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日本の黒い霧④ 帝銀事件

■帝銀事件
【本文より抜粋】
もし、帝銀犯人が、このGHQ内に庇護されていた細菌部門関係者の筋から出ていたとすると、これは容易ならざることである。当人のことを言うのではなく、そのために、アメリカが日本旧軍人を留用して細菌研究をしているということが分かれば大問題だし、世界に知られては、極めてまずいものなのである。だから警視庁の捜査が軍関係にむかって圧縮されると、困った事態になることは当然だった。占領軍の呼ぶ通称「MPB」(警視庁)の捜査技術は優秀であった。徐々に、しかも的確に、精密に、その網を軍関係に絞りつつあった。しかも、これだけの大事件である。日本の新聞はもとより、外国の通信員が鵜の目鷹の目で事件の推移を注視していた。もし、少しでも、そこにGHQ内の細菌研究部門の存在が窺知されようものなら、日本の新聞は押さえることは出来るが、世界の特派員の通信を押さえることは不可能であった。現に、警視庁では、事件が起こった最初、生き残りの犠牲者を聖母病院に入院させたが、日本の新聞記者の面会は禁止した。しかし、外国の新聞記者は押さえることが出来なかった。共同通信の記者が病院へ行って生き残りの帝銀行員から話を聞いてスクープしたのは、外国通信員に化けたためである。
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帝銀に用いた毒物は、裁判で言うように、青酸カリではない。高木検事も、裁判の初めには「青酸化合物」という言葉を使っていたが、遂には、いつの間にか「青酸カリ」になってしまった。
確かに、帝銀に使われたのは単純な青酸カリではなく、特殊な化合物である。それがアセトンシアンヒドリンやニトリールと呼ぶものであったにせよないにせよ、とにかく単純な青酸カリでないことは確かであり、その遅効性の特徴から見て、特別な化合物が創造されているのが分かるのである。
検事側の主張うる「青酸カリが古くなったから遅効性となった」というようなナンセンスな話では決してない。
だから、かえってこう言えるのだ。帝銀事件に使われた毒物が単純な青酸カリだったら、或は平沢が犯人かも知れない。しかし、それが特殊なものだったら、断じて犯人は平沢では無いのである。
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三つの仮説が立てられる。
①犯人は、現役のG3(作戦部)所属機関の極秘石井グループの正式メンバーであった。
②関係は皆無とは言えないが、上級グループではなく、また、戦後の秘密作業(細菌戦術)の進行には直接タッチしていなかった。
③第七三一部隊(関東軍防疫給水部、石井部隊)か、第一〇〇部隊(関東軍軍馬防疫)に所属した中堅メンバーであり、ニトリールのような毒物の存在をしり、かつ、それを使用する立場にあったが、戦後の秘密作業は知っていたものの、関係は公的にはなかった。
という三つの仮説である。
その内、実際に考えられやすいのは、第三のケースだが、この方面の警視庁の洗いに対し、GHQやG2のCIC、またはPSD(CIEの世論・社会調査課)が、日本側にある種のサジェッションを行った、という想像は空想ではないと思う。
実際、警視庁は、最初の捜査網に基づいて、本格的に軍関係方面にむかって捜査を行っていたのだし、事実、警視庁本来の実力をもってすれば、遠からず真犯人の身辺近いところに進み得たであろう。しかし、この犯人が分かることは、同時に、現在進行中のG3直属の秘密作業を日本側に知らせることになるので、この捜査方針の切換えの必要を米側は切実に感じたであろう。そこで、捜査要網に基く本筋捜査の打ち切りにGHQが大きく動き出した、というのが想像におよぶ状況である。
GHQが、犯人の身辺に当局の捜査の手を伸ばしてもらいたくない理由は、GHQのセクション(作戦参謀部)の、最高秘密作戦計画の一つであるCBR計画のC項(細菌)における石井作業の完全秘匿にあったと思う。この作業が日本警察の捜査によって暴露すると、甚だ困ったことになるからだ。

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【ササピー】
この有名な事件も、GHQが絡んでいた可能性が高いようである。
えん罪で逮捕された場合、余程のことが無い限り再審は認められず最終的に死刑になる。
もう少し科学的な判断が出来ないものなのだろうか、、、

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ササピー
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