1年生社長の、1年目のリアルKPT振り返り
株式会社スタメンで代表取締役を務めておりますCEOの大西です!
年内3回目となるスタメンnoteリレー、今回は12月のアドベントカレンダーの最終走者としてリレーを締め括らせていただきます!
先回までのリレー投稿では、僕自身のキャリアストーリーをお届けしましたが、そちらの第3回の更新は次回に回させていただきまして、今回は、年の瀬シーズンということもあり、新社長初年度を終えようとする僕自身の経営1年目の「2023年振り返り」について書いていこうと思います。
1年生社長が感じたリアルな経営1年目の感想を、メモ的な感じで将来見返したりできるように記録しておくような形で記事にしようかなと。あんまりView数に貢献できそうな内容ではないですけど、まぁ、リアリティある内容がどなたかの役に立つこともあるような気もするので、ぜひ最後までお付き合いいただけましたら幸いです!
なお、第3回 スタメンnoteのこれまでの記事一覧については、以下をご参照ください。
スタメンの振り返りの定番メソッド
僕たちスタメンでは、日々さまざまなプロジェクトが進行していますが、それらが無事に完了したり一区切りする度に、ほとんどのプロジェクトではその振り返りを「KPT形式(Keep / Problem / Try)」でプロジェクト参加メンバーが各々書き出して見える化し、それをベースにプロジェクトチームで互いに議論するという形が、創業初期の頃から定番化しています。
取り組んだプロジェクトを、「Keep(良かったので続けたい)」「Problem(失敗、反省点、改善したい)」「Try(今後、挑戦してみたい)」という3つの切り口で振り返ると、ざっと考えを発散しやすくなるし、自然と重要そうな部分が浮かび上がって、チーム内で切り口ごとのコンセンサスを取りやすくなるので、定番の振り返り手法なんですが、定番ゆえに外しが少ないので、まだ一度もやったことがない方がいらっしゃれば、ぜひ試しに取り入れてみてください。オススメです。
本来は、個人的振り返りよりかは、チームでの振り返りの方が向いているメソッドだと思いますが、今回は、僕の1年の振り返りKPTを、こちらのnoteにまんま記事化することで、実験的に公開形式でやってみようと思います。良い感じにできたら、来年も継続してみるかもしれません。
Keep / 良かったので続けたいこと
CxOごとの管掌部門を明確化し、部門長の職責を広げて、現場への権限委譲を進めた
全社の会議体を見直し、特に、事業数字の予実管理については、投資・コスト管理を除いては事業会議に移管しCOOに権限委譲。あえて代表は事業会議に参加しないようにした(予算を達成している間に限り)
社内情報の透明化を思い切った形で推進することができ、クローズドな情報のやり取りを大幅に圧縮することができている
東京に開発拠点を新設し、東京・名古屋の2拠点開発体制を敷くことができた(結果、Biz部門を含めると東京拠点が大幅増員でき、2本社制に来年から移行できることとなった)
期初に年度スローガンを発表し、部門長にも協力してもらって、1年間形骸化させずに掲げ続けられた(スローガン発表後、超スピードで自発的にビジュアル化してくれたデザインマネージャーの功績が大きい)
耐えられる規模までは、すべての職種において、最終採用選考を代表自ら行う採用フロー(採用に最重点を置くからこそ、同時に、マッチングについては一層厳格化する必要を感じている)
開発体制強化に向けたエンジニアHRチームの新設(まだ大きな成果を発揮するには至っていないが、来年以降のどこかで必ず芽が出てくると思っている)
採用力向上や企業・事業認知度向上を目的に、年間を通して、積極的に自社主催イベントや共催イベントを継続実施できた(全部門がめちゃくちゃ各地でイベントをめちゃくちゃ頑張ってくれて、自社のコミット力の強さが競争力の源泉だと改めて感じることができた)
着実に社内全体の待遇向上を進めることができており、今後も事業成長と連動した昇給を実現できる予算設計を組めている
地方でのTVCMやタクシー広告など、今までは行ってこなかったマスプロモーションに挑戦できた(来年は、今年の経験や実践を踏まえて、もう1歩踏み込んだ施策にトライしていきたい)
「近隣家賃補助手当(月額2万円)」や「無限書籍購入補助」「カンファレンスまるっと補助(参加費・交通費など全額補助)」「入社時有給休暇10日付与」「クラブ活動の運営補助刷新」など、福利厚生面を大幅に拡充させることができた
