万葉旅行の楽しみ方 ~吉野と三輪山と飛鳥~
1日目:吉野山 令和4年3月26日(土)
昨年、初めて吉野山に行ったことを夫に話すと今年は夫が行きたがったので、
吉野へRe:tripすることに。万葉集を学んで、実地研修みたいなかたちで奈良の飛鳥や吉野を訪れているのは、昨年から始めてこの旅行で5回目になる。
吉野へ行く時は、青のシンフォニーに乗って行くことをぜひオススメしたいと思う。
昨年の春は友人と一緒に初めて行き、その時奈良の大和西大寺で降りて橿原神宮へ行く電車の待ち時間に青のシンフォニーという観光列車に乗って行けることを知る。
「これはぜひ乗ってみたいね!」ということになり、橿原神宮前駅で降りてすぐに近鉄切符売り場に行き、近鉄職員に「青のシンフォニーに乗りたいです。」と言うと「1席だけツインがキャンセル出て空いてるよ。」と言ってすぐにチケットを取ってくれた。
そして「あと1分で青のシンフォニーが到着するので。」と言って突然走り出したので、必死に職員の後について行くと、そのまま雪崩れ込むように乗せてくれた。
なんてスムーズなんだろう!すっごいギリギリだったけど(^^;
と昨年は感動したので、今年も桜の時期だけど
あわよくば、そんな感じで青のシンフォニーに乗せてくれるものと思っていた。
今年も青のシンフォニーに乗ろうと、張り切って1ヶ月前に近鉄名古屋駅売り場へ直接予約しに行くと近鉄職員の方が
「今年は緊急事態宣言の影響で、2週間前からの発売になります。」
とのこと。
しぶしぶ帰り、2週間前の発売日に再度購入のため近鉄名古屋駅へ。
すると「青のシンフォニーの1便は既に満席ですね。空いてるとしたらデラックス1席ずつですが。」この時に夫が「ツインで一緒が良い。」などと言うので、購入をあきらめる。
しかし、この時にデラックス1席でも購入した方が良かったと後で後悔することになる。
なぜならデラックスで席が離れたとしても青のシンフォニーの走行距離はさほど長くないため、ラウンジで楽しんでお茶やお菓子をいただいている間に降車駅に到着してしまうからだ。
結局、行きの吉野行きの青のシンフォニーの特急券は買えず、駅構内で
「今日の青のシンフォニーは満席です。切符購入はできません。」とのアナウンスが虚しく響くのを聞く。
悔しくなって、帰りは意地でも青のシンフォニーで帰りたい!と近鉄HPで予約を試みると、帰りの4便はデラックスが1席空いているのが2席ある!
速攻で購入し、帰りは無事に青のシンフォニーに乗り、今年も優雅なひとときを楽しむことができた。
吉野駅到着
この日は小雨模様のせいか人があまりいない。。
駅のインフォメーションセンターの隣には、天武天皇が詠んだ万葉集の有名な
歌碑がある。
よき人の よしとよく見て よしと言ひし 吉野よく見よ よき人 よく見
天武天皇 吉野宮に幸いし時の御製歌
と書いてあるのです。
やっと万葉旅行らしくなりましたね。この歌は万葉集巻1の27番にあり、
昔の良き人が良いところだと、よく見て良いと言った。この吉野をよく見よ。
今の良き人、我が息子たちよ、よく見るが良い。という意味である。
とてもリズムが良く、読んでも聞いても
心地よくなる歌だなぁと感じます。(だけど覚えられないf^_^;)
なぜ天武天皇が吉野に来たかは、古代史を紐解いてみると、
上記のような文だと難しく感じる。。
要するに大海人皇子は天武天皇のことで、天武天皇の兄の天智天皇が国政をしていた。
しかし天智の死期が近づいているので後継者を決めたいが、次の天皇は天武によろしくと伝えたけど、天武は兄は本当は自分の子の大友皇子に天皇になって欲しいのではと疑い、天皇になることを辞退して出家して僧になって政治権力を放棄し、反逆の意志はないことを示すために吉野へ隠居したという感じである。
だが、この吉野宮で過ごした後、壬申の乱で大友皇子を倒して、天武天皇となり、飛鳥京を復活させ、律令政治が始まることになるのである。
だから吉野は天武朝にとって聖地だそう。
その過程を調べると面白いので、お話が長くなるがお隣の国の韓国や中国ともこの時代は交流が盛んで、古代史を語る上では唐や朝鮮半島の三国も日本に大きく影響を与えているので、学ぶことが欠かせないのである。
こういう知識があると、万葉旅行が楽しくなると思う。
古代史についてはまた追々、書いていこうかな。
夕食は大和八木で
夕食は大和八木のビジネスホテルで1泊する。
周辺に夕食を食べられるお店はないかと、
Googleマップで探すと焼き肉屋さんが多く、
比較的ホテルから近い居酒屋こてつというお店を
見つける。
若い店員が多く、活気があり、ハラミと上ミノの肉質が良いのでオススメ。
大和八木駅から徒歩約5分くらいの場所。初めて入るお店で意外と良かったりするとラッキーと感じられるのが、旅の楽しいところ。
2日目:藤原京跡 3月27日(日)
宿泊したビジネスホテルから、藤原京跡が近いようなので、
朝食後すぐに徒歩で行ってみる。近いかなーと思ったんだけど
そんなに近くなく、結構歩いた。30分くらいして、やっとこさ到着。
すると美しい菜の花畑が!耳梨山を背景にランドセルを背負った新1年生が写真を撮られてて可愛い光景を目にする。
しばらく学生気分で菜の花ショットを夫と楽しむ。
飽きたので、藤原京跡に行ってみると
いかにもな感じの柱がたくさん出ている。
遠くからみると、その柱たちはあまり高くないように思えたが、近づいてみると
ほぼ私と同じくらいの高さ!私の身長が170センチくらいだから、結構高い。
当時の柱はもっと高かったのだろうか?と柱にとらわれて、このあと耳梨山を香具山だと思って勘違いをしてしまう。
春過ぎて 夏来たるらし しろたへの 衣乾したり 天の香具山
天皇の御製歌 持統天皇
万葉集巻1の28番の歌である。教科書に載ってるので、とっても有名な歌ですね。
この歌がこの山を見て詠われたと思って持統天皇の気分になったのだが、実際見ていたのは耳梨山でした(ー ー;)
夫も一緒になって耳梨山を見て上の歌を詠んでいたのでした。
藤原京跡から離れ、さらに徒歩で香具山駅を目指す。香具山からかなり離れている駅なのに香具山駅🚉しかもJR線なのにワンマン列車!万葉まほろば線とも言うらしい。またやっとこさ到着して巻向駅まで行く。
巻向駅で降りて、巻向遺跡があることを知る。行こうかと思い、ウロウロするも
お腹が空いて、三輪山本のにゅうめんを求めてしまう。
三輪山本、ここがすごい美術館みたいな素麺屋さんで
入るなり、素麺が美術品のように置いてある。
敷居が一見高そうですが、大人気で大人から子どもまで気兼ねなく入って来られます。
ここに来たら、必ず素麺はマストバイ!でパスタや季節のさくら葛そうめん🌸もオススメ。にゅうめんだけど、のどごし良くて今までの中で1番食べやすい麺だと思う。
さすが三輪そうめん!
