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地理の授業でナツメヤシを食べた話




 地理の先生が大好きです。40歳くらいのかっこいいおじさんですが、親しみやすさが尋常じゃない。授業は必ずまず雑談から入り、下手するとそれが20分くらい続く。


 いろんな話を聞きました。入試問題の作り方、他の先生の家庭事情、国家公務員の友達の話、旅行におすすめの北欧の国など。なんだそりゃ、っていう雑談もあれば後々役に立ちそうな話もある。


 例えばこんな話を聞きました。

「いいか、お前たち。新婚旅行はスペインに行け。それもマドリードじゃなくて、サンセバスチャンに行け。あそこはマジで飯が美味いんだよ。いろんな星つきみたいなレストランが店を構えてて、絶対損しないから」

とか、

「俺の新婚旅行はドイツで、俺はシュヴァルツヴァルトに行きたかったんだよ。で、車で何時間かかけて行ったんだけど、酸性雨で森が全部枯れてて、カミさんと喧嘩になった」

とか。


 そんな先生ですが、毎年地理の時間でこれをやると決めていることがあるそう。それは「各国の特産品、名物を生徒に食べさせる」ということ。例えばトナカイの肉。例えばベルギーのチョコレート。例えばヤクの乳のチーズ。


 そして今年度、地理の先生が僕たちに用意してくれたのは、ナツメヤシでした。ナツメヤシはアジアの乾燥地帯かなんかでよく獲れる果物(?)ですね。僕も今回初めて食べました。プルーンとイチジクと干し柿を足して3で割ったようなイメージです。


 消毒とかアレルギーとかに凄く気を遣って、万全の状態で食べたナツメヤシは思ったより美味しかったですね。とにかく甘味が強くてびっくりしました。黒糖味のイチジクみたいな、そんな感じ。


 乾燥地帯に生えてるから実に含まれている水分が少なくて、甘味が凝縮される、ということだろうか。そうなんでしょうか。どうなんだろう。でも甘すぎて、口の中がすごく渇きます。あの食べ物、乾燥地帯には向いてなさそうだな、とか思いました。


 でもナツメヤシについてのイメージは完璧に掴めた。配られるプリントの文字だけじゃ絶対わかんないことってありますよね、やっぱり。こうやって実体験をもって生徒に分からせてくれる先生ってなんて素敵なんだろう、と惚れ直しました。やっぱり良い、地理の先生。

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