エッセイ | 言わぬが花 | #青ブラ文学部
大勢の人に言わないまでも、生きていれば毎日誰かしらに自分の思いを伝えることはしてきた。嬉しいことは相手にも一緒に喜んでもらえて、つらいことは相手に大変だねと同情してもらい、慰めてもらったりもしてきた。思いの全てを吐き出すことが良いと思い込んできた。
しかし最近はどうかと言えば、嬉しいことも口にしなくなってきた。特に嫌な思いをしたときは、愚痴を溢さないほうが心のバランスがとれている。口にだせばだすほど、嫌な気持ちが増していくことに気がついたのだ。
言わぬが花
職場で口を出すことをやめた。
聞かれたら答える。頼まれたら調べる。
ちょっと嬉しいことがあっても、自慢したいことがあっても言わない。
これが言わぬが花なのかはわからないが、とにかく心の奥底までは解放しないことに決めたのだ。
私は困っている周囲にはすぐに気づいてしまう欠点がある。親切な人…のつもりで行動していても、相手にはお節介にとられている場合が多いのだ。かえって影で悪口を言われることになる。
※口を出さないのは、あくまで職場の話で、家族や公共の場で困っている人がいれば、もちろん声をかけます。
知らぬが仏
できるだけ耳を塞ぐことにも専念している。わざと聞こえるようにこちらに向けられている会話も聞かないし聞こえないを心がける。
しかしこれにはなかなかの技がいる。まずは目の前のことに集中し、他のことが目に耳に入らないよう、無になることに全集中だ(どこかで聞いたセリフ)。
命にかかわることでないなら、敢えて知らない方がよかったことも多いはずだ。
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これからどう生きていくか考える上で、暗々裏に事を進めることは大事だと判断している。下手に誰かに相談すれば、横槍が入るに違いない。
最近、このように考えていたことと、初めて耳にした『暗々裏』が私の中でピタリと重なり合ってとても気持ちがいい。
口は災いの元
ついでに余計なことは口にしない。
日光東照宮の三猿
見ざる 言わざる 聞かざる
小学生の時に修学旅行で見たこの猿たちの意味が、ようやく最近理解出来る大人になったのかもしれない。
青ブラ文学部の企画に参加しました。
2作目です。
山根あきらさん
いつもありがとうございます。
『暗々裏』勉強になりました。
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