開発部門の「コアタイムフレックス」や「週1出社のハイブリッドワーク」など、これまでの対面コミュニケーションを最重視した働き方を思い切ってシフトし、柔軟で多様な働き方も塩梅よく取り入れたワークスタイルに移行でき、現状は問題なく機能している
リファラル採用のインセンティブ制度を見直しし、まだまだ実数値が多いところまでは達していないが、実際に優秀な新メンバーの入社につながってきている
全体会議や、部長会のファシリテーターを持ち回り制にしたことで、当事者意識が増し、会議運営力の底上げにつながっている(社内に複数名司会者がいてくれるのは心強い)
従前よりも、インハウスだけでなく社外パートナーの方々への依頼範囲や依頼業務量が拡大しており、全社のケーパビリティを段階的に高めることができている
開発だけでなく、デザイン領域への投資についても、優先順位を高めることができた(来年は思い切った変化をつけられそう)
社内向けのトップメッセージとして行ってきた社内ポッドキャストの運用を、自分で収録&編集する形態から、チームメンバーに収録&編集を担当してもらう形に切り替えたことで、発信頻度をコンスタントに保てるようになった(ちょうど年末で放送回数100回を突破します)
IRにおける決算説明資料の企画・作成の大半をIRチームに移管し、自走化してもらえるよう移譲にできた(デザインもフルリニューアルして、どんどん見やすく、洗練されてきている)
在籍期間が4〜5年を超える古参メンバーのほとんど全員が要職を担い、スタメンカルチャーを体現して、組織を牽引してくれている(高いエンゲージメントに対して、中長期的にしっかり還元していきたい)
入社数ヶ月の中途新メンバーが、しっかりバリューを発揮し、短期間で部門長に昇進してリーダーシップを発揮してくれている(古株主体の組織になっているからこそ、中途のニューリーダーの誕生はめちゃくちゃ大きいトピックです)
これまで比較的手薄だったモバイル開発チームが、新しいリーダーを迎えて力強く組織化し、大幅な体制強化をはかれた(モバイルについての組織的思考力が高まっているように個人的には感じてます)
学生インターンチームが組織化されてきており、モチベーション高く、ハイパフォーマンスを出してくれている(学生インターン経由での、新卒入社社員も創業から初めて生まれました)
IVSやICCといった大型のスタートアップカンファレンスに初参加し、とても深い学びを得ながら、スタートアップに関わる方々との出会いやつながりが大きく広がった
月次の目標をたくさんの部門が毎月のように達成できるようになってきており、全社的に、自分たちのコミットメント力への自信をさらに深めることができた
新規事業の初期フェーズにある2事業(STAGEと漏洩チェッカー)がいずれも、少しずつだが着実に事業力を高められており、PMFが視界に入りそうな段階までは歩みを進められた
代表に役職変更したことで、今まではアクセスできなかった場に参加できるようになり、出会えるビジネスパーソンの属性がまた1つ広がった(それによって、視野や視座も高まったような気がしている)
18ヶ月先を見越した経営判断や事業判断を、自身だけでなく責任者層の多くが自律的に行えるようになってきた
事業としての方向性についてより解像度高く目線を合わせることができるよう事業ミッションを定めた
Problem / 失敗、反省点、改善したいこと
エンジニア採用における採用フローや入社後オンボーディングにはたくさんの失敗や課題をつくってしまった
Biz / Dev の部門を問わず、事業成長スピードに対して、ミドル〜シニア層の採用力が全然追いつけていない
特に、CPO / CMO / CHRO の3つの要職については、特に重要度が高いため、今後の事業成長の要となる人材の獲得を早期に実現していく必要がある
新卒採用においても、先手の準備や設計をやり切れておらず、後手後手の対応になりがちな状況にあるので、これを早期に打開したい
自身がそもそも採用にリソースをもっと投入できるような業務調整を行う必要がある
企業・事業の認知度・ブランド向上を1つの大きいイシューとしていたが、単年では目に見えた変化を起こせなかった
業務生産性を重視して、東京拠点の執務スペースをBiz / Dev で別室化したが、これは完全に失敗だった(やはりできるだけオフィスの間仕切りは無い形が望ましいと感じた。来年2月のオフィス増床時に解消予定)
