『魔女の隠れ家』 ー犯人に対するサディスティックな扱いー
『魔女の隠れ家』(ディクスン・カー著 高見浩訳 創元推理文庫)は、夜一人で読むことをお勧めしません。私自身かなり怖い思いをしました。
それは、カーの筆力というか高見さんの翻訳の力というか、とにかく怖くなりました。こんな気持ちになったのは、後に映画『サスペリア2』を観た夜くらいです。
最初は、非現実的な設定だなと思いました。
でも、だんだん読み進んでいるうちに物語に引き込まれるというか、背後に誰かいそうな気配を感じるというか。
内容的には多くのミステリと同様に、殺人があり、謎があり、犯人がいるのですが、本作では事件のあった舞台が気持ち悪くて仕方ありません。
ご飯を口に入れる気がしなくなります。
特に物語の最後なんですが、探偵役のフェル博士が犯人を指摘し、その後なんやかんやあるんですが、そのなんやかんやの後の犯人の描写ときたら。
今まで読んできたミステリの中で、一番犯人をサディスティックに扱っていると思います。
あっ、サディスティックに扱っているのは、フェル博士ではなくて、作者のカーが、なんですが。
以上