The Temple
長野のお寺で録音された、"Temple Recordings" ニューアルバムレコーディングライブ配信を記念して、今週は毎日、収録曲にちなんだ物語を綴っていきます。
配信は12/6まで、チケット発売中→ https://eplus.jp/riefu-st/
昭和58年8月12日(金)今夜2時ごろ、天の川の東のペテリギウス座を中心に流星群が見られるとの新聞記事に誘われて、ニコン、ミノルタオートコードを重いトランクで持ってきたので、考えてミノルタだけを三脚につけ待った。1時半にこれを持って茶屋跡の道路に行き、路上にセットする。ファインダーを覗くも星は暗くて見えないが、開放、絞り4.5で約10分、2枚を撮る。肉眼で方々をみるも流星はそう見られないので、どうしたものだったが、帰ってもう一度風呂に入って就寝した。
これはまだ私が生まれる前に祖父が綴った『山荘日記』の1ページだ。昨年イギリスから帰国して、夏の間3ヶ月、祖父が建てたこの森の中の山荘に滞在した。かつては家族や友人が集う賑やかな場所だったが、この30年近くは、夏に週末1、2回訪れる程度で、老朽化し、壁には隙間ができ、床は凹み、家中カビの匂いがした。大掃除をすると「トトロ」のまっくろくろすけが出てくるようだったが、見違えるほど綺麗になり、住んでいくうちに、家が息を吹き返していくようだった。今年の夏にまた訪れると、一年間家を空けていたものの、前回に家を掃除した時よりも断然綺麗なままだった。
山の中で自然と共存すると、ひとりよがりの時間軸から抜け出せる。『自分』は今この瞬間に独立して存在しているのではなく、何十年、何百年、何億年もの時間軸の一部としてそのバトンを繋げていることを実感する。祖父母のおかげで私が存在し、この家に住めて、山の滝の音を聞き、空気を吸える。
3ヶ月の山籠り生活の後、東京に戻り、増上寺を訪れた。祖母は東京大空襲当時に、このお寺が燃えているのを見たという。その時リヤカーにお婆さんを乗せて、家まで連れて行ってあげたというエピソードを思い出した。今では立派に再建された増上寺は、隣の東京タワーと共に東京のランドマークとなっている。
数年間寝たきりだった祖母は、今年の8月に天国の祖父の元へと旅立った。彼女の生きた証として、自分が命のバトンを受け継いでいく。
人々の思い出の舞台となる、家やお寺という建造物。それを包み込む大自然や、歴史の物語。自分だけの時間軸の中で生きているのではなく、世界中のあらゆる時代の人々が、一つの大きな時間軸を繋ぎ合わせている。環境保護が人類すべての課題であるように、私たち一人一人が大きな生命体の細胞であり、創造物の一部なのだ。
I am life, you are life
We’re all in this together
We’re all part of this creation