『すずめの戸締まり』見て防災グッズ買った
『あの震災』を扱った映画
『すずめの戸締まり』は震災を取り扱っているにも関わらず、
視聴後は不思議と心が晴れる映画だった。
『すずめの戸締まり』は『あの震災』の十数年後が舞台となっている。
そして、描かれる内容は震災とどのように向き合うかである。
震災が題材だと、震災直後が舞台で被害状況から震災の恐ろしさを伝える
作品が多いように思うが『すずめの戸締まり』は別のアプローチをとった。
直接的な地震描写が少なく『ミミズ』というフィクションに置き換えられていることもあり恐ろしさはあまり感じなかった。
だが、筆者の中では最も『震災』を強く意識づけられた作品となった。
この記事では、筆者が感じた『すずめの戸締まり』の良いところをまとめている。少しでも共感頂ける点があれば幸いだ。
男主人公が椅子
『すずめの戸締まり』は震災を題材とした作品で、『ミミズ』から世界を救う物語のため、そのままだとどうしても空気が重くなってしまうだろう。
しかし、草太が椅子になったことで絵面が非常にコミカルな空気になった。
動き回る椅子の様は面白く、劇場内でも笑いがよく起きた。
ストーリーの重さに比べて空気を明るく感じたのは間違いなく椅子のおかげである。ただ、草太が『要石』になった後の終盤を明るくしてくれたのは草太に2万円借りてる友人だった。
彼らは良い教師になれるぞ
キモイシーンがない
『君の名は。』だと口噛み酒、『天気の子』だとラブホテルのシーンは
「気持ち悪い」と批判の声が特に多かった。
だが『すずめの戸締まり』ではそんなキモさを感じるシーンがない!
強いて言うならすずめのシャワーシーンがあるが、まったくエロさはなく
すずめの裸体からはむしろ戦場へ出向く兵のような迫力さえ感じた。
このシャワーシーン後にすずめのトラウマの地である北へ向かうのだが、
草太の靴を履いて出立するシーンが筆者が一番好きなシーンである。
すずめにとってのトラウマの地へ向かうために草太の力を借りているようでとてもニッコリした。
「生きるか死ぬかは運次第」
「死ぬのが怖くないのか」に「怖くない。生きるか死ぬかは運次第」と答え『要石』になった草太を救うために「私が代わりに要石になる」と即答する女子高生。
覚悟決まりすぎだろ。主人公だとしても凄すぎる。
そんな印象も『あの震災』の被害者であると知るとガラっと変わる。
覚悟が凄いのではなく震災で死生観が歪んでしまったのだ。
でも、確かにそうだ。『震災』なんて対策しようにも限界がある。
家族が亡くなったのも、すずめが生き残ったのも、筆者が生きているのも
運以外に何の違いがあるだろうか。
「生きるか死ぬかは運次第」
この言葉は筆者に突き刺さった。
『すずめの戸締まり』は地震を『常世』『ミミズ』など間接的に描写している。そして主人公の周りは今から『ミミズ』で地震が起きるなんて思いもしない人ばかりだ。だから響いたのかもしれない。
いつ来てもおかしくない地震を筆者はどこかフィクションのように感じていたのだ。
震災をテレビでの出来事だと他人事のように受け取っていた筆者の頭に
「そうじゃないだろ」とバッドでぶん殴ってきたのだ。
このセリフは間違いなく筆者の中の震災イメージを変えてくれた。
少なくとも防災グッズを購入させるパワーをこのセリフは持っていた。
さいごに
『君の名は。』『天気の子』とヒット作を作り出した新海監督だが、
多くの人に触れてもらった分、批判の声も多く上がっている。
「でも、それが作風でしょ」
「嫌なら見なければいい」
それで片づけても問題ないはずだ。
しかし、新海監督はそんな批判の声にも耳を傾け
『すずめの戸締まり』で改善するよう手を加えてた。
キモイシーンをはじめとして
目立ちすぎているスポンサー、曲が流れるダイジェストシーンの乱用など
新海監督は批判された箇所を柔軟に対応し、今作に落とし込んでみせた。
今作もよかったが、こんな改善をみせてくれたなら
次回作への期待も膨らんでしまう。
もう、次の新海作品が見たい!!
タイムマシンはまだ持っていないので、
AmazonPrimeにて過去作を再視聴したいと思う。
ここまで読んで頂きありがとう。
それでは皆さん!いってきます!