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【051】自分の”キャリアの軸”に固執せず、素直に先輩の意見を聞き入れてみる

40歳目前でキャリアチェンジをした時の話です。
38歳の時に当時の上司であった社長から、”人事部門の責任者を任せたい”とオファーをもらいました。

人事はまったくの未経験だし、希望したことすらないのになぜ私に?

さかのぼると、2002年にインターネット業界にジョインしてからそれまでの約8年間は、WEB系の新規事業企画に携わっていました。当時はWEBプロデューサー、今でいうCPO的な職種なのですが、それは自分の適職だという実感がありました。数字で客観的に評価される点がフェアであり、ワーキングマザーだった自分とっては、労働時間ではなく成果で評価される方が都合がよかったという背景もあります。今後もずっとプロダクトの仕事を続けていくものと思っていました。

しかも、自分はその領域で評価されていると信じていたのに、前線からバックヤードの仕事に”下げられる”ような気もしました。何より未経験だしやり切る自信もない。どう考えても納得がいきませんでした。

オファーの理由と尋ねると、返ってきたのは「今までの仕事を見てきたから、きっと人事の仕事には向いている」という回答でした。

ということで、いったんは即辞退をしたのですが、「試してみる前に判断するより、やってみて違ったら今の仕事に戻ればいいよ」と説得をされて、結局その提案を受け入れることにしました。

結果としては、最初の3ヶ月間は専門用語の意味もわからず、新入社員のような状態だったのですが、半年後ぐらいからこの仕事の面白さがわかるようになってきました。また、事業部側でチームを率いていた経験が人事には活かせるということもわかってきました。当時の社長からは伝統的な人事ルールに固執せず、ゼロベースで組織最適化の手段を創って欲しいというオーダーをもらっていたのですが、これまでの新規事業立ち上げの経験がそのまま適用できることもわかりました。

結局、1年ほどの時間をかけてようやく社長の意図に理解が追い付いたことになりました。その当時社長が抱いていた人事戦略の構想に必要な経験を私は持っていたようです。オファーをいただいた当時にも、事業経験が活かせるなどとは言われていたような記憶はあるのですが、その時には全く理解できていませんでした。

優れた上司の真価は、自分がそのレベルまで成長しないとわからないということは、別のnoteでも書きましたが、この時の経験もわたしに”上司からの提案は、自分ごときが自己分析によって得た思い込みのキャリアの軸なんかよりよほども正しい”ということを、叩き込んでくれました。

一般的に、自分の”キャリアの軸”を持つことが重要、とか”自分らしさ”を大切にしようと言われます。もちろんそれらは人生の仮説としてあった方が良いと思います。でもその仮説はあくまでも自分の経験値の範囲内で生成されたものです。社会人初期ならなおさら自分には見えていない世界があると考えた方がいい。

人生の仮説を証明するために、上司の提案を聞き入れてみる、それによって自分が立てた仮説が間違っていたとわかることも大きな前進です。私の場合は「プロダクトや新規事業が天職であり、人事には向いていないのである」という思い込みが壊されたことによって、その後の人生の選択肢を大きく広げてくれました。

それ以来、ポジションの上下に関わらず自分より経験豊富な人のアドバイスは受け入れてみるということを実践しています。自分の知見だけで考えるよりも、他人の知見も取り込んで考えた方がよっぽどスマートになれるからです。

写真=バルセロナの海をクルージングした時の写真(airbnbの現地ツアーで様々な国の人と。夕日とワイン、最高だった。撮影by自分)


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