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ハッとしたシーンを積み重ねる。くどうれいん『うたうおばけ』

読んだ本のタイトルを手帳にメモをしている。また、最高だった本は☆5つ、よかった本は☆3つ、そうでもない本は無印、というふうに。

今日読んだくどうれいんさんの『うたうおばけ』。
とにかく最高で、☆5つと書いた。

岩手在住の歌人、くどうれいんさんによるエッセイ。同じ岩手出身なので、こんな素敵な本に出会えてうれしいなぁ。出てくるエピソードが、とにかくユニーク。これ実話? くどうさんのまわりにはこんなにおもしろいエピソードに溢れているの? と思う。だけど、そんなシーンは誰にでもあるとくどうさんは語る。

気がつかないだけで、わざわざ額に入れて飾ろうとしないだけで、どんな人の周りにもたくさんのシーンはあるのだと思います。ハッとしたシーンを積み重ねることで、世間や他人に求められる大きな物語にのみ込まれずに、自分の人生の手綱を自分で持ち続けることができるような気がしています。

くどうさんには「いつか誰かとふたりで使うこと」を夢見て、あこがれていたワイングラスがあった。しかしお店に買いに行ったらそれがなくなっていて、「誰かと一緒に暮らす」ことも間に合わなかったという気持ちになったという。

料理もできないほど仕事に追われたふりをして何をやっているんだろう。人生で重要視するべき項目を考え直さなければと思った。エプロンを買って料理をしよう。誰かとふたりで暮らすことよりも、厨に立つことのほうがまず大事だ。

ここのシーンでうるっときた。自分の人生の手綱を持ち続けるためにはどうすればいいのか。人生で重要視することを見失っちゃあだめだよなぁ。


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