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やじま りこ | 小説
2020年10月18日 10:02
アメリカ、ユタ州。月明かりに照らされた暗い田舎道を二つの光が進んで行く。 五月蝿い程のエンジン音と、ラジオから流れている音楽が交じる車内では、薄汚れたシャツにジーンズを着た中年の白人男性がハンドルを握っている。 助手席に座る、同じく拠れた服を来た黒人中年男性が、安そうな腕時計を気にした様子で確認している。 助手席の男は、徐にラジオを消し、「なぁ、マイク。今夜は金曜の夜だ。そろそろいつ
2021年9月11日 14:55
「どうやら、目の前のこの美少女は異星人らしい」男はずり落ちそうになった眼鏡を直し、目の前に突如現れた女性を呆然と見つめた。この世界に異星人が現れて、早数十年が経とうとしている。侵略する訳でもなく、彼らは友好的に現れた。友好的とは言え、彼らはその異形から中々受け入れられる事が難しかったが、変身する<能力>を使い、人間の容姿を真似た事で次第に社会へと溶け込んいった。やがて、人類は彼らの<能力>
2020年8月2日 23:01
「ん? 何でこんな事になっているんだっけ?」 男は自分の置かれている状況に首を傾げた。 金曜の夕方の納期に追われた慌ただしい最中だった。予期せぬ相手から、LINEでメッセージが来た。 「お久しぶりです。清田さん、今夜空いてます?」 メッセージの主は、一年前会社を辞めていった後輩の真名川華香からだった。新入社員として入り、直属の部下として2年ほど面倒を見た。決して仕事ができるという訳で