絶やさずに、Zoomミーティングなど挟めるとベスト
「夏に向けてどの部分をリードしていくか」相談・確定
(3) 5月後半(再渡米後)
戻った直後にラボと面談し、残り7か月の詳細計画を合意形成
可能なら自分の裁量を増やす方向で交渉(どこまで任せてもらえるか)
研究以外でも「セミナー発表」や「外部コラボ」など挑戦できる余地があれば打診
2. 再渡米後(6月〜年末までの流れ)
6月〜8月(夏休み期間・研究集中期)
(1) 研究優先期
夏休みで周囲が少し閑散とするタイミングを逆手にとってラボを使い倒す
「英語で議論する抵抗感を日本語と同じに近づける」のを意識し、日常会話+専門議論を強化
共同研究や外部コラボがあれば積極的に参加
(2) 論文投稿を見据えた具体的作業
データ取り・解析・議論を詰め、9月〜10月の投稿を目標に動く(研究室のペースに合わせ調整)
自分の貢献ポイントを意識して、毎週の進捗報告の中で「ここは自分が主にやっている」という形を作る
(3) サマースクール等への参加(8月頃)
興味のあるサマースクールや学会があれば情報を集める
可能な限り参加することでネットワークを拡大し、量子分野の温度感を吸収
9月〜12月(秋学期〜年末まで)
(1) セミナー・シンポジウム参加の再拡大
大学が新学期で活気づくタイミング。月1以上を目指し幅広く聞きに行く
事前調べ&当日積極参加 → そのままラボや個人への見学・アポ取りに繋げる
(2) 論文作成(共著 or 主著)
研究成果がまとまり次第、論文化の具体的スケジュールを担当教員とすり合わせ
共著でも自分の貢献箇所をはっきりさせる →「何を自分がどう貢献したのか」を書き出す
(3) 海外大学院進学に向けた解像度アップ
周囲のPhD学生や起業経験者へのインタビューを本格的に実施
「どんな指導教員が合うか」「ラボの規模や財力はどう見るか」など具体的質問リストを用意
自分の希望を徐々に定義していく(研究テーマ、研究室の雰囲気、卒業後のキャリアなど)
1月(帰国前の最終調整 & アメリカ横断)
(1) 研究室訪問の旅(西海岸まで)
1月元日〜10日頃までにかけて、興味のある研究室にアポを取り訪問(可能であれば)
祝日などが多い時期なので、訪問可能かどうかは事前に確認必須
訪問が難しければオンライン面談に切り替えるなど、柔軟に対応
(2) 帰国前の総括
自分の研究成果を整理 → 海外大学院を含めた次のステップにどう活かすかを言語化
今後も継続したい共同研究やネットワークへのお礼・連絡先交換・SNS/LinkedInで繋がる
「1年間でどれだけ成長できたか」「裁量を持って研究できるようになったか」を自己評価し、次の目標を立てる
助けを借りたものの、やはり再渡米後は特につまり切っていないので、帰ってきた段階でもっと具体化したい。
留学期間中の後悔を先取りしよう
研究について行けないのではないかという不安
この悩みは留学まで2ヶ月~1ヶ月で自分のメンタルを過去最大級に削ってきたものだった。今やっと立ち直れたが、結論から書くと、もっとも大事なことは、「ついていけるかどうか分からずに不安」と思うのでは無く、「差が大きければ大きいほど、明確な急成長の余地がそこにある」と捉え直すことだった。やっぱり1番大事にしたいのが「自分の成長」であるとするなら、世界トップのハーバード大学院生と現在の自分との差を何が明確に産んでいるのかを明確に言語化し、それに対して取り組むことができるのであれば、差がある状態というのは、自分にとって最も嬉しいことであると考えることができるということである。どう成長していいのかわからない環境より、目指すべきかつ目指したい姿がそこにある環境ってなんとまあ成長しやすいところだ、ということである。また、「ついていくことができていない」という状態と「何をやるべきかがわからない」は分けて考えるべきであり、前者は仕方ないと割り切って、後者をできるだけ早く解決することが最も大切である。その言語化の方法は、自分で考えるだけでなく、教授・メンター・友人に相談する、ということも含まれる。周りが差があったとしても、何をやるべきかが明確でそこに真摯に取り組めていれば、何も問題無い!こう考えることができるようになった瞬間、一ヶ月近く不安でモヤモヤしていた気持ちが氷解した。