
旅館経営の難しさ 賄い編
旅館経営の難しさの中の一つにスタッフの「賄い」がある。
これ、中々大変な問題である。
朝早くから、夜遅く迄の業務が毎日であり、独身の若いスタッフは、賄いが無ければ生きて行けない現実がある。
また、派遣社員受入の条件に、1日2回以上の賄いを提供する!というものがあったりする。
これ、派遣されたスタッフが、内容が納得出来ない場合、派遣会社から直ぐにクレームがある。
ホテルの場合には、従業員食堂があり、大型ホテルの場合、朝食から昼食、夕食まで対応している。通常は、昼食と夕食だけの対応のところが多い。
私が過去にお世話になった横浜のインターコンチは、朝昼晩対応していた。
何しろ社員数500名前後、土日はブライダルで
配膳会からの派遣スタッフで、数は倍増!
旅館とは規模が違う。
昼食と夕食は、定食が2種類の他に、カレーや
麺類のうどん、蕎麦、ラーメンなどもあり、選択肢も多かった。
デザートまで付いていた。
一方、旅館で従業員食堂を持っているところは、かなり稀である。
まあ、規模が違うからという理由や、採算に合わないというのもあるが、これも旅館衰退の大きな要因だと思う。
では旅館の賄いは、どんな感じかと言えば、
厨房が担ってくれるケース、これ極めて少ない。
理由は、こんな感じ、、
先ず、料理長はゲストに対する料理に対して命を掛けているので、その他のこと(賄い)など知るか!そんなもの、そもそも採用時に聞いて無いし!という見解!このケースがほとんどである。
しかし、自分たちはしっかり、美味しい賄いを自分たちで作って食べている。
しからばどうするか、、
女将などが作るケースもあるが、これもかなりの負担で、中々続かない。そのくらい大変なのである。
そして、外注のお弁当に頼るわけである。
このお弁当、最初はいいが、飽きる!
めちゃくちゃ飽きる!
どうしようも無いくらい、嫌になるのである。
それが嫌で辞めていくスタッフも多い。
中には、実情を理解して賄いを作ってくれる料理長も居る。
頭が下がる思いである。
そんな感じで作ってもらった賄いを食べる側の意識はどうかと言えば、
「別に、当たり前でしょ!」
というもので、作ってくれた側に対する感謝が無い!お礼の挨拶もしない!
作っている側は、段々とイライラし、内容に対して気持ちを込めなくなる。
今度は、食べる側がイライラする!
悪いスパイラルである。
年末年始は、厨房も大忙しなので、その間の賄いは、私が作っていた。
20-25人分くらいである。
普段、家で2-3人分作るとは訳が違う。
材料を切ったりの仕込みだけで疲れ果ててしまう。
クリームシチュー、中華丼、筑前煮、酢豚、親子丼、すき焼きなど色々作ったが、本当に大変だった。
喜んでもらおうと愛情を込めて作るのだが
「美味しかったです!」
「ご馳走様でした」
と挨拶をするのはわずか、、
段々バカらしくなるのである。
こうやって、賄い問題は良い展開にならないのであった。
いいなと思ったら応援しよう!
