あなたにとっての魔法とは。村田沙耶香『丸の内魔法少女ミラクリーナ』
村田沙耶香さん『丸の内魔法少女ミラクリーナ』を読んだ。表題作を含む4つの中篇を集めた一冊。
どの作品もすばらしかったが、まずは表題作『丸の内魔法少女ミラクリーナ』を読んで感じたこと。
主人公は36歳の女性。小学校3年生のころにはじめた「魔法少女ごっこ」をはじめて27年。魔法少女のコンパクトをいつも持ち歩いている。
たとえば仕事で理不尽なことがあると、「魔法少女ミラクリーナ」になりきることでそれを乗り切ろうとする彼女。
「皆の笑顔を守るのが、私の使命だもんね! 私、魔法少女になって27年のベテランなんだから、弱音を吐いちゃいけないよ!」と、自らに魔法をかける。
これを読んで、みうらじゅんさんが提唱する「親孝行プレイ」を思い出した。提唱していた。苦手に感じたり、照れてしまったりしてうまくできない「親孝行」。しかしそれに「プレイ」をつけることで、親孝行の気恥ずかしさを拭い去り、行動できそうな気になる不思議!
「魔法少女ミラクリーナ」になりきる「魔法少女プレイ」。これは理不尽なことや辛いことをうまく乗りこなすための手がかりになる。
あなたにとっての「魔法」はなんだろうか。コスメ、アイドル、ファッション・・・。何に触れれば、魔法がかかったかのように気持ちがアガるだろうか。
自分の好きなものに触れて、「魔法」をかける。そうすると、自分に自信がついて、どんなことも乗りこなせちゃうんじゃないだろうか。