これは、自分では留学に対する不安が拭えなかったときに、友人Kに相談したところ上手く言語化してもらえたことであり、そういう意味でもやはり他人に相談する機会を定期的に設けたいなとも思う。話を戻して、やはり一番念頭におくべき「自分がどれだけこの留学で成長できるか」であって、「それまでの過程でどれだけ不甲斐ない自分がいても無問題」で、理解に差がある状態などを恥ずかしく思う必要はなく、ほとんどすべてのことは些細なことだと割り切るべきだ!ということである。やっぱり、この留学で、世界トップの環境に浸かって1年間過ごせることはこれほどになく素晴らしいことで、ちょっとでも彼らに近づけたらいいやとポジティブに考えたい。もしこの割り切り方でもなお病みかけたら、たとえ実力不足でも最高の環境にいきなり身を置く決断をできた自分を一旦褒めてあげて、立て直したいと思う。それらの上で、論文を書くとか、ラボに貢献するとかがついてくるのだと思う。
ラボで全く馴染めず、図書館に籠る日々になってしまう説
これは全力で避けたい。自分の経験上、コミュ障を発症して「今は自分の能力が足りないから勉強するタイミングだ」と言い訳する可能性がある。(前回の研究留学でも図書館に籠る休日が多かったが、半分はハーバードに行くための勉強、一方で半分はコミュニケーションからの逃げだった気もする)今回の留学ではこれを徹底的に打破しにかかる。基本的なスタンスは、上の些細なことは気にしない〜で大丈夫な気もするけど、戦略として言語化しておくのも悪く無いと思う。
大量の話してみたいことリストを準備しておく。これは、大体話し始めて仕舞えば楽しいが、最初なんて声かけていいのかわからないという半コミュ障くらいの人間がよく発症するそれである。このリストは別の章に一部書いておく。
下記のラボミーティングでわからなかったところを全部メモしておいて、この昼飯の時間に質問するのもいいと思う。また、その人の論文を読んでおいて、興味あるからちょっと研究について教えてくれない?みたいな感じで話しかけるのは最初の方はできることだと思う。
上記の、海外大学院進学に関する解像度上げのための聞きたいことを、どこかのタイミングでラボの全員に聞いて回りたいなとも思う。
メンターとかとは深く仲良くなりたい一方で、知り合いにこういう人いない?みたいな感じで、わらしべ長者(?)的にどんどん他の人に繋げてもらうというのも頭の片隅に置いておきたい。思わぬ出会いを大切にしていきたい。
こっちにきて驚いたことを発言して、それがなぜそうなっているのか聞いてみる
どこか一緒に休日連れて行ってくれない?と自分から誘ってみる。それに限らず、一緒にスポーツしない?とかも。
何かおすすめの(人生に影響した、とかの方がいいかも)本ある?と聞いて、その本を休日に読んで、それについて話してみる。
ラボミーティングで全く発言・質問ができないんじゃないか説
議論についていくための方法
事前に何が話されるのか、把握しておく。誰が発表するのかがわかっているのであれば、その人にどんなこと話すのか聞いておいて、関連論文を読んでくる。正直ここまでしないと今の俺じゃついていけないと思う。でも、それをやりさえすれば、そこから得られるものってめっちゃ大きい。シンポジウムとかでも、事前に送られてくるabstractから関連論文目を通してから講演聞きにいくだけで全然違うから。その上で、疑問点とか整理していければ最高。
議論について行けなかった時の対策
とにかくメモを取ることで、この人は議論に参加しようとしているという態度を少なくとも見せる。わからないところはメモするし、後で議論したいところもね。
ラボミーティングを文字起こししてAIの助けを借りる。絶対聞き取れないところ出てくるから、それを流すのではなくて、もう自分のリスニング力は信頼せずに、頼ってしまうのも悪くない。
「後でわからないところを、わかってるふりをせずに全部聞きにいく奴」というキャラを早い段階で定着させる。
相手の時間がないんじゃないか、とかは、相手に時間がないからごめん、と言われてから考えれば良い。
最初からやることで、相手が答えてくれやすくするのはもちろん、質問が苦手な自分の心理的ハードルを下げる役割もある。
