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ぬるい毒

ぬるい毒
読了

前から読みたいと思っていた
本谷有希子さんの単行本
2冊購入しそのうちの1冊。

タイトルとかわいいカバーにひかれて。

猛毒
劇薬
解毒

100か0かの毒ではなく

20くらい?
ぬるい毒。

じわりじわり
真綿で首を絞められていくような感じ?

タイトルからしてそそられる。

--

恋愛要素はあるけれど
二人の男女が心理戦を
繰りひろげていくお話。

最初から最後まで
向伊くん
熊田さん
と呼び合う絶妙な距離感

恋なのか

騙されたくない
騙したいという執着なのか

女性の熊田目線で
話は進んでいく。

向伊が悪い奴だけど
どこまでも魅力的なのがミソ。
(好き嫌いはハッキリ分かれると思うけど
わたしを含めこういう人に弱い女性は多いはず)

自分に魅力があると確信していて
余裕があって
人の心をがんじがらめにする術を知っていて
愉しげに人の感情を弄んで

とにかくずるい笑

主人公の熊田は
じわりじわりと毒されていき
読者のわたしも毒されていく。

満たされなさを
少しでも満たそうともがけばもがくほど
傷ついていく様子や

断ち切らないとと
頭で分かっているのに
心はあべこべで沼にはまっていく描写が
妙にリアル。妙に共感。

ぬるい毒を摂取しながら
熊田がどんどん魅力ある女性になっていくのも
見所のひとつなんだろうなと思う。

身を滅ぼすも
輝きを増すも
毒の使い方しだい。

自分にとってぬるい毒って何だろなー
毒をうまく転がせる人はかっこいいなー

なんて思う素敵な一冊でした。
次の一冊も楽しみ。

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