子どもと個人情報
最近、Nirvanaの名作アルバム「Nevermind」のジャケの赤ちゃん(現在30歳)が元メンバーとカメラマンを訴えたことが話題になった。少し前に「僕があのNirvana赤ちゃんです」と笑顔で写真を公開していた彼が、今度は訴える?!
よくよく記事を読むと、赤ちゃんとはいえ男性器の部分が隠されなかったり、バンド側が彼の両親と正式な契約書を交わしていなかったりと、問題の中心は肖像権以外にありそうだが(そもそもこんなにヒットしなければ訴えていないはず)、当時と比べて今では、名作アルバムのジャケに使われなくても、子どもの写真が不特定多数の目に触れるリスクが圧倒的に高い。
最近、子どもの肖像権についてよく考える。まだ何も分からない赤ちゃんの承諾がないまま、写真、名前、生年月日までもが親によってインターネットという大宇宙にシェアされ、本人が物心ついた頃には、検索すればネット上で自分の幼い頃の写真が大量に出てくるという現象。昭和生まれ世代には考えられないことだ。
先日見た海外ドラマで、弁護士が陪審員のFacebookページから個人情報を調べ上げて裁判の戦略を練るシーンがあった。
また、2016年の英国の欧州離脱キャンペーンでは、国民のFacebookプロフィールから、英国の現状に不満を持労働者階級をターゲットに広告を見せることで、国民投票で多数票を得ることに成功した。
今や膨大な個人情報が手に入れば、人々の行動、思想まで操作できる時代。
1番恐ろしいのは、それらの個人情報は、ソーシャルメディアの投稿や写真アプリなどを通して本人が自ら提供しているということだ。
これからの時代は親としても子どもの画像や情報をシェアするのではなく、「守る」時代。そのためにはまずは親の世代がSNSから離れてみるのもいいかもしれない。とはいえ子育ての息抜きと称して延々とSNSをスクロールしてしまうし、なるべく子どもの前では携帯を見ないように心がけても、ふと気付くと携帯片手に赤ちゃんをあやしていることもある。自分の仕事柄、SNSは大事な音楽活動の宣伝手段だが、たいていは音楽関係の投稿よりも、ラーメンの写真とかの方がレスポンスが大きかったりする…。
デジタルの時代が一服してアナログブームになりつつある今、我が子の世代はSNSの👍やコメントではなく、直接目と目を合わせてたくさんの人を笑顔にできる大人に育ってほしい。そのために何よりも親が良い見本になれるように、ソーシャルメディアとの距離感と活用のバランスを考えていきたい。
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