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金沢國際ホテル Vol.4

ボクが金沢に異動になるちょっと前くらだったと記憶しているが、
セゾンが世界に展開するホテルチェーンであるインターコンチネンタルを買収し、
大きな話題になった。

運良くボクは日本で初めて開催されたインターコンチネンタルホテルのトレーナー資格
の研修に参加させてもらうことが出来た。

これは1週間横浜Gインターコンチネンタルホテルに缶詰にされ、
講師は全て外国人で、全てのカリキュラムが英語で行われた。

インターコンチネンタルチェーンにおいては、ホテルでのスタッフへの研修は、この資格を有している者にしか許可されないという
厳しいルールがある。

横浜Gから2名、ホテル西洋から1名、京都ロイヤルから1名、西洋コンチネンタル本社の
人材開発から2名、そして金沢からはボクというメンバーであった。

皆、ヒューマンリソースやトレーニングなどに関連する仕事をしている人たち、
ボクは金沢でホテルスクールの講師をしていたことから選ばれたようだ。

グループ会社での研修でありながら、参加費用が当時で一人40万(宿泊代も含め)
くらいであり、参加させてもらったことに大きく感謝している。

しかしこの研修、生半可なものではなかった。
全てが英語なのである。
配られるプリントもビデオも、話している内容も全て英語…
講師は、イギリス本部から1名、オーストラリアから1名、
そして横浜Gのトレーニングのディレクターの合計3名。

ボクたちは自分の前に英語で書かれた大きなネームカードを置いていたのだが、
京都から参加したメンバーのファーストネームがHIDEAKIだった。

これは外国人には発音しにくいようで、彼はいつも「ハイデアキ」と呼ばれていた。

ククク…と皆で笑ったものであった。
そして彼は皆から「ハイディ!」と呼ばれるようになった。

面白かったのはそこまでで、研修がスタートした途端、
ボクの頭はワープしっぱなしであった。

いくらクリスから毎週3回英語を習っているからと言っても、こんな高度の研修を
日本語でやってもらっても理解出来るかどうか自信が無いが、それを英語で
やられたら…何が分からないのかすら分からなかった。

結構根がいい加減なボクであったが、研修2日目の朝には、逃げ出そうかと
真剣に考えた程である。とにかく精神的に追い詰められた研修であった。

この研修は最後に一人3回のプレゼンテーションの機会が与えられ、
それで資格が取得出来るかどうかという非常に厳しいものであった。

この研修プログラムはGCT(ゲスト・コーテシー・トレイニング)を
基本としている。

これは8つのベーシックスキルを、どの場面でどのように活用するかを
繰り返し学んでいくものであり、研修を研修で終わらせるのでは無く、
今回学んだことを現場でどのように実践したかを重視し、継続して行うものである。

その内容は、ビデオでシチュエーションを見ながら(短気な顧客の対応など)
考えるものや、プリントでのシチュエーションで考えるものなど非常に実践に
即した内容となっている。

その場で学んだことを正しく理解したかどうか、いくつかのグループに分かれて
パフォーマンスしてもらうなど、従来日本にあった研修スタイルとは全く違い、
参加者も楽しみながら研修を体験出来るものである。

皆、3回のプレゼンに向けて夜も寝ないで頑張っていた。
いや本当に4日連続くらいで完全に徹夜している人もいた。

ボクだって頑張った。
でも、夜は眠くなるので11時くらいには寝ていた。
それでもボクとしては精一杯である。

土日を挟んでいて、たしか1日だけフルでお休みがあった。
それはもう後半の方でもあり、皆缶詰になって朝からプレゼンに準備を
していたようである。

ボクはといえば、横浜Gの宴会にはY光氏という金沢から行った友人
(宴会のMGRをしていた)がいた為、彼に連絡してシャンパンやら
ワインやらビールやらをタップリ持ってきてもらった。

いや~、本当にイッパイ持ってきてくれたのだ。
彼は部下を引き連れ、台車で運んできてくれたほどの量だった。

ボクはこの研修期間中にこれだけの量のアルコールを消費出来るものか
少々悩んだりしたものである。

そして、そうだ!と閃いた。その休みの日に東京の友人を呼んでパーティーを
やろうと!

井沢ちゃんに声を掛けると大喜びで来た。
女性もイッパイ来て、そのパーティーはとても盛り上がった。
翌日、徹夜で目を赤くしている面々に昨日のパーティーのことを話すと
皆呆れ果てた様子で、それからボクとあまり話をしてくれなくなった。

そんな感じで迎えたプレゼン、ボクはめでたくOKをもらうことは・・・
出来なかった。
お~会社から40万も払ってもらっているのに、どうしよう・・・
なんてことはあまり考えなかった。
もう研修が終わった喜びで(そんなに頑張ったか?)イッパイであったのだ。

その後、金沢で再度プレゼンの機会を与えていただき(横浜のトレーニングのディレクター
とヒューマンリソースのディレクターがわざわざ金沢まで来てくれた)、
金沢のホテルスクール生に対してGCTを実施することになった。

これでダメだったらシャレにならない。
ボクは生徒の彼らに色々と指示を出した。

ここで笑え!ここで手を挙げてこういう質問をしろ!
とにかく楽しそうに参加している雰囲気を出して欲しい!何度も練習をして臨んだほどだ。

結果はOKであった。
あ~良かった!と心底思った。
その合格証は今でも大切に持っている。

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ササピー
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