「あの空は夏の中」を読んで

何か新しい本を買いたくて近所の古本屋に行きました。大学が近くにあるからか専門書が多い昔ながらの店でした。

大学の丸善で「私だったらこう考える」を購入して以来、銀色夏生さんの文章や考えがとても好きになったので もし何かあったら買おうと決めていました。
あえてどんな著書があるか調べませんでした。

そこで一冊だけあったのが「あの空は夏の中」でした。ページをぺらぺらめくるといくつか角に折り目がつけられていて、適当に選んでみた部分に

ね、私の前では本当の気持ちを言ってね
私驚いたりしずんだりしないようにするから

こう書いてあったのが決め手でした。

前置きが長くなりました。
人を好きになることっていいなぁと思えました。
今まで付き合ってきた人のことをちゃんと見られていたのか
出会ってきた人と関わってきた中で、(あ、ちょっとこの人との距離が少し変化してしまった)とちょっとした引っかかりを感じた感情を客観視しているのに近い感情でした。
「こんなに私を悲しい気持ちにさせる人と一緒にいても幸せになれない」
と頭でわかっているのに離れられないだとか
嫌いになったわけじゃないのに別れを選んだことは
正誤で判断できることではないのだと思いました。

私は自分に自信を持ってなくて、
「好意を持ってくれるのはとても嬉しいんだけど、私のどこがいいのか全く分からない。こんなのでいいの?」
と付き合っていた人にずっと思っていたのですが、これって相手を否定しているのと同じだ...と今更申し訳なく思いました。
「このときはこの人と一緒でいたい」と、どこかの一点だけは代わりの利かない存在であれたのなら良かったです。その一点が相手も私にとっても変化していったから立ち消えたのかなとも感じました。
消され/消した経験共にありますが、どちらも痛かったです。
点といえど、自分にとって必要な部分が欠けたからなんだと感じました。
立ち消えて、また新しい一点を作り出そうとしているのが今の私です。


読んでいて高校時代の片想いも思い出しました。
高校3年間ずっと好きでした。
高校卒業後、3年も一人を好きでいられたことはないです。
点になれなかったものが片想いにあたるんじゃないかと思います。思いの一方通行ですし。
相手が話している声や笑い声が聞けただけですごく満たされて幸せな気分になっていました。
私がどう思っているかなんて相手に分かってもらえなくても、好きでいられたのは相手から傷つけられなかったからだと思います。
傷をつけられるまでの関心を持たれませんでした。
言葉や態度で表せなかった心の中こそ、一番大切なものがあると思います。
それが私を守っていました。
だから、今こう思い出しても悲しくならずにいい思い出として残っていると思います。
3年間好きでいられた理由はまだはっきりしていないけれど、ぼんやりとした形はこれなのかなと思いました

また誰かと想いあえたらいいなと思いました。


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