未知から既知へ。
数日前に社内チャットで後輩と話した内容、何だったっけと見返したら打ち込んだ日付が9月22日って。全然数日前じゃない。特殊相対性理論もびっくり。
こんな体たらくでは前回の駄文から時間が経つのも頷ける。言わせてもらうが時の経過するスピードの方に問題があると思うし、置いて行かれている私はきっと被害者なのだ。決して文章を書かなかった近い過去への言い訳ではない。決して。
元気で生きてはいるのだけれど、集中力のベクトルがどうにも遊びにしか向かない。これもまたスイッチが入ったら急に色々と書いたりするんだろうけど。これは言い訳か。あゝさっきのも言い訳だな。本日も舌先三寸。
閑話休題。
よく遊びがちなオタク達と来週末一泊二日の旅行へ行くことになった。それに伴い先月末、仲間内で旅行先を決める会を開いた。何か事を起こすなら付随する事象の全てをエンタメとして享受したいのだ。
毒を食らわば皿まで。違うか。ちなみにメンバーは八人。然らば八案。
一人一案持ち寄って、はい出ました!ドン!
良いねぇ、多種多様、バラエティに富んでいるのは素敵なこと。
さて今回の勝負は地上八階チンチロ。語呂が悪い。地下とはいかないが我々本来の治安の悪さが伺える決着の付け方にはとても満足。
ルールは親無し一周、出目順位が一位の案を採用。但し、一位に決定権が発生するという形を取っているため、他の案を魅力的に感じたならば乗り換えもあり、悩むならゲームやり直しもあり。一瞬で生まれる暴君。
強い者が勝つんじゃない、勝った者が強いんだ。権利の力、それ即ち権力。ハイ出走!チン!チロ!リン!
出目で競り勝ち、5番の者に決定。
さぁ、岡山だ鷲羽山だ、どうするどうする。5番、ぽつりとつぶやく。
「うーん、大阪良いな、ユニバ行ったことない」
おぉっと、早速の手のひら返しだー!!2番に寄せていったぞー!!
私の脳内実況もテンションが上がる。ユニバーサルスタジオジャパンは中学生の時に行った以来だから、正直私もちょっと行きたい。
いそいそとプランを考え、計算を始める。そもそもユニバってどうやって入るんだ?提案者もイマイチわかってないぞ?行き方はどうする?泊まるところは?その他の時間は何をして過ごす?全員入り乱れてわいわいがやがや。決まってからの相談が長く、チンチロと打って変わって素早さが皆無なところがまた愛おしい。まるで国会みたいだ。 そんな中、ユニバに詳しい者が一人。若さと行動の結果から得たものは知見そのものだ、素晴らしい。おっさん七人が寄っても文殊の知恵が浮かぶ筈もなく。百聞はおろか零聞、一見に勝てる道理などそこには存在しない。
金言を賜る。子曰く――。
「ファストパス買わないと人権が無い」
「ハロウィン近いから終日園内に人が多い」
えっ……。皆一様に絶句する。たまにはオタクと無関係な旅行がしたくて考え始めたこの企画。ただでさえライブ行けば並び、コラボイベント行けば並び、限定アイテムが販売されれば並び、並び、並び。何のしがらみもない旅行でも並ぶの??最早それは業じゃないか。一瞬で怖気付く面々。メンタルは陰キャラ。そして口を開く5番。
「……振り直し!!」 ~ 第一部 完 ~
心意気や良し。さぁさぁ今のは無かった話だ。もう一回勝ったらどうするんだ5番、相乗りされて流された2番の出方も気になるぞ!
いや、そんなことよりも。
念じろ私、頑張れ私、高知だ鰹だ行け行けGOGO!!
ハイ再出走!チン!チロ!リン!
