3分という時間は・・・(中学生の声)
*中学生のボクは架空の少年です。
ぼくはカップ麺が好きだ。お湯を注いで3分待てば美味しいうどんやラーメンが食べられるなんてすごいと思う。たった3分だよ。考案した人を尊敬しちゃう。
ところで、麺が出来上がるまでの3分はすごく短い気がするけど、自分の思いを伝えるとしたらどうだろう。特につらい体験を伝えるには3分じゃ足りない気がする。
5月1日に熊本県で行われた水俣病の被害者団体と環境大臣との懇談会。患者団体の人たちが話している最中に時間になったからってマイクが切られちゃったみたいだけど、なんでそんなことしたんだろう。だってあれは被害を受けた人たちの声を聞くために行われたんでしょ。1人3分というのも短か過ぎない? カップ麺が出来上がる時間と同じだよ。もっと長くできなかったのかなあ? 懇親会全体も40分という短い時間だったようだし。
水俣病についてはぼくも学校で勉強した。チッソという会社の工場が海に流した猛毒のメチル水銀が魚や貝にたまり、それを食べた人たちがこの病気にかかったんだよね。被害を受けた人たちは汚染された魚を食べただけで何も悪いことなんかしていない。中には生まれた時から苦しんでいる人たちもいる。
そんな人たちの思いを聞くのに3分なんて短すぎるとぼくは思う。当日は8つの団体の人たちが環境大臣と懇談して、それぞれ国への要望などを述べることになっていたらしい。時間になったとき司会の人が「話をおまとめください」と言っていたけど、「時間だからもうやめろ」と言っているようにぼくには聞こえた。すごく冷たい感じがしたよ。話している人はぼくのおじいちゃんくらいの年齢の人だった。おじいちゃんは最近ことばがなかなか出て来なくて話している最中にも「あー」とか「「えー」とか言うことが多くなった。年をとるとみんなそうなると思うからぼくはおじいちゃを急き立てたりしないで待つようにしている。でも懇談会ではそうじゃなかった。話している途中でマイクを切るなんて口封じみたいだ。マイクの受け渡しをする人もマイクを取り上げようとする感じですごく嫌な気分になった。やさしさが全然感じられなかったよ。
大臣だってその場にいたのにどうして何も言わなかったのだろう。環境省の人が「大臣をお守りできなかった」と言ったそうだけど、それだって疑問に感じる。いったい何のための会だったんだろう。
水俣病の勉強をしている中学生