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「ずっと好きでした」

甘酸っぱい思い出のかけら。

「ずっと好きでした」

卒業アルバムに寄せ書きをお願いしたAクンに、そう書かれた。ペンを置き、閉じることなく返され目に飛び込んでくる。

これって……

中学生、初めての経験で混乱する。気まずさや小っ恥ずかしさ、この上なし。覚えているのはリアクションに困ったことくらい。

だけど冷静さを取り戻し、解けた謎がある。

ひょっとしたら、Aクンがいつもわたしの笑顔を見たがった理由は”そこ”にあったのかもしれない。

席替えのたびに隣同士になり、なんとなく視線を感じていた。気付いてそちらを向けば「笑って」とお願いされる。

変な奴。

と思っても、普段人前で見せないニコニコ顔をされればこちらも負ける。照れ笑う。そうするとめちゃくちゃ嬉しそうにしていた。

笑顔だけで好きになるなんて、あの頃の特権だ。大人になると色々見えすぎる、求めてしまう。

戻れないなあ。


憧れの街への引っ越し資金とさせていただきます^^