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詩の魅力

教員をしていたとき、生徒達が休み時間に廊下を歩きながら大きな声で詩を暗唱していました。みんなで声を揃えて歌うように諳んじています。とても楽しそうです。

カムチャツカの若者が~ きりんの夢を見ているとき🎶
メキシコの娘は~ 朝もやの中で~ バスを待っている🎶


谷川俊太郎さん「朝のリレー」という詩でした。教科書に出てくるこの詩を生徒達は国語の授業で学習して好きになったようです。そして掃除の時間も、放課後も、暇さえあればみんなで声で揃えて暗唱していました。テストがあるからではありません。先生から覚えなさいと言われたのでもありません。素敵な詩だから覚えたいんだと言います。リズムがあるから自然に口から出てくるんだそうです。

子どもたちをここまで惹きつける詩とはすごいなあと私は思いました。私が子どもの時の教科書には載っていませんでした。だから私はこの詩を知らなかったのですが、生徒たちが暗唱しているのを聞いて以来私も大好きになりました。

カムチャツカの若者がきりんの夢を見ているとき

メキシコの娘は朝もやの中でバスを待っている

ニューヨークの少女がほほえみながら寝返りをうつとき

ローマの少年は柱頭を染める朝陽にウインクする

この地球ではいつもどこかで朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ

経度から経度へと

そうしていわば交替で地球を守る

眠る前のひととき耳をすますと

どこか遠くで目覚時計のベルが鳴っている

それはあなたの送った朝を

誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

谷川俊太郎「朝のリレー」

素敵な詩をたくさん残してくださった谷川さんのご冥福を心からお祈りいたします。

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