最高の教師VS未来明るい生徒達VS最低の考察者 ドラマ感想&犯人考察
『最高の教師』に目が離せない
7月毎週土曜10時から放送開始のドラマ『最高の教師』
学園ドラマ好き・ミステリー好きとして大変楽しませてもらっています。
松岡茉優さんが演じる九条里奈が卒業式の日、渡り廊下で卒業する生徒を無表情に眺めながら今年もちゃんと生徒と向き合えなかったと思いつめている瞬間、何者かに突き落とされます。
背中から落ちる直前、担当していた3年D組の生徒だと識別できるリボンが見え、自分の担当した生徒に殺されたと気がつきます。
里奈は走馬灯のように1年間を振り返っていると、いつの間にか1年前の始業式の日に戻っていると気がつき、それから自分の生徒に殺されないために、一年間様々な事件がありながらも生徒の問題に寄り添えなかった過去の自分ではなく最高の教師を目指すために2週目の人生をやり直します。
選択することで進む道を決めてトゥルーエンドやバッドエンドなど沢山の結末が待ち受ける選択制のゲームのようなフォーマットにミステリーや現代の学校問題を落とし込んでいて新鮮なドラマです。
里奈を突き落としたのは誰なのか、生徒の抱えている問題にどう向き合うのか、また教師という部分だけでない生活の部分がどう変化していくのかを毎週楽しみに考えながら見させてもらっています。
『最高の教師』は1話ごとに3年D組の生徒にターゲットを絞り、最初は卒業さえさせてくれれば問題なし、それ以外の事について教師に対しては何も期待しておらず学校内の階級や人間関係などは首を突っ込まないで欲しいと思っている生徒たちを里奈が盗撮や監禁、過度な干渉をすることで少しずつ意識を変えていくことで学校が少しでも過ごしやすい空間になり、将来に対してより希望を持つようになっていく話です。
里奈がどんな手を使ってでも生徒に向き合おうとする行動はダークヒーローの様で同時に人を本気で変えたり救ったりするには中途半端な覚悟では不十分で死ぬ気で立ち向かわなければならないという自己啓発的な教訓も含まれており自分はこれまでどれだけ本気で人と向き合えてきただろうと考えさせられます。
っとまあ今後が楽しみという感想はこの辺で、今回は『最高の教師』で謎になっている部分を一視聴者である私、通称『最低の考察者』が解き明かしていきたいと思います。
ちなみにこの考察は3話時点までの話で考察しました。
全然違う展開になっていたら約5000字は無駄です。
『最高の教師』は特殊ミステリー
『最高の教師』の一番の謎は1話から用意されている教師九条里奈を突き落としたのは誰かということです。
この謎は最終話で判明するでしょう。
しかし、里奈が直接「犯人はお前だ!」と指摘するような王道ミステリー展開にはならないと思います。
何故なら、このドラマ里奈を突き落としたのは誰かというミステリー部分の話以外に現代における生徒と教師の関係性がテーマになっているからです。
具体的に言うと里奈が1話目で言っていた社会が複雑化していることでプライバシーについて敏感になったことや、SNSが発達したことで誰もが発信者となり生徒が簡単に先生をパワハラやモラハラと告発できるような社会になってしまったことで生徒に怯える先生という構図になってしまったというような関係性です。
このような関係性は社会でなくならないにせよ、では今の先生はどのようにして生徒と向き合えばいいのかという問いに対しての回答は用意されているハズです。
そして、最終的には里奈が突き落とした犯人を見つけても2週目では生徒への向き合い方が全然変わっていますから里奈は犯人を糾弾するのではなく和解という方向に向かうでしょう。
こうして最終話の展開を考えた際、突き落とした犯人とその動機、そして何故里奈は2週目の人生を経験することができたのかという自分なりの考察を成立させることができました。
1つ1つ自分なりに解き明かしていきたいと思います。
どうして里奈は突き落とされ、1年前の始業式に戻ったのか
里奈は突き落とされた時に、頭の中で走馬灯が流れ。その流れの中に潜り込み水面から出た様に1年前の始業式にいました。
現代の科学では説明のつかないSF作品の様な展開になっていますが、里奈がこのような不可思議な経験をしているのは理由があるでしょう。
里奈は突き落とされた時、死を予感しました。
1年間一緒にいた生徒に殺された、それは誰なのか、寄り添っていればこうはならかなったかもと教師としての仕事に後悔しながらも、重力には逆らえません。
里奈は地面に叩きつけられるかその直前ところで1年前に戻ります。
重力には逆らえなかったのに時空は逆らえたという点、不自然に思います。
では里奈が今経験している2週目の人生はなんなのか、私は里奈は1年前に戻ったのではなくただ突き落とされて地面に叩きつけられた時に意識を失っただけだと考えます。
つまり、物語が起きているのは里奈が意識を失っている時の話で決して1年前に戻っているわけではないということです。
理由を話すと里奈が突き落とされたのは校舎外の渡り廊下、およそ2~3階部分だと思います。
