Rié fu

(りえ·ふぅ) シンガーソングライター/画家/通訳·翻訳家 www.riefu.com

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最近の記事

子どもと個人情報

最近、Nirvanaの名作アルバム「Nevermind」のジャケの赤ちゃん(現在30歳)が元メンバーとカメラマンを訴えたことが話題になった。少し前に「僕があのNirvana赤ちゃんです」と笑顔で写真を公開していた彼が、今度は訴える?! よくよく記事を読むと、赤ちゃんとはいえ男性器の部分が隠されなかったり、バンド側が彼の両親と正式な契約書を交わしていなかったりと、問題の中心は肖像権以外にありそうだが(そもそもこんなにヒットしなければ訴えていないはず)、当時と比べて今では、名作

    • 赤ちゃん語の翻訳

      「泣き声」という人類共通のはじめての言語。 その最初のボキャブラリーは、主に 「メシくれ」 それともう一つ。 「ママと絆を深めたい」 生後1日目から、お腹がいっぱいでも泣いているとき、抱っこして顔を見てお話してみると、すぐに泣き止む。食べることと同じぐらい原始的な衝動は、身近な人との絆を深めることなのだ。 そして言語以前に赤ちゃんが感知するものは、「波動」のような気がしている。赤ちゃんの状態は周りの大人の波動にものすごく影響される。そんなことに気付いてからは、オキ

      • 赤ちゃんという小さな宇宙人

        我が家に新入りメンバーを迎えた。彼はいまだに自分の息子というよりも、「自分の身体を借りて地球にやって来た小さな宇宙人」、そして何よりも愛しい小さな恋人。 毎日凄まじいスピードで成長して、身の回りのありとあらゆる情報をインプットしている。眠っているあいだも、脳のネットワークがめまぐるしく形成されていく。その思考回路をどんなデザインにしていくかは、身近な人たちや環境次第だ。 子育てに関しては人それぞれの考え方があるが、個人的には、地球人に馴染むよりも宇宙人のままでいてほしいと

        • 今年のベスト映画

          「ハンディキャップ・キャンプ: 障がい者運動の夜明け」 星の数などの評価では表せないほどすばらしく、間違いなく今年一番感動した映画だった。 60年代、ヒッピー文化や公民権運動が盛んだった時代に、障がい者向けのサマーキャンプが開催される。さまざまなハンディキャップを持つ参加者同士の交流が、その後70年代の障がい者の人権運動へと繋がっていく。 驚異的な女性、ジュディス•ヒューマン(のちにオバマ政権下で国務省国際障害権利特別顧問を務める)率いる障がい者の集団は、デモ活動や連邦

          The Temple

          長野のお寺で録音された、"Temple Recordings" ニューアルバムレコーディングライブ配信を記念して、今週は毎日、収録曲にちなんだ物語を綴っていきます。 配信は12/6まで、チケット発売中→ https://eplus.jp/riefu-st/ 昭和58年8月12日(金)今夜2時ごろ、天の川の東のペテリギウス座を中心に流星群が見られるとの新聞記事に誘われて、ニコン、ミノルタオートコードを重いトランクで持ってきたので、考えてミノルタだけを三脚につけ待った。1時半

          The Temple

          Bridge of Time

          長野のお寺で録音された、"Temple Recordings" ニューアルバムレコーディングライブ配信を記念して、今週は毎日、収録曲にちなんだ物語を綴っていきます。 配信は12/6まで、チケット発売中→ https://eplus.jp/riefu-st/ 大学院で通訳の勉強をしていた時、鎖国時代の長崎の通詞のことを知った。 オランダ通詞は、鎖国時代の日本政府とオランダとの橋渡し役として、主に三つの役割を担っていた。第一に出入国管理官、第二に学問の外交官、そして第三に、

          Bridge of Time

          The Writer

          長野のお寺で録音された、"Temple Recordings" ニューアルバムレコーディングライブ配信を記念して、今週は毎日、収録曲にちなんだ物語を綴っていきます。 配信は12/6まで、チケット発売中→ https://eplus.jp/riefu-st/ 少年は一文無しだったが、お金にはかえられない価値を持っていた。それは、どんなに冷淡な人も、笑顔にさせらせること。決して練習して得られるものではない。生まれ持った才能だ。眩しいランプのように、彼の周りの空間には光が灯る。

          The Writer

          You'll Never Change

          長野のお寺で録音された、"Temple Recordings" ニューアルバムレコーディングライブ配信を記念して、今週は毎日、アルバムの収録曲にちなんだ物語を綴っていきます。 配信は12/6まで、チケット発売中→ https://eplus.jp/riefu-st/ 私は世界一の夫に恵まれたと思っている。 家事の7〜8割をやってくれて、「家事してる暇があったら音楽に時間を費やすべき!」と言ってくれる。 何気ない一言や仕草で毎日腹筋が割れるほど笑わせてくれて、常に肯定的

