読書 上田馬之助『金狼の遺言』
かつて、プロレスのヒール(悪役)は、ファンから本当に憎まれるほど悪い人に徹し切っていましたから、私も子供心に本当に嫌いなレスラーやレフェリーがいました。
でも、そのせいで私生活は大変だったようですね。
上田馬之助さんは当時『日本人の恥』とまで言われたほどのヒールでしたね。
出歩く時には、いつファンが襲ってくるかわからない状況だったため、常に身の危険を感じていたそうですし、ご家族が嫌がらせをうけたこともあるそうです。
ダンプ松本さんのご家族もご苦労されたようですね。
ダンプさんご自身も、車にキズをつけられたり、移動用のバスを囲まれたりして、身の危険を感じたこともあったそうです。
あの人気者だったラッシャー木村さんでもヒール時代には、ご自宅に嫌がらせをされたせいで愛犬がお亡くなりになり悲しんだそうです。
でも、本当は皆さん、心優しい方々だとも言われています。
上田馬之助さんは、晩年、交通事故で車椅子での生活になってからでも、
「昔、悪いことばかりしていたから、あんな体になったんだ」
とまで言われたそうです。
私は、物心つく前から憧れていたプロレスラーにはなれませんでしたが、もし、プロレスラーとしてデビューできたとしても、ヒールには徹し切れなかったと思います。
どの世界でも、プロ意識を貫くには覚悟が必要だということを教えられた1冊です。