代表である自身の時間管理がボトルネックになり始めているので、より思い切った業務や権限の移譲を検討する必要がある(上述した採用へのリソース確保とほぼ同じ文脈)
グループ経営におけるグループ横断での取り組みやガバナンスには課題が多く、まだ勝ちパターンを固められていない(1年間いろいろ試したことが分かったことや掴んだことは多かった)
社内に徐々に望まないサイロ化の兆しがあらわれることがあり、過多な会議や根回し、チームコンセンサスを取るための無駄アクションなどが生まれないよう、コミュニケーションメンテナンスにはより気を配るべき
経験豊かなミドル〜シニア層が不足していることで、先手を打つべき施策や取り組みが質・量ともに物足りない状況に陥りがち
以前より多様な働き方、価値観、キャラクターを組織に取り組み始めたことで、組織全体の一体感やモメンタムをつくる難易度の高まりを感じる
上場企業として、着実な利益の創出を求められる状況に反して、フェーズの異なる事業を複数抱えているために、投資判断の優先順位付けや予算チューニングがとても難しくなってきている
20代の若手の要職抜擢をより思い切って進めたいが、実態の実力値と乖離した形は誰も幸せにならないため、絶妙な塩梅を測りかねている
東京と名古屋のメイン拠点の2拠点化に伴う出張関連費用の増大については、よりROIを強く意識した効率性を高める必要がある
Try / 今後(今回は来年)、挑戦してみたいこと
グループ経営において、各社の高い自律性や事業コミットメントを保ちながら、共通基盤や一部のガバナンス面においては、高効率のセントラルマネジメント化を取り入れたグループ経営体制への移行を思い切って進めたい
採用課題の払拭に向けて、これまでより一歩踏み込んだ、転職エージェント企業さま各社とのリレーションづくり
各部門長に、より責任と権限を移譲していくための、部門別投資予算管理への移行(現在、目下整備中)
代表個人として、より企業・事業の認知度向上に寄与できるよう、各種SNSなどへの計画的な発信強化(noteももうちょいマメに更新せねばとは思っている)
経営判断や事業判断として、「初めての挑戦」といえる取り組みを年間で10個以上は形にする(数は1つの目安)
これまでのスタメンのイメージを、良い意味で思い切って振り切るような、ダイナミズムある自己変容の実現
最後に
以上、ただただ箇条書きで、僕自身のこの1年の経営を経て感じたKPT振り返りを羅列させていただいたのですが、いかがだったでしょうか?
内容の秘匿性や機密性の高さなどを踏まえてあえて書いていないことや、事業数字に関連するものはインサイダー情報となりえることを考慮に入れて省いたので、ごく一部記載していないものもありますが、なるべく赤裸々にこの1年の個人的な経営の振り返りポイントを列記してみました。
まだまだ忘れていて、振り返りきれていない要素もあると思いますし、ここから年末までの数日の間に思い浮かぶものもあると思いますが、こうやって棚卸ししてみると、1年間の間に色々な取り組みや挑戦、変化、失敗をしてきたなぁ〜と感じます。スタートアップだからこそ、1年で起こせる変化や動きはやはり少なくないですね!
ありがたいことにここ数年、事業面の成長はしっかり形にすることができていると思っていますが、その反面、改善点については「採用」に関するトピックが大きい部分を占めてしまったなという印象です。
ただただ、無闇にメンバー数を増やせば良いというわけではもちろんありませんが、やはりSaaS事業を中核ビジネスとしているからこそ、優秀な人材をしっかり仲間に募って、健全な組織成長を形にしていかないと継続的なハイグロースは実現しないので、来年は改めてそのことを胸に刻んで、日々の経営にあたっていこうと思っております。
今回は、僕の発散メインの発信となってしまいましたが、スタートアップの最前線で悪戦苦闘するいち経営者のリアルな思考整理の過程が、どなたかの参考情報になりえることを願っております。
最後になりますが、文中にも記載の通り、スタメンでは中途・新卒を問わず、全職種絶賛採用強化中です!オンラインでのカジュアル面談などで気軽にお話しさせていただく機会をたくさん設けておりますので、ご興味を感じていただけた方は、ぜひご連絡いただけると嬉しいです!
最後までお読みいただきまして、本当にありがとうございました!!