家族のかたち
ゴールデンウィークに唯一会ったのは家族だった。
今の職場からだと、ひとりで暮らす自宅より実家の方が近い。そんな距離だから遠出でもない。
離れて10年以上も経てば、どこに何があるのか分からない。忘れたわけではなく、変わっているから。少しずつ、だけど確実に。
自分がここに住んでいたなんて嘘みたい。
そんなことを思いながら、昼食の足しになればと1,2品仕込んだ。あれはどこ?これ使っていいの?母に一つひとつ確かめながら。
お土産に持って行った柏餅。
ひとつだけ葉がツルツルしてるのが味噌味。わたしの分。
近所にある、豆大福が有名な和菓子屋さんのものをわざわざ調達したのだけれど、ドストライクではなかったらしい。嘘がつけない正直な人、それが母。おまけに買った豆餅も黒豆かと思ったら赤えんどう豆で、期待が外れたようだった。半年ぶりにあった父は、なんでも美味しいと食べる人。
食卓は和気あいあいな雰囲気とは無縁。むしろ会話の端々には棘がある。4人でひとつのテーブルに集わないのは、感染リスクを抑えるための策ではない。これまでもこれからも、なのだ
だけどこれがわたしにとってはちょうどいいのかも、と思えるようにようやくなった。
ひとつ屋根の下に(とりあえず)元気な4人が揃うことはあと何回?
そう思えば、一瞬いっしゅんが愛しくなる。
「お母さん、まだー?」
12歳の愛犬、あずきちゃん。お願いだからずっと元気でいて。
憧れの街への引っ越し資金とさせていただきます^^