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1562年の発刊によせて(第一説教集序文試訳) #3

原題: The Preface, as it was published in the year 1562

※タイトルと小見出しは訳者によります。


み言葉はあまねく宣べられるべき

この誘惑に満ちた世の旅路を歩むなかで拠るべき眩い光であり魂の唯一の食物である神の御言葉がいつなんどきも人々に宣べ伝えられるのが、どれほど大切であるのかを考えてみてください。神の御言葉に耳を傾けるとき、聖書にある聖霊の力によって、わたしたちは神やこの世の君主や隣人たちに対する義務を学ぶことができます。同時に誤った教えによって神の教会にこれまで蔓延ってきた様々な非道から身を遠ざけることもできます。

司祭の力量のなさは深刻である

また司祭に任じられた人すべてが民を導くのに十分なほど説教をするだけの力量を持っているわけではないのですが、そういった司祭のもとで礼拝をしているということがどれほど深刻であるのかを考えてみてください。これを解決する策がすみやかに作られて広められなければ、民が司祭の説教に耳を傾けなくなり礼拝が立ち行かなくなってしまいます。

女王陛下は臣民の平安を願われている

畏くも女王陛下におかれましては、愛する臣民の魂に平安があるとともに、キリスト教の要諦となるところを臣民が健全に理解することを願っておられます。あらゆる美徳への何よりの導き手である神の御言葉を正しく広め、ただ純粋にそれを口にすることによって、あらゆる腐敗や悪徳など神の御心に従わない生き方のみならず、迷信と偶像崇拝に犯された教義が駆逐されることを望まれております。

説教集を再び世に出すこととする

これを遂行すべく、陛下に極めて忠実な重臣たちの助言により、陛下が深く愛される兄君であり極めて貴い記憶の中にある王エドワード六世が以前に出された説教集を、新しくして世に出すことにされました。この中にはわたしたちを導く神の確かな御言葉があります。すべての位階や立場や職業にある人々に全能なる神に崇敬を向けてして真剣に仕えさしめているものであるのです。

説教集をどのように活用するべきか

女王陛下におかれましては、すべての牧師、代理牧師、牧師補など、礼拝にかかわるあらゆる人々に直接的な責任を委ねておられます。日曜日や聖日のたびに、聖餐式を行うときに、あるいはその日に聖餐式がなくても、祈祷書に定められている手順で福音文や信仰告白を読み上げたあとに、やはり祈祷書にある手順で、この説教集からひとつを選んで、教区民たちに読み聞かせをすることになります。これは女王陛下のご指示で定められているところに拠ります。このため、また他のいかなる理由にもよらず、この説教集の読み上げは翌週の日曜日か次の聖日を俟つことになります。そしてこの説教集の読み聞かせが終わったら、女王陛下の望まれるところとしては、またはじめにもどって、同じ要領で読みきかせを行うこととなっています。

あらゆる位階の人々に教えを説くべし

さらに女王陛下が命ぜられるには、国教会の聖職者たちはこの手順は言うまでもなく、他にも定められている通りに陛下のご指示に従うべきです。陛下のご指示に特に記されているとおり、主の祈り、信仰箇条、そして十戒は、人々に広く唱えられるべきものです。すべての人々は位階やその置かれている境遇がどうであるかによらず、神の御名を唱えて求め、神と人間の両方に対する義務として自身が何をするべきであるかを知ることができます。

まとめと結びの祈り

そうすることによって、この世に生きるにおいても後の世においても、その血をもってわたしたちを贖われたかのお方にあって、人々は自身が為すべきことを知って祈り、信じ、行うことができるのです。父と聖霊とともに、かのお方に、すべての誉れと栄えが永遠にありますように。アーメン。


(「第一説教集」目次)


今回は序文の試訳でした。次回は第一説教集第1部「聖書を読むことについて~聖書を読んで知識を持つことについて(原題:A Fruitful Exhortation to the Reading and knowledge of holy Scripture)」の解説をします。

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