          You'll Never Change

          Winter Morning

          長野のお寺で録音された、"Temple Recordings" ニューアルバムレコーディングライブ配信を記念して、今週は毎日、収録曲にちなんだ物語を綴っていきます。 配信は12/6まで、チケット発売中→ https://eplus.jp/riefu-st/ イギリス・サリー州の可愛らしい田舎町。木々の蕾が、毎日少しずつ、確実に変化していく季節を物語る。冬になると粉砂糖のように野原に霜がおりて、すっかり葉っぱが落ちた枝がグレーの空に伸びていく。 こんな寒い朝は、車のヘッド

          Winter Morning

          Because of You

          長野のお寺で録音された、"Temple Recordings" ニューアルバムレコーディングライブ配信を記念して、今週は毎日、アルバムの収録曲にちなんだ物語を綴っていきます。 配信は12/6まで、チケット発売中→ https://eplus.jp/riefu-st/ 『あなたのおかげ』 そんな歌詞で始まる歌なら、支えてくれる人々を想像するはず。しかしこの曲は真逆で、『あなた』とは、今まで経験してきた挫折や失敗、言われてきた批判的な意見のこと。 今までの人生を振り返ると

          Because of You

          20週連続シングルリリースのマーケティング戦略

          2020年2月20日から、20週連続シングルリリース企画をしてみた。 これは、去年ロンドンと東京で10曲ずつセルフカバー録音したものを、毎週1曲ずつ配信リリースした企画。アルバムとして一度にリリースもできたが、せっかくなので毎週リリースしてみようと思い立った。 早速Tunecoreに相談すると、迅速な段取りでリリース企画を進めていただき、インタビューやプレイリストへの選曲など、幅広くサポートしていただいた。アナリティクスで再生数やリスナー層も解析できるので、セルフリリース

          20週連続シングルリリースのマーケティング戦略

          世界の素敵なおうち空間

          おうち時間ラブな自分がここ数年ハマっているのは、世界中の素敵なインテリアを探求すること。今は旅行ができない時期ですが、今まで訪れてきた、世界のさまざまな素敵なおうち空間を紹介したいと思います。 波音がそのまま聞こえる、壁のない南国の部屋 究極の南国の部屋といえばここ。シンガポールから船で40分ほどのニコイ·アイランド。ここは島が丸ごとリゾートホテルで、見渡す限り砂浜と海に囲まれた楽園です。部屋はコテージになっていて、年中真夏の南国なので壁はなく、それは開放感そのもの。ベッ

          世界の素敵なおうち空間

          パンデミックと音楽活動

          今年の2月ごろ、まだ3月に予定していたヨーロッパツアーの計画を立てていた。 チケットを取って、主催者とやりとりをしている最中で、中国で新型ウイルスの感染拡大が始まった。まだアジアでの流行として報道されていて、逆にアジア人がヨーロッパに行って現地で風評被害がないかなど、イメージを気にしていたほどだ。 瞬く間に欧州にも広がり、医師の父からは早い段階からツアーを延期したほうがいいと言われていた。フライトをキャンセルしたのは、出発予定日の前日。 東京のワンマンライブも、3月頭から他の

          パンデミックと音楽活動

          音楽という船に乗って

          今年は私にとって、とても大切な歌のリリース15周年だ。"Life is Like a Boat”という歌をリリースしたのが2005年。『人生は、船を漕いで進む旅のようだ。手漕ぎボートは、進行方向に背を向けて進む。未来は見えないけど、前に進んでいる。』という、高校生の時に牧師先生から聞いた話が元になっている。 この曲は今でも聴いてくださっているというコメントをよくいただき、特に海外からのメッセージが多い。まさにこの歌が船になって、世界中に連れて行ってくれた。シンガポール、中国

          音楽という船に乗って

          フェミニズムの4つのステップ

          今年は、社会的にも個人的にも、フェミニズムについて考える機会が多くあった。 そんな中、『フェミニスト小説』として話題になった『82年生まれ、キム· ジヨン』を読んで、とある疑問が浮かび上がった。レビューには『まさに私の人生の物語のよう』という共感の嵐。共感を集めたことが疑問なのではなく、『私も同じ経験がある』というMeTooムーブメントの終着点は、共感で終わってしまったら果たしてフェミニズムなのだろうか、という点だ。発言することは大きな勇気ある一歩。ではなぜそんな主張が必要

          フェミニズムの4つのステップ

          山の中で暮らす

          近所の山道をどんどん登っていくと、自然に浸食された家がたくさんある。忘れ去られた家を見ていると、季節、年月、そして時代のサイクルを繰り返す自然に対して、人間の作った家なんてちっぽけなものだと思う。 昔から山に暮らす人々の研究本を読んでみると、山には集団生活を避けた人々が住んできたらしい。落ち武者、山伏、狩人など。海沿いは豊かで暮らし易い環境なのに比べて、山の生活は厳しく、道も険しい。平地がなければ畑も作れず、塩も海から運ぶ必要がある。それでも山に住むことは、苦境に耐える修行

          山の中で暮らす