そんなところから突き落とされて絶対に死ぬとは限らず、重症で意識不明の可能性の方が高いと考えました。
もう一つ、里奈は生徒に1年後殺されないためにどんな手を使ってでも生徒と向き合うと覚悟していましたが、その死ぬ気の覚悟と里奈の使う『2週目の人生』というセリフがミスリードとなっており里奈は1週目で生徒に突き落とされただけで殺されてはいないと考えます。
また、サブタイトルに『1年後、私は生徒に■された』とありこの『■』の中に『死』という一番悪いことを入れて考えてさせらてしまうのもミスリードとなっています。
『1年後、私は生徒に落された』もしくは里奈がいう『2週目の人生』で生徒と向き合うことで自分も変わることが出来たという点では『1年後、私は生徒に生かされた』でも十分通用します。
そして、里奈は無意識下で『2週目の学校生活』をしていますがこの体験は里奈を突き落とした犯人とかなり深い因果があるでしょう。
それについては犯人に関する考察で述べていきます。
突き落とした犯人の動機
里奈は突き落とされて意識不明の状態でいる。
『2週目の人生』は里奈の無意識下で繰り広げられている物語。
だとしても突き落とした犯人はいます。それは誰なのかを言う前にミステリー作品っぽく動機から話していきましょう。
動機は3年D組の担任九条里奈に生徒として不満を持っていたということです。
里奈の夫婦関係や友人関係など私的交友についても描かれていますがあくまで里奈の人間性を描く部分だと考えているので里奈が突き落とされたこととは関係ないと思います。
しかし、この「3年D組の担任九条里奈に生徒として不満を持っていた」という動機は単純で分かりやすいんですが犯行のタイミングがかなり謎です。
何故先生や学校と関係を絶ち新たなスタートをきることが出来る、卒業式というタイミングで突き落としたのか。
卒業したら自分から意志がなければ先生と会うこともないので殺す必要もないのです。
もし在学中に里奈を殺していれば、里奈が死んだことにより新しい先生に交代となるため犯人の学校生活が変わっていたはずです。
そう考えると卒業後に殺しても犯人にとって利益がないように思えます。
しかし、突き落とした犯人に対して単純な理由など通用しません。私は考えました、すると犯人である生徒が里奈を卒業式で殺した動機を2つ導き出しました。
1 今後里奈が請け負うクラスに所属することになる生徒のことを不憫に思い自分のためではなく大義のために突き落とした。
2 里奈に対して殺意があったが在学中に殺すことができなかった。
今後の生徒の事を想い里奈が教師の仕事をさせないために殺す、在学中殺したかったができなかった。
この2つは相反している様に見えますが私的にはどちらかということではなく犯人はこの2つの理由があり卒業式の日に突き落としたのだと思います。
この動機から考えると犯人の人間像が見えてきます。
自分の事よりも周りの事を考えることができる生徒。
殺意はあっても罪の意識がある生徒。
在学中に事情があって里奈の隙を伺えなかった生徒。
かなり絞られて来たんじゃないでしょうか。
次はいよいよ犯人と里奈と犯人の最終決戦について考察していきます。
私を殺したのは誰ですか?
ドラマの宣伝ポスターにもあるこのキャッチフレーズ冷静さと狂気が含まれていてとても好きです。
犯人は3年D組の生徒の中に必ずいます。
これから誰が犯人かという考察をしますが、それが外れても間違いなく3年D組の中にはいるでしょう。
もし夫とか同僚教師とかだったら私は踊り狂います。
では犯人予想をします、犯人は……
芦田愛菜さん演じる鵜久森叶です。
先程までに書いていった『2週目の人生』は里奈の無意識下で起きているということ、犯人の動機について2つが当てはまるのは鵜久森叶だけです。
鵜久森叶という生徒は3年D組の生徒からいじめの標的にされて不登校になっていました。その結果彼女は死を選び里奈は後悔しています。
『2週目の人生』では里奈はまず鵜久森のいじめを教師自ら告発して、鵜久森を説得すると自分の気持ちをクラスメイトに打ち明けることでいじめは一旦終わりました。
それから里奈の教室改革についての協力者となり、先生の理解者といえる存在です。
この犯人予想について記事を読んている人につっこまれていることは分かります。
そもそも鵜久森叶は卒業式までに死んでいるのだから里奈を突き落とせるはずがない。
ネットにはすでに『最高の教師』についての考察がいくつかあるようで鵜久森叶は死亡しているとのことで一番に容疑者からは外さている考察が多いです。
根拠は里奈が突き落とされた際『鵜久森家』と書かれた葬式の走馬灯が流れるからです。
しかし、逆に言えばそれしかありません、里奈の主観でのその走馬灯の映像しかないのです。
1話で里奈が鵜久森にいじめられ続け不登校になる事実とその日付は伝えていますが死亡日は伝えていません。これは死亡日を言うのは不謹慎すぎるという考えもありますが、里奈が知らないとも言えます。