その時注意したいのが、自分がわかっていないことを等身大でお伝えすること。質問される側の気持ちになれば、相手が何を理解できていないのかを理解しないとうまく答えられないのはもちろんのこと、相手からすれば「単位時間にどれくらい理解してくれたか、がコスパである」という考え方も重要である。そもそもどれだけ「知っていた」かではなくて、その場でどれだけ理解してくれたか、の方が「教えてよかったぁ〜」ってなる。つまり、後1ヶ月で特に強化すべきはリスニングの方じゃないか!とにかくシャドーイングとディクテーションひたすらやるか〜という感じ。ちなみに上の言葉はまた友人Kからいただいた言葉。
以下は2年前にハーバードに行った先輩の留学体験記に書かれていた金言。
「議論に入らなければ存在しないのと同じになってしまう」「議論が分からなかった時には自分なりに整理して後で聞きに行く」「実験をしながら、理論を勉強しなきゃいけない、アイディアでも存在感を出せるように」「(自らの研究内容を守秘することに関して)どれだけ優しい人だと感じてもノーガードで居てはならず何かあったときの準備をしなければならない」など、どのような困難を先生方がどのように乗り越えてきたのか、というお話とともに伺い、苦しいときの指針となっております。
完璧主義を拗らせて「今はまだその時じゃない」思考になる説。
上記の、「わからないところがあった時にすぐ質問に行く」を阻むのがこの厄介な思考のくせ。自分の理想が高いのも作用して、「こんなこともわかってないのか」と思われたくない、思われたら恥ずかしい、と考えてしまって、自分で論文読んだり勉強したりAIに聞いたりして解決しようとしてしまう可能性がある。でもそうじゃなくて、自分のわかってない部分を曝け出して聞きに行ってポジティブなループを回して行った方が、やることも明確だし絶対良い。完璧になることなんて絶対ないし、そこに果てしない時間をかけようとする癖をいい加減直そう。自分より多くを理解している人に指導を仰ぎに行った方がいい。
大体、二ヶ月くらい行動が遅いがち。二ヶ月前に行動していればもっと楽だったのにーー。みたいなこと本当に多い。自分の能力が足りてないのが嫌で、2ヶ月くらい経ってからならそれ埋めて話せるでしょう、みたいな思考になると、大体二ヶ月経ったら解像度が上がってもっとわからないところが出てきて、結局、deadlineが来るからそろそろ行動しないと、と言ったふうに、ネガティブな感じでしか行動できない。「これやったら楽しそう、ちょっと背伸びになるかもだけど」くらいで行動してくれぇ、未来の自分よ。というか今の自分。
1週間に昼ごはんと夜ごはんは合わせて14回あるが、そのうち10回は誰かと一緒に食べよう。
多分1人で食べがちになってしまうご飯。非常に良くない。自分はMBTIでは最初がEになる方とはいえ、メンタルのHPもそんなに高くない。理性でなんとかしようとしても、ずっと初対面の人と、特に英語でコミュニケーションし続けられるほどの体力がない。でもだからこそ、食事だけはせめて誰かと取るようにしよう。中途半端なEなので、誰かと話していないとメンタル逆に安定しないので。
水曜日の夜と日曜日の夜は内省の時間を最低1時間取る、負債があるなら精算する。
私はやはり内省大好き人間なので、これを無くすと非常に良くない。以前は1週間に一回にしていたが、意外と1週間だと軌道修正するのには自分には期間が長すぎることに最近気づいた。だいたい火曜日くらいで何かが起こって、それ以降の予定がうまくいかなくなったりして、なんだかんだ週が終わる頃には目標の多くが達成されてなくて翌週に持ち越し、みたいなことが起こる可能性があるから。
身体的な休息もシステム化する。
お察しの通り、内省や対話が大好きな自分は、身体的に休息する、運動して代謝を上げるなど、脳のパフォーマンスに間接的に大きく影響するものをおろそかにしがち。そうするのではなくて、最終的な目標とうまく整合するような身体的休息を、ルーティーンとして取り入れたい。行ってから決めるが、例えばサウナに行ってみる、筋トレする、メンターになってくれた人と一緒にスポーツクラブに入ってみるなど。特に最後のものは、一緒に何かをすることで、研究を通じたコミュニケーションが仮に難しいと感じる時期があったとしても、それを打破するきっかけになるかも??
