湯呑みに「取っ手」がない理由
Wellbeingのあり方を追求するイメージコンサルタントの あべりかです。
「ぼくには無いものがある。でも与えられるものもある」
お気に入りの湯呑みがそう語っています。
お篭りが長いとお茶を淹れる回数も増えますね。寄り添ってくれる器はお気に入りの湯呑みたち。
今日は、「湯呑みがお茶の味とは別のものを与えてくれるお話」をさせていただきます。
*Wellbeing=身体的にも、精神的にも、社会的にも「よい状態」であること
湯呑みにないもの
「なんかわからないけれど、生徒が落ち着くのよ」
そう話してくれた知人のスクールカウンセラーは、いつの頃からか、生徒が訪ねてきた時にお茶を淹れるようになったという。
日本茶に含まれているテアニンという成分はリラックス効果があると言われているので、もちろんそれもあるだろう。
だが、それだけではないと彼女は言った。
湯呑茶碗は中国から伝わってきた奈良時代以降、お茶の歴史とともに種類や形状が多種多様化して現在に至ります。
蓋付き&茶托とセットにするようなもの、お寿司屋さんで出てくる大きい湯呑みなど色々とありますが、共通して言えるのは取っ手がないことです。
私たち日本人には当たり前のことですが、海外の友人にお茶を出すと、「どうやって飲むの?」と聞かれる時があります。
右手で主に持ち、左手で支える、両手での持ち方はお抹茶の作法から来ていると考えられますが、日本食には「お皿を持つ文化」もあり、両手で物を扱うことに慣れていることも関係しているのではないでしょうか。
そして両手で湯呑茶碗を包みこむことで、温もりを感じ、心にもぬくもりを届けてくれるのだと思います。
湯呑に取っ手がない理由
湯呑みに取っ手がないのはなぜでしょう。
それは日本茶を淹れる温度に関係していると言われます。
日本茶は嗜好品ですし、淹れる種類によっても適温があるので、一概には言えませんが、一般に60度-80度と言われています。
(煎茶は高温で淹れると苦渋みを感じるカテキンが抽出しやすいので、沸騰したお湯を、一度湯冷まししてから淹れます。)
それに対し、諸説ありますが紅茶などは高温で淹れるから取っ手が必要と言われています。
お茶の歴史を紐解いていく中で、私はこのような結論に辿り着きました。
日本茶を淹れる段取りで自然とお湯が冷めて、取っ手をつけなくてもよい熱さであったこと、持てる熱さのものを出す配慮、さらには日本の食文化の両手でものを扱う所作も関連しているのではないか。
湯呑みを持つ「手」は様々な情報を繊細に感じ取ります。
写真は、脳神経外科医のペンフィールドの脳地図を模型化したものです
衝撃的な模型ですが、彼は実験で、脳は各部位で分業しており、それぞれの脳部位とそれにつながる全身の体部位は対応関係にある事を確認しています。
手が身体の部位のどこよりも大きく、感覚器として大きな役割を果たしていることがわかります。
触感に関しては色々と研究がすすめられてています。
これに関しては私のWellbeingの定義の元となった渡邊淳司さんの本がとてもおすすめです。
湯呑みは色々な形・大きさ、陶器、磁器といった質感も様々です。
手で持つと、自然と、質感を手のひらで感じることができますよね。そして温もりも一緒に。
湯呑みが与えてくれるもの
「お茶飲む?」
「うん!」
お茶を淹れる間、生徒はその空間に自分の居場所を探す、いつも通い続けている子は自分の居場所の確認をする。
出されてきたお茶の温もりを両手で感じ、自分を実感する。
スクールカウンセラーの彼女は、会話の糸口を探しながら、
彼女もお茶の温もりを感じ、生徒が話し始めるのを待つ。
冒頭に紹介した彼女が発した言葉。
「なんかわからないけど、生徒が落ち着くのよ」
お茶の味や効果というより、温もりが生徒を落ち着かせてくれているのではないでしょうか?
お茶はマグカップでも飲めます。
けれど、マグカップで飲んだお茶は違う飲み物のように私は感じるのです。
両手から感じる温もり。
そこから感じられる安心感。
日本茶はシンプルに五感で楽しめる文化だというのが私の感覚です。
特に触感に関しては、いろんな楽しみがあって、とても好きです。
湯呑みでいただく日本茶は、一緒にいる人との温もりを感じられる場を提供してくれるものです。
そして一人の時間もまた、お気に入りの器から伝わる温もりが気持ちを温かくしてくれるのではないでしょうか。
私のお気に入りの湯呑みです。
僕にはないけれど、与えられるものがある。
今日も私の湯呑みがそう語りかけている気がします。
左側のお気に入りの作家さんの湯呑みは、「僕」と話し出す。
絵付けの湯呑みは、祖母の形見分けで持って来たもの。
こちらは「私」と語り出す。
今日はどちらと一緒にお茶を楽しもうかしら。
みなさんはMy 湯呑みはお持ちですか?
無意識に緊張を強いられる今こそ、湯呑みでお茶を飲んでみませんか。
文化に触れることは、生活を丁寧にしてくれるなど、心の余裕に導いてくれます。私の提案するコンサルティングでは、セルフケアの一つとしてお伝えしています。
イメージコンサルティングのスキルを通して、あなたのWellbeingにつながりますように。