――この瞬間のことを、鮮明に覚えている。振った瞬間にサイコロの一つが勢いよく薬指に当たって跳ねたのだ。聡明なチンチロニストの諸君ならお分かりであろう。ざわ……ざわ……。
露と落ち、露と消えにし我が案かな。
器の中には四の目が二つ、器の外にはこれまた四の目が一つ。ゾ……ゾロ目…………?ぐぅっ……なんという……OVERKILL。
愚かっ……愚か愚か愚かっっ!!
場の空気に高揚した愚か者はどこのどいつだい?
私だよ!!!!
私の頭の中のにしおかすみこがすかさず罵倒を始める。グッバイ高知、フォーエバー高知。こんなことになるのならもっと低いところからサイコロを投じるべきだった。なんという体たらく。貴様は三十余年何をしてきたのか。役立たずめ!!その図体と右手は今日この瞬間、全身全霊でサイコロを振るために存在しているんじゃなかったのか!!なんとか言ってみろ!!この野郎!!なんだって?4番に決まったって?……4番?
呆然としている間に出目は4番の者を選んでいた。おおぅ、福岡。美味かもんが沢山あるけんばり楽しみばい。
明太子食べたいね、もつ鍋とか水炊きもGOOD。さぁ4番、プランを示すがよいぞ!!
「いやぁ俺さ、グランピングと高知が気になるんだよね」
ブルータス、お前もか。
しかし勝ちは勝ちだ、好きなほうを悩んで選ぶがよい。権利は4番、貴殿の手中にある。さあ!!さあ!!!!
「グランピングと高知でもう一回振ってくれ」~ 第二部 完 ~
ワンチャンス。サドンデスktkrーーーー!!
いいんですか、こんな……さっきチョンボをかました奴隷の私がもう一度サイコロを振ってもいいんですか!!
降って湧いた最終ラウンド、グランピングVS高知。先行は3番。おらおら振りやがれ!!受けて立つ!!チン!チロ!リン!出目は……。
六!!!!(なんか頭の中で銅鑼の音みたいな効果音が流れた)
おい待て待て。恐ろしく勝ち目が薄い。
勝ち条件はゾロ目、四五六。合わせても5.5%だ。引き分けの出目六を含めても12.5%しかない。チョンボのペナルティの重さを感じる。ルールが許しても世界が許してはくれない。ミスは流れの悪さを生む。条理はこの瞬間だけ私だけの不条理へ。
さぁ、振れ。やるしかない。ピンチはチャンス。結果で示すしかないのだ。針の穴を通す5.5%へ――。いざ!!
ドン!!(実際はチョンボしないようにものすごく慎重に振った)
一瞬の静寂とざわつき。どよめき。刹那、変な空気。
ピンゾロを出して勝ちました。0.46%です本当にありがとうございました。私は実際のところグランピングだなって心の中で決めつけていたんで、出目の確認もざわつきもワンテンポ遅れました。ダサい。
3番も勝ちを確信して、BBQの肉の買い出しのこと考え始めていた。って言ってました。奇遇ね、私もだよ。
というわけで来週生まれて初めて高知行ってきます。1~7番のみんな、逆転劇がドラマチックでなんかごめんなさい。スター性漏れたかもしれません。
旬の戻り鰹食べたいってくらいしかプランがないのでずっと考えながら今に至ります。まぁこのメンツなら場所関係なく楽しめるのでいいのですが。
旅っていいな、わくわくするな。大人になると毎日似たり寄ったりで、なかなか想像の範囲を超えた景色に出会うことはないから。
初めて行く町の空気とか、踏んだ地の感覚とか、見たことない何かは、自分の“知らない”を埋めていく。これが楽しい。死ぬまでにどのくらい余白を埋められるんだろう。それを考えるのも楽しい。
父よ、母よ、弟よ、妹よ、友よ、愛する人よ、そして数多の者たちよ。
これまでの全てにありがとう。そして明日からもよろしく。
人生楽しいことだらけだ。高知の話もちゃんと書きます。アディオス。