三輪山
三輪山本からお腹いっぱいで眠くなりながらも、三輪駅までがんばって歩く。
三輪駅周辺まで来ると、荘厳な三輪山がお迎えしてくださる。
この山を見て歌われた額田王の歌を思い出す。
三輪山を しかも隠すか 雲だにも 情あらなも 隠さふべしや
額田王
これも万葉集巻1の18番の歌である。万葉1期の歌と出会うことが多い気がする。
額田王は王とあるが、天智天皇や天武天皇に寵愛された才色兼備の女性で宮廷歌人である。
この日は雲で三輪山を隠してなんて全くなかったが、夫が
「三輪山を雲で隠すことなんてできないよねー。」と現実的なことを言うので、万葉気分が興醒め気分になりながら「雲が隠れるというのは、お別れするという意味なのでは?天皇が崩御された時、古代の人は雲隠れと言ったようだし。」と私が答えると「やっと意味が分かった!」と返事をする。たまに夫は私が知ってることを全く知らなかったりするから、ビックリする。けど、夫に私が知らないことがあるとビックリされるので同じくらいか。
甘樫丘
三輪から橿原神宮前駅まで行き、赤かめバスに乗って甘樫丘までハイキングに行く。この日の天気はハイキングには絶好の日和で、甘樫丘は登っておきたい!と
既に15時であったが決行する。
甘樫丘入り口から入り、登っていくと歌碑と出会う。
またまた万葉集巻1の歌が!とことん飛鳥時代の万葉びとが生きた生活空間を訪れてるのだと実感。これも有名な歌である。万葉集巻1の51番歌で
采女の 袖吹き返す 明日香風 都を遠み いたづらに吹く
志貴皇子
志貴皇子は天智天皇の皇子らしい。飛鳥京から藤原京に遷都する時に寂しくなっちゃって詠われた歌だ。
しかし甘樫丘に蘇我氏の私邸があったのに、なぜ志貴皇子の歌碑なのだろうと疑問に思う。
この歌碑の横にいた万葉集とか古代史好きそうなおじさんがガイドのように話しかけてきて、「ここから水落遺跡も見えるよ。」と教えてくれる。
さらにその説明もしてくれる。水落遺跡は天智天皇が作った、時を知らせるシステム時計みたいなもので、おじさんによるとそれは本当にあったらしいと分かっているとのこと。
「頂上に登ると飛鳥板蓋宮も見えるよ。」と言うので、登ってみる。
甘樫丘でピクニックしてる家族もいて、とっても気持ちいい☀️
ここでおにぎり🍙とか柿の葉寿司を食べると最高のポイント。
蘇我氏の私邸から飛鳥京と飛鳥寺は見やすく飛鳥寺は蘇我氏の氏寺だったらしいから、ここから監視してたのかなと思いをめぐらす。
歴史に関しては頂上のテーブルの上にあった下の写真が分かりやすい。
奈良県立万葉文化館
万葉文化館は県立であるものの、2013年に出来たためかキレイな施設である。
しかも無料で、なんとなくやって来ましたという感じで気軽に入れる。
カフェもステキで、庭園美術館のような景色を見ながら万葉カレーなどをいただける。
万葉ミュージアムが面白い🤣等身大の万葉時代の歌人の人形などが出てくるショーがあり、古代へタイムスリップしたような気分になる体感型ミュージアムだ。
飛鳥板蓋宮
万葉文化館の隣りに亀型石造物や酒船石🪨があるが、今回は天智天皇が乙巳の変を起こして大化改新が始まった場所、飛鳥板蓋宮へ行く。
どこにあるのか分かりづらく、時間に余裕もなかったので行く度に見つけられなかったが、今回はGoogleマップで確実に見つけることが出来た。
意外と万葉文化館のそばで発見。
万葉旅行の楽しみ方を自分なりにまとめてみたが、他にも人それぞれに楽しみ方があると思う。
今回の楽しみ方は私が体当たりで奈良へ行って、こうした方が初めて行った人にとっては、もっと楽しめるかと独断で思ったことなので、他にも
こんな楽しみ方があるということがあれば、教えてくださると嬉しいと思う😊