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子どもへの投歯 #いい歯のために
恥ずかしながら、私の家族は、みんな歯が悪い。
祖父母は歯がなかったし、両親も虫歯の治療痕だらけだ。
兄も小さい頃から虫歯の治療をしていた。中学生くらいだったかに、もう神経を抜く処置をしてもらっていたことを今でも覚えている。
唯一、私だけは小学校入学まで虫歯がなかったので「あなたは大丈夫!」と言われて育った。私はその言葉を、ただひたすら信じていた。
「そうか、私は大丈夫なんだ。」
親も、私も、油断していた。
仕上げ磨きもしてもらっていなかったし、歯医者の定期受診もしていなかった。
そして気づいた時には、虫歯がたくさんできていた。「そりゃ、そうだろう」と、今なら思う。けど、その時は「なんで?」だった。
「なんで?私は大丈夫じゃなかったの?嘘だったん?」
知識がないっていうか、誤った知識は、本当に恐ろしいことだ。
コンプレックスとお金。
そんな私は、だんだんと歯に対してコンプレックスを抱くようになっていった。
写真を撮っても、歯が気になって上手く笑えない。
むしろ、映りたくない。
歯医者に行くのも「こんなに歯が悪いのに恥ずかしい」なんて思う始末だ。
悩んだ末、私は貯金をはたいて自由診療で歯を綺麗にすることにした。
私がコツコツ貯めた貯金は、ほとんど歯の治療に消えたと言っても良いだろう。
でも、それで良かった。
歯に関しては、後悔した時には、時すでに遅し。自分の綺麗な歯はもう戻ってこない。お金でなんとかするしかない。それでも偽物の歯だし、綺麗な天然歯は戻ってこないのだけど。
でも、見た目の恥ずかしさはなくなった。写真を撮るときに、笑って写れるのは嬉しい。歯が綺麗なだけで、気持ちまで前向きになる。歯が悪いことへの恥ずかしさは、今でもあるんだけどね。
子どもへの投歯
そんな私が、母になった。
自分の家系の悪い連鎖を、私の代で断ち切らねば・・・!
こんな使命感でいっぱいな私は、息子が1才半の時、歯医者デビューをさせた。それからは、欠かさず3ヶ月に1回通い続けている。
3才になったら、シーラント処置も行った。
シーラントとは、奥歯の溝を予めプラスチックの材料で埋める処置だ。子どもの虫歯予防に効果的らしい。
幸い、息子が通い始めた小児歯科は予防に積極的で、向こうの方から治療を提案してくれ、全て保険治療(つまり無料)でやってくれたのだ。
子どものデンタルリテラシー
そんな息子は、歯医者が全く怖くない。
3才になってからは、1人で診察室に入り、自ら歯の気になるところ(息子は一本だけクロスバイト)を訴え、歯科医師や歯科衛生士さんの指示をよく聞いて処置を受けてくる。
シーラント処置は、ラバーダムをつけてやったらしく「そんなことを大人しく受けられるんだ」と、こちらが驚いたくらいだ。なぜなら、息子には発達障害があって、その時にはほとんど発語がなかったからだ。
発語はなくても、歯医者に通う意義や歯磨きの重要性は言い聞かせ続けてきた。絵本の読み聞かせも行なってきた。
だからか、歯医者に通う意味を理解して納得のもと診察台に上がるし、虫歯がないから、歯医者での処置は痛くなく安心できるところ、として認識している。
そして先日、1才半の娘も歯医者デビューをした。もちろんギャン泣きだったけどね(笑)
息子の歯医者デビューを思い出す。息子だって、1才半の時にはギャン泣きしていたのだ。きっと娘も、歯医者に通うに連れ、そしてデンタルリテラシーが身につくにつれ、納得のもと診察台に上がってくれるのではないかと思っている。
(こういう期待をあっさり裏切られるのが子育てというものかもしれないけどね笑 そうなったらその時、また考えよう。)
悪い連鎖を絶対、断ち切る。
私は、なんとしても自分の家系の悪い連鎖を断ち切りたい。
なぜなら、自分自身が歯の審美性にコンプレックスを抱いた、という他に、製薬会社で働いた時に色々な知識を身につけたからだ。
例えば、糖尿病と歯周病の関係をご存知だろうか。私は製薬会社に入社するまで知らなかったけれど、糖尿病になると歯周病になりやすいし、歯周病の人は糖尿病のコントロールが悪くなりがちなのである。
それ以外にも、心筋梗塞や脳梗塞、誤嚥性肺炎、骨粗鬆症など、多くの命取りになる生活習慣病に関わっている。
歯の問題は、口の中で留まるものではないのだ。
あぁ、口の中の細菌さん、なぜ君は、そんなに私たちを苦しめるのかい?なぜ君は、消毒剤をパパパっと塗るだけで死んでくれないのかい?なんでそんなに、しぶといのかい?
こっちも、しぶとく戦おうぞ。
そんなことを問いかけても、答えはない。向こうはニヒヒと笑って、今日も口の中から侵入し、我々を攻撃してくるだけだ。
だからこそ、そうなる前に子どもの頃から、しぶとく戦い続けるしかない。向こうは10年以上の年月をかけて、我々を蝕んでくる。それなら、こちらは100年の生涯の間、ずっとしぶとく戦い続けるしかない。
子どもが小さいうちは、その戦いの行方は親にかかっている。だから私は、今日も子どもたちの歯磨きと格闘する。
イヤイヤ期の娘に「イヤイヤよー」と言われつつ、なんとか足で押さえつけ磨き、3才の息子には「動画!!」(スマホで動画見つつじゃないと歯磨きしない笑)と言われスマホを出しつつ、丁寧に仕上げ磨きをする。
え、何だかやり方が無理やりだって?良いじゃん。私は、歯より大事なものはないと思ってる。力づくでだって、動画で釣ったって、何より仕上げ磨きをするのが大事。天然の、綺麗な歯は、プライスレスだから。
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