[かもめ大学 vol.5]総括・考察
2019年10月中旬に、北欧の国フィンランドへ行ってきました。
目的は、教育先進国と言われるフィンランドの教育現場を視察し、肌で感じること。
今回はかもめ大学さん主催の7泊9日のスタディツアーに参加しました。
2014年から開催しており、今回が9回目だったそうです!
今回のツアー参加者は全員で10名、保育園の先生、自営業されている方、車椅子の女子高校生、研修会社勤務の方、などいろんな職業のメンバーが集まりました。
まずは、フィンランドの様子から。
フィンランドの10月は秋、ちょうど紅葉がきれいな時期でした。
(ただし、日本人にとっては12月のクリスマスくらいの気温です)
冬至に向かっていく時期で太陽が出ている時間が短く、かつ曇りがちなので、朝焼けを見るだけで感動しました…!
他にも、かもめ食堂で出てきたマーケット、
自然岩をくり抜いて作られたロックチャーチ、
冷戦時代に対ロシア要塞として使われた歴史遺産スオメンリンナ島など、
フィンランドの魅了されてきました。
この記事では、自分自身が現地で感じてきた、フィンランドの特徴や強み、良さを紹介します。
特徴①:日本のようなウェットさと、欧米のような合理的思考の融合
・挨拶、気遣い、対話など、感情を大事にするウェットな文化と、
クリティカル・シンキング、目的思考、客観視など、ロジカル思考の文化
の2つを両立させながら、うまく使い分けることができている。
・スウェーデンやロシアなどの他国に支配され、他国により経済崩壊した歴史、
人口・地理的な制約(国土の7割が森、日本と同じ国土に550万の人口)
を踏まえて、"人に育て質を上げるしかない、それで国を立て直すしかない"
という危機感を国全体で持てたことが教育への大きな原動力になっている。
・改革当時は、国力回復のため、主体的な対話力・学習力を育てる必要があるが、
それは学力調査では測定できないため、単一的な学力評価をやめ、
個性を認め、活かす教育や起業家精神の提唱へと考え方自体が
パラダイム・シフトしていった経緯を持つ。
・そのため、受験がなく、テストもない。成績を上げることが目的の教育では
なくなるので、私立や塾もない。
特徴②:ものづくり(アート・デザイン)への情熱
・特徴①とも絡むが、資源がない、人もいないという状況だからこそ、
0から1の価値を生み出すアートやデザインなどものづくり産業が勃興したのでは
と感じた。
・マリメッコ、イッタラ、アラビアなど有名ブランドはさることながら、
カウニステ、フィンレイソンなど実際に様々な雑貨屋さんを街中で見かける。
(そしてどれもシンプルで、おしゃれで、ハイセンス!)
・イッタラやアラビアなど長い歴史を持つブランドもあるが、
カウニステは2008年に若手デザイナーが集まって結成されていたり、と
今でも若い人が企業し、愛される会社になる例も。
また、それぞれの会社が、時代に左右されない確固たる理念を持っているのも
素晴らしいと感じた。
・フィンランドでは、学校でも街でも、アートは身近なものとされており、
子供が描いた絵をすぐに展示したり、その展示を市民が見れるように開放したり
日常使いの食器のセンスが良い、など普段からアート・デザインに興味を持つ
機会は日本に比べて相当多いと感じた。
・一方で、アーティストを職業として生活できているのはほんの一握り、という
現状もあり、それがお金を稼ぐ価値を出すにはどうすればいいか、という思考に
自動的にさせているようにも感じた。
特徴③:性善説
・フィンランドの公共交通機関は、基本的に性善説に基づいている。
トラム、メトロ、VR(日本でいうJR的な鉄道)、どこにも改札が存在しない。
チケット売り場があり、そこで買ったらあとは自由に乗り降りが
可能になっている。
・もちろん、たまにチケット確認員が抜き打ち調査に来るため、
その時点でキセル乗車をしている場合、罰金(トラムだと70€)を取られる
が思想としては性善説に則っている。
・教育機関も、生涯教育を推奨しているため、小学校から大学まで無償
(最近は移民対策で有料化されてきているが、無償のところが多い)、
図書館も無料、大学生の一人暮らしへの補助金など、人間は基本的に善の意識
で動くのだ、という原則に沿っていると感じることが多い。
特徴④:教師のレベルの高さ
・フィンランドの教育の質の高さを決定づけていると言っても過言ではない、と
思うのが教師の質の高さ。
・日本では学部卒で教育実習に何週間か行けばなれてしまう教員が、
フィンランドだと修士卒で、現場での実践を毎年何ヶ月もやって初めてなれる。
・アクティブ・ラーニング、特別支援の生徒と普通科の生徒を同じクラスで
指導する、生徒の習熟度に合わせた指導…などフィンランドの教育は素晴らしい
が、その反面、1人1人に合わせた授業展開は相当難しいはず…。
それをできるは、レベルの高いフィランドの教師だからだと感じた。
・ちなみに、フィンランドでは教科書検定がない。
理由は、先生自身が自分で質の高い教科書がなにかを見極められるから。
教科書制作会社は、いかに自分たちの教科書を売るかに必死になり、
自然とレベルの高い教材が作られていくと聞いた。
・フィンランドでは、アートが盛んで実際に学校の授業でもあり、
アートスクールもあるが、アートの先生は、プロのアーティストであり、
同時に教師学を学んだプロの指導者でもある。
アートができれば良い、教えられれば良い、ではなく、どちらもできて当たり前
という目線の高さを感じた。
この他にも、環境への意識の高さ、対話やフラットな関係で問題解決を目指す姿勢
新卒育成という概念がないこと、などたくさんある…のだけど、
今回はここまで。
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