保育士試験まであと1か月の学習法
令和6年前期保育士試験(4月20、21日)まで、あと1か月となりました。
試験に向けて勉強を進めている皆様、今が一番不安な時期ですよね。でも、不安を感じるということは、ちゃんと前に進んでいる証拠です。
試験本番に向けて、やることはやった!そう胸を張って自信をもって受験に臨んでいただきたい。だからこそ、「今」が最後の踏ん張りどころです。
私はこれまで20年近く、保育士試験の試験対策講座を運営し、多くの受講生に指導や相談対応を行ってきました。本稿では保育士試験について1.問題集の取り組み方、2.9科目は3つに分けて対策、3.何回で合格するか、についてまとめます。
1.問題集の取り組み方
さて、皆様はおそらく参考書と問題集を使って勉強を進めていることと思います。特に、問題集に対してはどのように取り組んでいますか?
保育士試験では、必要な知識がそのまま出題されるのではなく、ひとひねり入った応用問題も出題され、その正誤が合否を分ける傾向にあります。
ひねった問題にぶち当たったときに、知識としては覚えていても、解答を導くことが出来ない、知識と問題がつながらない、そういった状況に陥りがちなのが、応用問題の悩みどころです。
だからこそ、これまで蓄積された知識が、しっかりと問題及び解答につながるように、インプットからアウトプット(必要な知識を引き出し、解答を求める)の練習に重点をおいて進めていくことをお勧めします。
問題を解く目的とインプットとアウトプットの重要性
まず過去問題を見直してみましょう。
すでに、問題を解いていると思いますが、再度、以下の問題を解く目的に留意して進めてみてください。
① 正解・不正解のみならず、その先を意識する
何問正解であったか、間違えていたか? をチェックすることはもちろんですが、さらに以下の②〜④の視点を併せ持って取り組むことが重要となります。
② 一定の知識に関する出題スタイルや形を確認する
試験では、同じ知識が色々な形式で出題されます。知識は覚えていたのに問題の意味がわからなかった、ということがないよう出題スタイル(問題の形式)に慣れることが大切です。
③ 重要ポイントを再確認する
問題記述の○×判断の決め手となるキーワード、穴埋め問題の空白部分は、特に重要ポイント!また、問題を通して、重要ポイントやキーワードを確認することができます。
④ 未確認事項や不足事項を再確認する
手持ちの参考書や資料以外の内容から出題される可能性もあります。また必要な知識について、見落としていたり理解できていない内容があるかもしれません。
問題の記述や解答を通して、未確認事項や不足部分などを確認しておくこと、さらにはそれをプラスαの情報として参考書やノートに追記して情報を集約していくと効果的です。
また、問題に取り組む際に、正解不正解に関わらず、選択肢の一つ一つの内容まで掘り下げて咀嚼することが大切です。
なぜ正しい記述なのか? 誤った記述なのか? その根拠やポイントは何か?
「全国保育士養成協議会」のホームページhttps://www.hoyokyo.or.jp/では、過去2回分の本試験問題が紹介されていますが、解答しか記載されていませんので、解答をチェックしながら、ご自身で解説を作成するつもりで丁寧に復習すると、さらに知識が深まると思います。
「問題」を、知識を補強するための「参考書」として活用してみてください。
①〜④を通じて再確認できた、ご自身の不得意部分や重要ポイント等を、参考書やノート等にしっかり集約し、再度復習をしていきましょう。
インプットとアウトプットを繰り返す
必要事項をチェックして(インプット)→問題を解く(アウトプット)
→問題と参考書(又はノート)と照らし合わせをして丁寧に復習(インプット)
→更新した知識を意識して更に問題を解く(アウトプット)
このインプットとアウトプットの繰り返し、つまり、アウトプットによる問題意識(どういうこと?)を持ちながらインプットで納得(なるほど、そういうことか)していくことで頭に入りやすくなります。
2.9科目は3つに分けて対策
次に、保育士試験9科目の勉強方法です。
ご存知のとおり保育士試験は、9科目で行われ出題範囲が広く、端から端まで勉強することはとても大変です。
だからこそ、やみくもに一つ一つの科目をバラバラに勉強するのではなく、関連性のある科目の知識を組み合わせながら、計画的かつ効率よく進めることが大切です。関連性のある科目で3つに分けることができます。
「保育実習理論」については、実技試験科目である「音楽」、「絵画」、「言語」の3分野に関する理論を学ぶ筆記科目の一つですが、児童福祉施設や保育所保育指針について出題されるため、上記の①や③に関連しています。
①から③でまとめたものはそれぞれ共通する内容が沢山含まれています。
そこで、科目が違えども共通・重複する内容をまとめて勉強することで、学習のコスパ、タイパが上がります。
例えば、①の福祉系3科目を通して、「児童福祉施設」がよく出題される共通テーマです。
②の発達系では、「子どもの保健」や「子どもの食と栄養」で、「子どものアレルギー」がよく出題されます。
関連科目の共通テーマは、科目ごとにバラバラに勉強するのではなく、一つにまとめて勉強をすること、知識を横断的に活用すること、これが膨大な試験範囲を効率よく制覇するコツです。
3. 何回で合格するか
また、この科目間の関連性を活かした学習は、合格に向けた学習計画を立てる上でも有効です。
一回の試験で合格を目指す方もいれば、科目合格が認められるシステム(各科目において合格すれば3年間は有効)を生かして、年単位での資格取得を目指す方もいらっしゃると思います。
その場合に、各科目の関連性を考慮せず、バラバラの分野で勉強を進めてしまうこと、かえってボリュームを増やしてしまうことに繋がり、非効率といえます。
例えば、
・1回目の試験では①(福祉系)と③(原理系)の科目に力を入れて合格を目指す。
・2回目の試験で②(発達系)の勉強を進めていく
・保育実習理論は学習の進行具合をみて、1回目もしくは2回目のいずれかで合格を目指す
というように科目の関連性を活かした学習計画を立てることが、効率よく学習を進め合格につながるコツです。
以上、保育士試験について1.問題集の取り組み方、2.9科目を3つに分けて対策、3.何回で合格するか、についてまとめました。
多くの保育士試験を受験される方が、100%の力を発揮して資格を取得され、ご活躍の場を広げられることを祈っております。
ふたば先生
保育士、社会福祉士、産業カウンセラーの資格を所有。保育士試験対策スクールや複数の大学、自治体において、約17年間保育士試験対策講座の講師として指導に携わり、保育士を志す多くの受験生を合格に導く。保育士試験の福祉系科目を中心に、「科目の枠にとらわれない学習メソッド」を提唱。
YouTubeにて、保育士試験対策講座を公開中!
「ふたば先生の保育士試験対策講座 ふくしの部屋」https://www.youtube.com/channel/UCdES-Nq2REvUQvQ0VT2op0g
また、下記2冊の執筆も行う。
「2024年版 ほんとによく出る 保育士 ベスト過去問&予想問題集」(実務教育出版)
「2024年版 まんがでわかる 保育士らくらく要点マスター」(実務教育出版)