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笑論文#1 THE SECOND。
ハイ、小論文って言葉に掛けたかっただけで。
論じてはいても論文ではない。#1って付けてみたけど#2があるかもわからない。何も予定が立っていない。本日もパソコンの前、一人遊び。ちょっとお笑いの話がしたい。
お笑い好きとしては相当ライトな部類で、地上波やYouTubeなどをたまに見る程度の私だが、気持ちをちょっとだけ大きくして感想文を書く。毎度動き出しは遅い。
もう何日も頭の中で今更~~って声が聞こえる。
表題に戻る。THE SECONDを観た。しっかり笑ってちょっと泣いた。好きな漫才師同士の勝負は非常に熱い展開だった。ガクテンソク報われてよかったなぁ。
実を言うと芸人で唯一、noteフォローしてるくらいには奥田さんのツッコミが好き。言葉のチョイスと聞きやすい声が絶妙。
で、好きな芸人が賞レースに勝ったからってこんなもの書き始めるあたりがミーハー感強そうに見えちゃってて微妙な気持ちになるけれど、注目されている時に書かなければ見向きもされないというジレンマ。しかも書いてるうちにどんどん過去の話になっていく。これは個人的なジレンマ。まぁいいか。あ、THE SECONDは6月1日の今日いっぱいTVerで見られます。たぶんこの話が目に触れる頃には期限を過ぎている事でしょう。noteが人目に付くまでのリードタイムなんて知らんけど。
知っている限りの出場者の中で、ガクテンソク、金属バット、ザ・パンチが特に好みだった。
ガクテンソクは中国地方のローカル深夜番組に度々出ているし、特に奥田さんに関しては趣味のおかげかアイドル系の番組の出演も多い気がする。今回の優勝に関しては徹頭徹尾上手だなと感じ、どのネタも安心して笑えた。既存のネタをきれいに混ぜて使っているのは芸術的にすら感じた。
金属バットは相席食堂やM-1の予選で楽屋のどん兵衛持ち帰りすぎて散々ネタになってたのもあって、こちらも個人的には比較的よく見かけているイメージだった。YouTubeでエグいタバコ吸ったりしているのも面白い。正直言って、1回戦の大阪交通安全かるた、”あ”の始まりで空気が変わった瞬間が一番強烈だったと思う。あのネタが2回戦で出ていたなら優勝すら見えたのではないかと、今でも思っている。
そして、好みだった。と書いてしまったのは、ザ・パンチの出場に起因する。色んな番組で見ていたはずなのだが、2008年に彼らのM-1ラストイヤーで最下位になってからというもの、徐々に露出が減っていった。と、記憶している。
M-1やそれに準ずる、”決勝がテレビ放送される”類の賞レースはこういうところが残酷だな、と思う。ザ・パンチはいわゆる8組中9位(敗者復活のオードリーにも負けた)だったのだが、それは本来全出場者の中で9番目だ。甲子園ならベスト16、地方レベルなら無双する強豪。しかしどうだろう、テレビ放送内で一番下になっただけなのに、視聴者的にはあたかも日本の芸人で一番下になったかのように見える感覚があるのではないだろうか。一方向的な映像から受ける印象の恐ろしいところだ。
ザ・パンチの強いナルシシズムに強い言葉を以てツッコむスタイルは、今思えば時期的にも、いわゆるコンプライアンス的なものとの兼ね合いが難しくなっていたのかもしれない。「死んで~~」というあまりに直接的なツッコミ表現こそが、既に当時死にかけていたのだ。
厳密にいつから、というのはわからないが、不特定多数の前で自由な表現をすることに、リスクが伴いすぎるようになった。そして、表現の不自由さは今でも加速している。それを考えられる理由をこの場で述べることすら、配慮に一考する息苦しい時代だ。
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当時はあぁ、好きだけどなんか噛んでたし、M-1はダメだったな~~。程度の感想しかなかったのだが、ザ・パンチはいつからか徐々に消えていた。衆人環視の中での失敗が響いたか、はたまた言葉選びか。現実にはライブやら舞台やら寄席やら営業やらがあったのかもしれないが、一般層がリーチできる映像媒体に登場しない以上、結局のところ消えたと感じてしまう芸人であることには変わりなかった。
そんな2008年から16年経った。ネタ番組が減った。使い辛いネタやキャラクターは地上波で見かけなくなっていった。私は変にスタイリッシュさのあるイロモノ芸人が好きだったが、ほとんどいなくなってしまった。タレントまがいの人が芸人のような顔をしてこなすバラエティー番組にはあまり魅力も感じないので、テレビもほとんど見なくなってしまった。
そんな状態からのTHE SECONDだ。消えた芸人が浦島太郎なのか、それとも私が浦島太郎なのか、こうなってはもうわからない。ただわかるのは確実に時間が経過していたこと。画面の向こうのザ・パンチは二人ともがスーツを着た小綺麗なおじさんになっていた。覚えのあるパープルな感じは、きっと徐々に無くなっていったのだろう。
雰囲気もネタも変わって、それでもきっと長いこと頑張っていたんだろうと感じるには十分な時間だった。いつしか好みだった彼らは、今も好みのままだった。そして、今回の決勝の話になる。
16年ぶりの、あのM-1でのアレだ。なんだか笑うよりも先にグッと来てしまって、少し泣いた。伝家の宝刀ってまさしくこのことだ。
若い人には抜いた刀が何だったのか、きっとわからないだろう。でも、いつかザ・パンチを好きだった人達が、我々のように2008年のM-1を見ていた人達が、そこからザ・パンチを見失ってしまった人達が、また彼らを好きになるには十分すぎる時間だったと思う。
結果、清々しいほどの点差で負けていた。そこもまた最高だった。推しだった芸人、推し芸人に戻ってきた。
ピッカピカの準優勝から、ザ・パンチのセカンドシーズンが始まりますように。