逢いたい人 ｜ #青ブラ文学部 ｜ #毎週ショートショートnote
大好きなおじいちゃんが死んだ。
泣き暮らしていたある日、おじいちゃんから聞いたオバケレインコートの話を思い出した。雨の日悲しみに暮れひとりで歩いていると現れるという。
逢いたい！
毎日祈った。祈りの雨
雨こいっ！
ある日の放課後、雨がポツポツ降り出した。雨足が強まる中、やっぱ迷信だよな…とクスッと笑ったその時、前方にふわっとした白いものが見えた。
あっ！
白いものはすうっと滑るように近づき目の前で止まった。
｢逢いたい人がいるんだね？｣
僕はうんと頷いた。
すると白いものはふわりと頭上に大きく広がり、僕はあっという間にそれに包まれた。
不思議な空間の中、目の前にはにこにこ笑ったおじいちゃんがいる。
｢何泣いてるんだ？｣
｢だって…｣
｢俺はここにいる｣
あっ！
おじいちゃんは僕の胸をポンポンと軽く叩き、すうっと消えてしまった。
いつの間にか雨は止み、空を見上げると大きな虹が出ていた。
そこには僕しかいない。
僕は胸に手を当て前を向いて歩きだした。
【410文字】
青ブラ文学部、たらはかにさんの企画に参加しました。
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