健康を大切にしよう。
これは健康を蔑ろにしてしまいがち(気をつけなくてもなんとかなってきてしまった)な自分に対して、「健康と感謝」をモットーに生きている友人Iからいただいた金言。ものすごく基本的なことではあるが、これは多分めちゃくちゃストレスのかかる留学下で改めて大事なことで、特に今回は以前の夏の留学と異なり3食全て自分でなんとかしないといけない(さらに、節約したいからなるべく自炊にもなる)ので、非常に気をつけようと思う。健康を大切にすることは、「病気にかからないため」ももちろんあるけれど、「普段のパフォーマンスを向上する」といった0からプラスといった意味が強く、それは普段全く意識できていなかったことだった。例えば朝起きるにしても、それまでに何を食べたかで多分どれだけ気持ちよく起きれるかも変わるし、睡眠の質も変化するのだろうと思う。本質的に「自身の成長」をこの留学の目標に据えるなら、それのために健康に主体的に気を遣うのも生合成が取れていて、しっかり「プロ意識(?)」を持って探求してみてもいいかもしれない。以前の留学ではなぜかパスタを極めたが、今回は「アメリカでの健康な食事を極める」という副題があっても面白いかもしれない。
友人と話す機会を強制的に設けるようにする。質問攻めにしてもらう。
私はこの2年間で人との出会いに恵まれ、多くの深く話せる友人ができた。この留学計画も、友人と話すうちに言語化されてきたものも多いし、彼らとの過去の対話が今の自分の考えを形作っているものもたくさんある。彼ら、彼女らと話すのをやめる理由は全くない。1人で戦うスタイルに自分を追い込む必要がなければむしろ多分逆効果だし、どちらかというと客観的にボコボコにフィードバックして欲しいくらいである。みなさん話しましょう。これも上記と同じく、システム化していきたい。(月一開催することにしました。)
睡眠は絶対に削らない。
人生は長期戦であって、睡眠を削るスタイルは何度も試したからもうわかるが、自分には合わない。どこかで削ればどこかで必ずその代償を払うことになってしまうからである。規則正しく、短期ではなく中期で結果を出すスタイルにしたい。一方で、7時間寝さえすれば残りの17時間は動けるので、そういう意味では十分かもとも思う。
どれくらい本を読むべきだろうか。
定期的に読書はしていきたい。休日に論文読んだりする代わりに、月一くらいで一冊何か読む日を作ってもいいかも。それこそ、何かおすすめの本ない?みたいなコミュニケーションの仕方もめっちゃいい気もする。ある人の人生に影響した本を読むことで、それについてその人と対話しやすくなるし、英語の勉強になるかもだから、非常にいい対策な気がするな。
研究とその他余暇だけで時間の裁量が大きすぎるかも?
一年生の時は、自分で自由に使える時間が少なすぎた一方で、2年生の時は裁量が大きすぎて、逆にだらけてしまうといったことが起きた。それを避けるべく、1週間の時間のうち裁量がある(拘束されない時間の存在)ものは、ある程度の割合であるべきで、そのグラデーションのどこなのかは人それぞれ、と気づいた。今回の留学は(多分研究忙しいからそんなことないけど)もしかしたら裁量ありすぎる可能性もあって、別の何かを意図的に入れた方がいいんじゃないか、という可能性もここに書き記すことで頭の片隅に置いておきたい。基本的には研究に没頭、ではあるが。
最後に
いろいろと書いてきましたが、こういう計画で大事なのは、やはり高頻度の軌道修正だと思います。目標を妥協するという意味ではなく、やるべきことを何にするかを適宜調整していかないといけないという意味です。特に、実力をつけたい、のところは、正直何が自分に足りていないのかわからない、何をしていいのかわからない、といった部分があるので、周りの人をよく観察し、よく質問して、1週間単位で達成していければなと思っています。その都度出すかはわかりませんが、その時々に考えていたことはきちんと言語化した上で残しておき、同じ轍は2度と踏まないようにしたいと思っています。
まとめると、英語や研究の実力不足を感じるシーンは間違いなく多いはずだが、以下の2つを大切にしたい。
そこは 「差があるからこそ、成長できる余地が明確」 と捉えてポジティブに。
自分の成長・新しい気づきを優先するスタンスで動き、結果として大きく前進することを意識する。
この研究留学が終わる頃には、「まだ終わらないでくれ」と思えるくらいに楽しむと同時に、「やれることは全てやった」と思えるくらいに研究に没頭し、多大なる成果と成長をもって日本に帰国したいと思う。2025年を彩ろう。
2025/1/28 少々追記しました。今後も良い方向へ考えが進展した時にはこのnoteを更新していこうと思います。何かアドバイス等あればぜひコメントへお願いします。励みになります。