なので、鵜久森叶が生存していると考えます。
では、その走馬灯の葬式の映像は何なのか、鵜久森家の人間が死んでいるのか?違います、あの映像はフェイクです。
そのフェイクは里奈が作ったものではなく鵜久森叶が植え付けたものです。
どういうことなのか……
それは里奈の『2週目の人生』は鵜久森叶が作り出した世界だからです。
里奈の無意識下で起きている『2週目の人生』ではなく、鵜久森叶の作り出した世界があって、突き落とされた瞬間、里奈がその世界に迷い込んでいます。
分かりやすく例えると呪術廻戦の領域展開のような、もしくは辻村深月作のとある作品である、キャラが架空に作り出した世界に現実のキャラが入り込んでいる設定の作品のような事態になっています。
(どっちも知らなかったらすいません)
鵜久森の作り出した世界ならどんな世界も作れるし、導かれた里奈に対してどんなことも思い込ませることが出来る。
なので、葬式の走馬灯を里奈に植え付けて死んだように思い込ませることができたのです。
こんな大胆な事が出来るのはドラマの始まりが卒業式から始まり、そこから1年前に戻るという演出の為、いわゆる『1週目の人生』は謎が多いままだからです。
この鵜久森の作り出した世界=里奈の言う『2週目の人生』は鵜久森自身が意図的に作り出したのか、もしくは無意識なのか。
それは鵜久森が無意識に世界を作り出し、ちょうど里奈の死にたくない思いが結びつき里奈の魂のようなものが鵜久森の世界に導かれたためだと思います。
では鵜久森が無意識に里奈を自分の作り出した世界に迷い込ませている理由は何か……
自分の成し遂げられなかった理想の高校生活を架空の世界で作り上げるためです。
ドラマでは里奈視点で話が進んでいる様に見えて、里奈はあくまで巻き込まれている側、そう思っているのでここからは鵜久森視点で考えていきます。
鵜久森は1話でいじめられている気持ちを告白した時自分はただ帰り道に駄目だと言われても友達と遊んだり、夢中で話し合えるようなそんな普通の高校生活を送りたかったと告白しています。
しかし、現実はそうはなりません、死んでいなくてもいじめられて不登校になった事実はありますから理想の高校生活を成し遂げられずにいました。
そうなってしまったのは担任の里奈にいじめを気づいてもらえず、もしくは気づいていたとしても学校側で対処してもらえなかったからです。
そのことを恨んでいて殺意はありましたが、卒業式まで登校できませんでした。
卒業式までに行動しなかったのは、先ほども説明した自分のためではなく今後里奈が担任のクラスを生み出さないという自分なりの大義、彼女の良心の呵責に囚われた迷いです。
そして、3年D組に対してまともに向かい合わない里奈をこのまま生かすことで例え悩みがあるけど本当の気持ちを打ち明けられない生徒にも、悩みを解決したいけど行動できない先生にも変わらない現実で学校生活を送らせたかったということだと思っています。
そのため卒業式に突き落として死んでもらうはずだった。
しかし、殺すことは出来ず、鵜久森の本当の高校生活に対する願いと里奈の生徒に向き合える教師になりたいという願いが奇跡を起こした言えるんじゃないでしょうか。
『2週目』の人生では鵜久森は里奈に助けられていじめが止み、友達もできました(いまのところ)。
里奈の方も死ぬ気で生徒と向かい合うという覚悟でクラスを改革することで『最高の教師』となっていきます。
鵜久森の願いが叶う、鵜久森叶の名前も伏線になっていますよね。
さらに、ドラマの番宣写真で鵜久森が持っている花は『ガーベラ』です。
この花言葉は〈希望〉と〈常に前進〉という意味が込められています。
鵜久森がもし死んでいてはこんな花を持たせないと思います。
鵜久森は死んでいないからこそ、まだ前進することができる、人を傷つけたとしても希望がある。
鵜久森と里奈の行方は……
最終回をもっと深く予想しよう。
鵜久森叶が突き落とした犯人で、里奈は鵜久森の理想とする世界を『2週目の人生』と思い込んでいるという仮説を踏まえて最終回の展開予想は里奈は意識を取り戻して『2週目の人生』から脱出します。
現実に戻った里奈はその時までに突き落としたのは鵜久森だと心で理解しているでしょう。
突き落としたことに怒りたい気持ちがあれど、彼女の願いと自分が生徒に向き合えていなかったことを意識不明の時に体験したことで改めて知ってしまった。
現実の鵜久森はいじめられていて、高校生活を台無しにしている。他のせいとも自分のせいで……そう思った里奈は行動に出ます。
里奈は怪我を負いながら病室から抜け出し、鵜久森の元に向かい彼女と現実で対面を果たして和解します。
さらに、他に悩みのある生徒を現実では救えなかったことについて、それを現実ではやり直すことができなくても里奈は生徒に何かを伝えるためにもう一度全員を教室に集めて、最後の授業が始まるでしょう。
めちゃくちゃいい話ですね。見ている方は一緒に答え合わせをしていきましょう。
見ていない方でこの記事を読んで興味を持ってくれた方は是非ドラマを見ていきましょう。