本投稿は書評ではないー2024年10月29日㈫に購入した本
0.はじめに
少し前に、ハードカバーとかやや値が張る本を10冊買った。しかし、まだほとんど読んでいない。それなのに、また10冊注文してしまった。
今回のラインナップは、基本的に文庫本で統一した。少し前に購入したハードカバーのラインナップよりかは、単価そのものは安い。しかし、選んだのは、いわゆる学術文庫系が多く、「文庫本としては」少々値が張っている。内容も薄くは……ないだろう。また読まずに、積読になりそうな気配がある。
この投稿を公開したタイミングは購入後である。しかし、本投稿は、購入した本を読んだうえで行った書評ではない。なぜ、この本が欲しいと思ったのか、その動機というか、たぶんこういう内容だろうという「思い込み」を記したものである。事実誤認も少なくないと思うが、それはご容赦ください。
1.イスラームの神秘主義/嶋本隆光/京都大学学術出版会
価格:\1,980 x 数量:1 = 合計:\1,980
■イランという土地柄は、古くから多くの優れた詩人を生み出してきた。本書は、その1人、「神秘主義」詩人(そうなの?)ハーフェズに関する研究書である。
今回のラインナップでは、唯一文庫本ではない。理由は単純。ハーフェズの詩集はあるが、ネット注文できなそうだったからだ。
突然、ハーフェズの詩集が読みたい!という想いに駆られた。確か、平凡社東洋文庫(文庫とは名ばかりの立派な装丁だが)から、日本語訳が出ていたはず!と検索してみたら、絶版ではないようだが、ネット注文も難しそうだった。
そこで、「ハーフェズ」で検索してみたら、引っ掛かったのが、本書くらいだった。今回は、文庫で固める方針でいたが、仕方ないので1冊だけ方針転換することにした。
2.明の太祖朱元璋/檀上寛/筑摩書房
価格:\1,320 x 数量:1 = 合計:\1,320
■タイトルにある通り、本書は、中国明王朝創始者、朱元璋(洪武帝)に関する本である。おそらくは、朱元璋を正面から取り上げた、日本語で読める本の中では、最も信用できる本だろう。なぜならば、そもそも、類書自体が、非常に少ないからだ。
朱元璋。もし中国史上最も「偉大な」(これは良い意味でも悪い意味でも)皇帝を一人選べと言われたならば、私は、あくまで個人的偏見にすぎないが、「ほぼ」迷わず彼を挙げるだろう。なぜならば、私個人は、「今の中国を作り上げた」のは、毛沢東ではなく、朱元璋だと「一方的に」思っているからだ。
北京の天安門には、毛沢東の巨大な肖像画がある。私は、その肖像画の裏には、朱元璋の(威厳あるバージョンの)肖像画があると信じている。そんなわけないは、当たり前である(笑)。
しかし、世界史に関心がある方々を含めても、日本における朱元璋の知名度は必ずしも高くない、と思う。その理由の一つは、単純だが明確である。高校世界史の授業が、なかなか明王朝まで到達しないのだ。かく言う私さえ、中国史において、朱元璋の影響力は「良くも悪くも」スゴイのではないか、と思い込むようになったのは、比較的最近のことだ。
では、どのくらいすごいと言えるのか。私の中では、ムハンマドの次くらい、ティムールやバーブル、ミケランジェロと同じくらい、という位置づけである。と言っても、完全に意味不明だろう(苦笑)。伝わるかは微妙だが、朱元璋と比べれば圧倒的に知名度がある、日本史上の英雄と比較して例えてみたいと思う。
(織田信長+豊臣秀吉+徳川家康)×10倍くらい
朱元璋は、皇帝即位後、次々と「織田信長のように」新政策を打ち出した。それは、以降明王朝はもちろん、次の清王朝にまで踏襲されている。私の先ほどの発言(朱元璋が今の中国の基礎を作った)は、それを「かなり大雑把に」「誇張して」表現したものだ。ただ、そういう意味では、スケールは違うが、「徳川家康のよう」とも言える。
さらに、彼の前半生は、「本当に」謎だらけなのだ。言葉は悪いが、いわゆる「乞食坊主」だったらしい。そういう意味で、「本当の最下層から頂点へ」登りつめた、世界史上唯一の人物ではないか、とすら思う。日本史で言えば、「豊臣秀吉」がいると指摘する方もいるだろう。しかし、彼は農民の息子らしいので、「まだ」ましな方だったと言えると思う。しかも、彼の家系は、彼の死後20年ももたなかった。朱元璋の死後250年ほど続いた明王朝とは比較にならない。
