『青い眼がほしい』トニ・モリスン/ノーベル賞チャレンジ
性的描写や人種差別描写が問題で一時禁書になった本作。
ちょっと読めば自分にとって無理かどうか分かると思うから、自己判断でいいんじゃないかな、と私は考える。
性描写は、淡々とした文体。ただしやってることはおぞましい。
人種差別は……人種差別をテーマにした小説だから、がっつりある。
弱い者がさらに弱い者を、というやつ。
「青い眼がほしい」と言う醜い黒人少女ピコーラ。普段黒い肌で差別にあっている人たちが、そのフラストレーションを彼女にぶつけている。
青い眼があれば、こんな目に遭わなかったかもしれないのに。
「青い眼」は美しさ以外の意味も含んでいる。
差別されない階級、一定レベルの家庭環境。
いくら善良で優しくても肌の色が薄く碧眼の子にはかなわない。
私が一番きついなと感じたのは、主人公「わたし」の終盤の考え方。
自分も不当な差別にあっているけど、ピコーラほどではない。彼女に比べて私は美しいし、外交的だ。
「わたし」は最初ピコーラに同情していて、彼女の味方だった。登場人物の中でもかなりいい人なだけに……、
プライドを守るための考え。いい方法ではないと思うけど、その感じを分かってしまう自分もいるんだよなぁ。
この階級の中で強く正しくあるにはどういう振る舞いがいいのかも全然分からない。ともかく異常な世界でダメってことは分かるけど……。
逃げるぐらいしかないけど、逃げたところでその先で人種差別にあうことは確定だし。
強い人、うまく立ち回れる人しか生き残れない。
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