やっぱり自由の喜び〜何年ぶりかの東北は、青空で迎えてくれた。春爛漫の旅日記 その2 秋田編〜横手増田まんが美術館は、遠かった〜けど、素晴らしい場所だった
仙台駅から新幹線で秋田県大曲まで150分。普段はもっと早く1時間半くらいで着くらしい「こまち」だったが、先だっての東北地震で安全運転のため盛岡からは、在来線の急行くらいの感じで、ゆったりのんびりの車窓になった。(そのためか切符は各種割引がありました)
この日も快晴で、遠くの山並みまでくっきりと全てが見える。盛岡で一旦切り替え、秋田県に入ると深い山の中を鈍行並みにゆっくり走る。森の中を探索してるみたい。ところどころで川が見える。清流、本当に水が透明できれいだった。沢釣りをしてる人まで見える。まさしくも『釣りキチ三平』の故郷だ! 遠い昔に読んだマンガの風景が目の前に、鮮やかに蘇る。
桜の名所と名高い角館も路線から見える枝垂れ桜が見事だった。
2時間半は長いなあと思っていたのに窓の外を楽しく眺めていたらあっという間に大曲についてしまった。秋田市に住んでいる友達が車で迎えに来てくれる。何年ぶりかの再会なのに昨日も会った?みたいに普通に話していた。
大曲から横手市増田までドライブ。道々おしゃべりしすぎてナビを外れてしまい若干遠回りになってしまったようだったが、それにしても対向車も信号もあんまりない…農地を見渡し、延々と遠かった…車に乗せてもらって本当に助かりました。
増田の繁華街らしきところを通過して、やがてポツネンと現れる立派な建物。それが「横手増田まんが美術館」しかしながら途中、道案内のボードひとつも立っていない。周りに存在を示すような幟もない。いやなくてもいいんですが、いっそ清々しいですが、何も知らないで訪ねてきたら迷うよ…多分😅
看板も写真の通り、シンプルイズベスト。はるばるやってきましたよ。『釣りキチ三平』矢口高雄先生の故郷。地元の皆さんが勧めた「矢口高雄記念館」の名を拒み、あくまでもマンガに貢献する「まんが美術館」にこだわって私費を投じたという矢口先生。
世界に誇る、空前絶後の少女マンガ家萩尾望都。中でもSF作品に焦点を絞った「萩尾望都SF原画展」のいざ会場へ!
と、その前に、ついた時間は、午後1時ごろ。お昼も食べていなかったわたしたち。まずは腹ごしらえと併設されたカフェでランチをすることに。
そのほかにも色々な趣向が施されたカフェは、とっても面白く楽しくて、マンガ好きと現役少女マンガ家の3人は、きゃっきゃと盛り上がり。
「あー楽しかった。」
「もう帰るか?」
ってだから本番はこれからです!
会場は、原画を守るためなのか、冷房が効いている。この日、外は夏みたいに暑かったので上着を車に置いてきてしまって後悔する。寒かったよお。
でも展覧会は熱かった。デビュー当時から現在に至る萩尾マンガの軌跡(奇跡でもあるのか)をSFというジャンピングボードでたどっていく旅路は、10歳からの読者であるわたしにとって、やはり特別なものだった。
のですが、萩尾展については、別立てで。マンガ評論家の端くれとしてきちんと書かせていただきます。
じっくりと1時間ほど400点を超える原画を眺め、ぼーっとした頭で出てくると迎えてくれる「ウオオオオー」書き文字、オノマトペのソファ😀
横手増田まんが美術館は、第一に「マンガ原稿の保存」を目的にしている。一枚一枚の生原稿を未来に残すための施設と作業してくださる職員さんがおられ貴重な原稿を守ってくれている。
またマンガの蔵書も市民に開放され、いつでも好きなだけ読める。様々な多くのマンガ作家の原稿や資料があり、旧来のマンガファンにはたまらない場所だし、昔のマンガを知らない人や子供たちにとっては、新鮮な未知の体験の場でもあると思う。
矢口先生の原画もものすごく楽しみにしていたので、実際に見られて本当に感動しました。しみじみと美しい。美しいのはわかっていたが、秋田の自然を実際に目の当たりにしてみると、その凄さがどっと湧いてくる。
本当に矢口高雄が描いた世界は、秋田の自然そのものだったし、それを見つめる視線は、愛情と抒情に溢れ、胸を打つ。
「まんが」を娯楽としても美術としても大事にしたいと願った矢口先生の意思が、伝わる美術館の内容でした。(近くにあったらなあ。毎日でも行きたいのに!やっぱり北海道マンガ美術館作らないとダメだねっ。)
グッズ売り場も充実していたのですが、買い物に夢中になって写真をとり忘れました。すんません!
秋田編は、まだまだ続く。