例えにすぎないのに、長くなった。社会の最下層を生き抜いた人物がいかにして最高位である皇帝に登りつめたのか。さらには、そんな「成り上がりの」人物が、以降700年以上にわたり、中国社会を支配するような社会体制を構想することができたのか。その一端でもいいので触れてみたいと思ったのが、購入の動機である。
3.中国の歴史 8/杉山正明/講談社
価格:\1,430 x 数量:1 = 合計:\1,430
■先ほど、朱元璋という「個人」を取り上げた。「彼がすごい」という思い込みに偽りはない。ただ、「時代」というスパンで見ると、私が中国史で一番関心がある時代は、三国志の次の時代に当たる六朝時代「など」を除けば、本書が取り上げている北宋王朝滅亡後から明王朝成立までである。そのきっかけは、本書の著者、杉山正明氏の著作に触れたことに始まる。
この時代は、副題にある通り、モンゴルをはじめ「草原の民」が大活躍した時代である。そういう意味では、漢民族からするとありがたくない時代だろう。もし朱元璋のスゴさを別の言い方で表すならば、彼の偉業は、「草原の民」が活躍して得ることができた「成果」を、現代の中国に繋がる形で総括した、ということにあるかもしれない。
さて、本書の話に戻ろう。本書の登場人物のうち、私が現時点で注目しているのは、2人の英雄である。
1人は、元王朝の創始者、モンゴル帝国5代目皇帝、フビライ=ハンである。日本にとっては、元寇もあり、ありがたくない存在だが、世界史の観点で見ると、やはり見逃せない人物だろう。
もう1人は、西夏王朝創始者、李元昊である。西夏王朝は、突然中国史に現れ、その後忽然と消えていった、私からすると「不思議な存在」の王朝である。同王朝の創始者である彼もまた、謎だらけの人物のようである。「知名度がやや落ちる」朱元璋よりもさらに、知名度が落ちることは間違いない(笑)。
ただ、私個人は、朱元璋よりも先に、具体的には高校の世界史で登場した時点から、李元昊にはなぜか強い関心を持っていた。しかし、彼は、中国史から見ても、あまりにマイナー過ぎる存在である。そんな彼に関して手軽に読める本は、今まで「本当に」見つからずじまいだった。
もちろん、この本の主役は、彼ではない。どの程度、西夏王朝並びに李元昊に記述が割かれているかは、見当がつかない。正直、あまり期待していない(笑)。しかし、元王朝などともに、西夏にも記述が割かれているみたいなのだ。しかも、著者は、東アジアの「草原の民」、特にモンゴル帝国以後では著名な杉山正明氏。どの程度、西夏王朝ならびに李元昊に記述が割かれているかは見当がつかないが、ぜひ手に取ってみたい、と思ったわけである。
4.スウェーデンボルグ/高橋和夫(哲学)/講談社
価格:\1,100 x 数量:1 = 合計:\1,100
■スウェーデンボルグとは、誰?私もほとんど知らない(笑)。ただ、ヨーロッパの神秘主義者としては、有名な方らしい。その方に関して、学術文庫とはいえ、日本語で比較的手軽に読むことができるみたいだ。そうであるならば、「神秘主義」にそれなりに関心がある私としては、ぜひ手に取ってみたい。選んだ理由は、それだけである。
5.ロシア的人間/井筒俊彦/中央公論新社
価格:\1,210 x 数量:1 = 合計:\1,210
■私は、正直言えば、今のロシアには好印象はない。しかし、それは極端に言えば、「プーチンが好きでない」というだけの話だ。ロシア文化そのものには、常に関心を抱いていた。ただ、結局ロシア人ってどういう人たちなの?と考えるとよく分からない。言葉も難しいし、はっきり言えばおっかないイメージしかない。
だったら、日本語で読める本を読もうと考えたわけだが、それもまた大変だ。手っ取り早いのは文学だと思う。ロシア文学の日本語訳は、割合豊富な方だと思う。しかし、ご存じの方も多いとは思うが、ドストエフスキーとか大作が多い。正直、ロシア語以上に(笑)手を出せない。
そこで本書である。私は、著者井筒俊彦氏に対して、一方的に(笑)シンパシーを感じている。井筒俊彦氏を知っている方々は、今となってはさらに減っているだろう。ただ、彼を知っている方々でも、世界的な「イスラーム思想研究者」とでもいうような理解をしていると思う。しかし、どうでもいいが、井筒俊彦氏の著作を読めば、それが本当にごく一面的な理解にすぎないことが明らかである。
