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プルジャさんちの台所で魔法にかけられた(プルジャダイニング)

インド料理の名店を語るシリーズ?第二回は、巣鴨が世界に誇るネパール料理の名店、プルジャダイニングです。

巣鴨は赤いパンツの街だけじゃない

皆さんは巣鴨というと、何を思い浮かべますか?

撮影:さいちょ いい写真でしょ


お年寄りの街とか赤いパンツとか…山手線沿線の中でも一際ノスタルジックなお店ですよね。僕は結構好きなんですが、なかなか縁がない人もいますよね。「もっと刺激が欲しいわ」「落ち着いてていいけど、ちょっとドキドキしたいなぁ」と思っているそこのあなた!!そんな方(更に印度亜大陸料理が好きだと尚良い)にこそ行って欲しいお店が、今回紹介するプルジャダイニングです。

プルジャダイニングの外観。今年の二月ごろかな

赤提灯ならぬ、黄色提灯が煌々と光っています。気合いの入った文字も良いですね。外観からして、普通のネパール🇳🇵料理店とは全然違いますよね。当然インネパとも違う。
名前の通り、ここはプルジャさんの台所なのです。どういうことかって…?それは料理をオーダーすればわかります。

道なき道を メニューになきメニューを

プルジャダイニングはネパール料理店なので、メニューを見ると、ダルバート(ご飯に豆のスープのついた定食)や、モモ(ネパール風小籠包)や、スクティ(ネパールの干し肉)などが揃っています。どれも美味しいですが、私はここで声を大にしていいたい 
メニューをそっと閉じ、おまかせに身を委ねるんだ!」と。特にディナーに複数で行く場合は絶対にそうした方が良いです。食べたい食材がある場合、「豚おまかせ」みたいに頼むと良いですよ!
さぁ、プルジャ劇場のスタート!!

発酵アチャール

2024年9月5日のお通し


突き出しは大根の発酵アチャール。発酵の酸味がまろやかで、日本酒のような甘みもあります。そしてスパイスの苦味が加わり、様々な要素のレイヤーが重なって奥行きのある味わいです。

豚トロとアレッタの炒め物

2024年2月5日、豚と野菜のおまかせ

アレッタとはブロッコリーとケールを組み合わせた野菜みたいです。初めて食べましたが、青菜特有の風味はありながらエグ味や苦味が少なくて、油がよく馴染んで、青菜炒めとして最高です。食感も程よくシャッキリとクッタリの中間で、これが豚トロの脂の旨みにめちゃくちゃ合う。高級中華のような料理。因みに使われている野菜は、茨城県で自家栽培しているもの!すごいこだわり

豚ハラミと発酵筍の蓮子の炒め物

2024年2月5日、豚と野菜のおまかせ


メンマに酸味と甘みが加わったようなネパールの発酵筍が主役!!これが味の軸になっています。発酵由来の奥深い風味が、豚の旨味と蓮子のシャッキリした甘みをまとめ上げ、馴染ませています。飛び道具的にフェンネルの爽やかな香りがするのもgood!これは今までのプルジャの中で1番好きです。

豚唇とカリフラワー炒め

2024年2月5日、豚と野菜のおまかせ

豚の唇は初めて食べたけど、ほぼコラーゲン!ムチムチした食感で旨味の塊でした!カリフラワーの茎の歯切れ良い食感とよく合います。野菜自体も味が濃くて美味い、野菜が豚にまけないんですよね。プルジャさんの豚肉の部位に対する野菜の組み合わせが素晴らしい。スナックの食感もいい感じ!

豚鼻としめじと大和芋

2024年9月5日。豚と野菜おまかせ

豚鼻はコラーゲン多めで豚足と豚トロの間って感じでした。プルンプルン。大和芋はホクホクしたジャガイモと里芋の中間のような食感で、それらが玉葱とトマトベースのグレイビーで炒められています。見たことない組み合わせだけど、しめじの旨みと水分間がプルプルな豚鼻とホクホクな芋の繋ぎ役になっていて、それぞれがしっかり作用してました!!あと、先程も書きましたが、スナックがいいですね。肉や野菜の表面に付くと、衣のようになって余計に美味しく感じます。こいやぁ、野菜と肉を炒めるだけのようにも見えますが、シンプルな過程の中に食材への知識や熟練の技を幾つも見ることができます。

