部屋にいたの | #誰かに言いたくなる恐怖体験
もうずいぶん前のこと…
友人と二人である島を旅した時の出来事です。
古いホテルでした。
部屋は和室でとても広くトイレはもちろん、別でお風呂までついていました。
部屋に通され、これから靴を脱ぐとき、部屋の壁に大きなゲジゲジをみつけました。
私は素早くスリッパを持ち、靴を脱ぎ捨て、ゲジゲジの壁に向かって走りスリッパの裏を叩きつけました。こんな大きなゲジゲジがいたら、布団に入ってきてしまうかもしれない。寝るのが怖いと思ったからです。
友人は
「やめて!いいじゃん虫くらい!」
と叫ぶのです。
「え!ダメだよ!寝られない!!」
結局、私はそのゲジゲジをやっつけました。
その時は気が付かなかったのですが、友人の様子がおかしいことに徐々に気づきはじめます。
◈
お風呂に先に入る私に友人は言いました。
「ドアを開けたままでもいいよ!」
ん?変なこと言うな…
これはおかしいぞ…
「え?大丈夫だよ?閉めて入るよ~」
この変な会話の後、私は怖くなってきました。絶対にこの部屋に誰かがいるのだと確信しました。その友人は強い霊感があり、これまでも色々な体験をしてきたのです。
友人には大丈夫と言ったものの、どこにいるのかわからない霊に怯え、ゆっくりお風呂にも入れず、カラスの行水状態で入浴を終え、友人と交代しました。
「お風呂のドア開けておいていい?」
やっぱりおかしい!
いるんでしょ?
いるんだよね?!
でもそうは聞くことが出来ませんでした。
旅行ですから、少しでも楽しい時間を過ごそうと思ったのです。
友人は本当に風呂場のドアを開けたまま入浴しました。短い廊下があるものの、和室から丸見えです。もちろん見ませんけれど。
◈
怖いのは風呂だけでは済みませんでした。友人は、部屋の照明をつけっぱなし、テレビをつけっぱなしで寝ていいかと聞くのです。
あ~!!
決定的でした。
いるんだね!
いるんだよね?
でもやはりそう聞くことは出来ず、
「いいよ」
と、言ったものの、テレビも照明もつけっぱなしで寝られるわけがありません。眠れないので、友人が寝息をたてて眠っているなぁと確認してから、テレビも照明も消して眠りました。
でも少したつと目が覚め、消したはずのテレビも照明もついているのです。友人がつけたのです。
また寝られなくて、少しして友人が寝たことを確認し、テレビも照明を消す…
これを2回繰り返し、私は暗い部屋で眠ることを諦めました。よほど怖いんだな…
お化けめ!どこにいるんだ!
こわいんだよ~~~
◈
一泊旅行だったので、翌朝になると気持ちが楽になりました。
お化けとサヨナラだ!
ホテルをでて、観光している時に友人に聞きました。
「いたんだよね?」
「うん」
「どこにいたの?」
「ゲジゲジがいた壁に立っていたの」
ひ~~~
私はお化けをバンバンスリッパで叩いたことになる!!なんてことをしちまったんだ!!
友人はホテルに入ってすぐ、広くて長い廊下で、それを感じたと言います。部屋に入る前から感じていたのです。
気を使って言ってくれなかったのだろうけれど、めちゃくちゃ怖かったんだからね!次に一緒に旅行するときは、お化けがいるって言ってよね〜
◈
私に霊は見えませんでしたが、見えないのにいるんだね??って、恐怖がとてもつらかったある一夜の話でした。
その後、その友人とサイパンへ行きましたが、ホテルの部屋に入ってすぐに
「いる?」
「いない」
「ほんとだね?!」
とやりとりがあったことは言うまでもありません。
Mr.ランジェリーさんのお題に参加しました。
いつもありがとうございます。