話がずれた。本書は、そんな井筒俊彦氏が、若い頃に記した書である。敬愛する(?)井筒俊彦氏が若い頃に、ロシア人(思想家?)について書き記しした書があり、それが文庫本で読める。それならば、注文するしかない(笑)。
6.個性という幻想/ハリー・スタック・サリヴァン/講談社
価格:\1,265 x 数量:1 = 合計:\1,265
■私は、心理学にはかなりの関心を寄せている。しかし、その割には、フロイト先生には、なぜかあまり関心がない。しかし、軽視しているわけでもない。ただ単に関心が、フロイト先生の教えを受けた「後継者たち」に向いているだけなのだ。ちなみに、ここで言う「フロイトの後継者」という言葉には、袂を別ったユングなども含めている。
サリヴァンは、私の記憶違いでなければ、フロイト先生の系統に入っているはずだ(たぶん(笑))。そのサリヴァンの著作を、日本語で、文庫本で比較的手軽に読める。それならば、ぜひ手に取ってみたい。それが、動機である。
7.疾走!日本尖端文學撰集/小山力也/筑摩書房
価格:\968 x 数量:1 = 合計:\968
■本書は、日本文学の中でも「新感覚派」と称された作家たちの短編集、アンソロジーと言ったところであろう。
私は、小説に関しては「ある特定の分野」しか読まない。少なくとも、ベストセラーはもちろん、いわゆる「文学史的に重要な」名作は好まないらしい。以前の書き込みを覚えている方がいるかは分からないが、私は以前、文豪夏目漱石の代表作『こころ』を、書き込みの中とはいえ、駄作だと断じている(苦笑)。
さて、「新感覚派」は、夏目漱石よりかは、やや後に(だったかな?)日本文学史に現れた一派である。教科書には大体採り上げられているが、どちらかといえば、傍流的な扱いだったと思う。そのために、かえって私の関心を捉えていた。
繰り返すが、私は基本的に文学は読まない。それではなぜ、今回注文する気になったのか。それは、かなり「本質的ではない」理由である。「新感覚派」の代表的作家としては、大体横光利一氏の名前が挙げられる。そんな横光利一氏は、一方的にシンパシーを感じている芸術家、岡本太郎氏と知り合いだったらしいのだ。
もしかしたら「新感覚派」には、私がシンパシーを感じる要素があるのかもしれない。そんな「一方的な」思い込みが生じた。ただ、それだけである。
8.ロシア・アヴァンギャルド/水野忠夫/筑摩書房
価格:\1,760 x 数量:1 = 合計:\1,760
■またまた、ロシア本である。ロシア・アヴァンギャルドとは、私の拙い言葉で、雑に説明すると、ロシア革命期からスターリン独裁期まで、ごく短い(?)間だけ、ロシアに突如現れて、花咲いて、忽然と姿を消した現代芸術の一派である。
かなり昔に展覧会で鑑賞して以来、ロシア的であるような、ロシア的でないような、その芸術表現に、関心を持ち続けていた。そのため、今回のラインナップに選んだ次第である。
9.詩人/人間の悲劇/金子光晴/筑摩書房
価格:\1,320 x 数量:1 = 合計:\1,320
■詩人金子光晴氏。前出の井筒俊彦氏や岡本太郎氏と並び、私が今、最も知りたい日本人の1人だ。この本が、彼に関する「決定的な」著作かは分からない。しかし、彼の著作を文庫本で読めることが分かった以上、今回ラインナップから外す理由はなかった。
10.インド思想史/中村元(インド哲学)/講談社
価格:\1,353 x 数量:1 = 合計:\1,353
■中村元氏は、仏教に関する著作が有名だろう。私も、出版社は違うが、中村氏の『原始仏典』という著作を読んでいる。
本書は、題名にある通り、(おそらくは)仏教に限らず、「インド」思想全般を概説した書であろう。インド思想に関する本はそれなりには出ているが、ほとんどが専門書であり、おいそれと手を出づらいのが正直な感想である。本書は、文庫になっているくらいだから、比較的気軽に読めると考え、ラインナップに加えることにした。
余談だが、私は昨年、赤松明彦『インド哲学10講』(岩波新書)という本を購入している。この書は、岩波「新書」というだけあって、インド哲学がコンパクトにまとまっていて、読みやすかった。ただ、章立てが「歴史」ではなく「思想」によって行われていたため、「通史的な」理解はやや難しかった。それを補う意味もあり、タイトルに「思想史」とある本書購入を決めた。しかし、インド思想を理解できたとして、私は一体何をするつもりなのだろうか(笑)?