コアジのフライ

2024年9月5日。魚おまかせ

ネパールに海はないので、アジはいないですが、プルジャにはとびきり美味いアジがいました。
しっかりフライしてあるので、骨なんて気にせずバリバリ食べれるし、内臓まで美味い(むしろ内臓が美味い)と思えるような味付けです!スパイシーな辛みにネパール山椒?の適度のシビレ、そしてフレッシュな酸味がアジの脂の旨みとめっちゃ合う…ネパールに海はないはずなのに、プルジャさんは海の魚を美味く食べる術を知り尽くしていますね…!

ポポーのプティング

2024年9月5日。デザートのおまかせ

プルジャダイニングは茨城県で取れる希少なフルーツをプティングにして出してくれます。これはポポーという北米原産のフルーツを使っています。もちろん初めて食べましたが、マンゴーやマスクメロンやバナナのようなもったりした甘みに、のようなフルーティーな爽やかさがありました。酸味の少ないフルーツの中では、めちゃくちゃ理想的でファンタジックな味。これは果物そのままでも食べてみたいですね〜。

カッテチャイ

カッテとは炒ったお米のこと。お米が入ったチャイ、珍しいですよね

こちらはメニューにばっちり書いてあるのですが…プルジャ名物なのでおすすめさせてください笑。炒ったお米が入っているチャイなのですが、ポン菓子(あの人参型の袋に入ってるお菓子です)みたいな味がするんですよ!飲むポン菓子!僕は好きです。是非、ご賞味ください

プルジャさんの台所で季節を感じろ!

先程、メニューにないものが…なんて通ぶっていましたが、メニューに載っているものも当たり前のように美味いんです。その中でも特におすすめなのが、季節や期間限定メニュー!ネパール料理で季節を感じる、こんなことできるのはプルジャだけです。

マチャ・スペシャル

2021年11月に提供されていました

マチャとは魚のこと。魚料理(ニジマス)や芋料理を中心に季節の野菜を味わえるセットメニューでした。
右上のカトリにのっているのがニジマスカレー。トマトベースの優しい酸味に、魚の旨味が溶け込んでいてすごく美味いです。魚は揚げてあって骨まで食べれました!
円形の皿の1番上に盛られているのは、ニジマスのサデコ。揚げたニジマスの頭を人参やニラなどと炒めています。
真ん中のぺーストは、里芋ととうもろこしのディロ(蕎麦がきのようなもの)。ねっとりした独特な食感、そして芋やとうもろこしの素朴な甘みが広がり、おかずによく合います。

チーソチャウチャウ

2024年の7月頃から登場。まだ食べられるかな?チーソチャウチャウは直訳すると、冷たい麺という意味

プルジャさんの創造力は留まることを知りません…冷やし中華にインスピレーションを得たというプルジャ・オリジナルの料理!!胡麻や胡桃などの色々なナッツが入っている香ばしくてクリーミなつけだれに、柔らかだけどぷるぷるした食感とコシがある自家製麺を絡めて食べます。これがものすごく美味い。アマランサスやシロザなど4種類の青菜を混ぜたサグ、噛めば噛むほど味が出てくるチキンスクティ(干し肉) などおかずもどれも美味いです。冷やしプルジャで残暑を乗り越えよう!!

終わりに(プルジャ・ダイニングはホソノ・ハウス)

ある時、「プルジャダイニングって店名、ホソノハウスみたいだな」と思ったのですが、名前じゃなくて、そのコンセプトや在り方も似ている気がしました。
『HOSONO HOUSE』とは、はっぴいえんどやYMOのリーダーである細野晴臣が1973年にリリースしたアルバムです。カントリーにブギーにカリプソなど様々な国のリズムが入っているのに関わらず、日本の古き良き里山の景観が浮かぶのです。
プルジャダイニングもそう。一見、普通のネパール料理店にはまずないであろうエキセントリックな料理の数々。しかし食べてみると、「ネパール味」をしっかり感じる。
型破りなオリジナリティを持ちながら、実家のような安心感も与えてくれる。おとぎ話のような、魔法のような創作物。こんな音楽は細野晴臣にしか作れないし、こんなネパール料理はプルジャさんにしか作れない。

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