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減り続ける旅館、その経営の難しさは、、
2000年度には7万4876件あった日本の「旅館・ホテル」だが、2020年度には5万703件まで減少した。20年間で32%減少したことになる。特に減少著しいのが、地域で観光客を受け入れ、日本の伝統文化の象徴ともいえる旅館だ。2000年度には6万6766件あったが、2019年度には42%減の3万8622件まで減少。客室数でみると、2010年度に初めてホテルと旅館が逆転する。2018年度には、ホテル客室90万7500室に対し、旅館は68万8342室となった。
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【ササピー】
日本の伝統文化の象徴ともいえる旅館だ。2000年度には6万6766件あったが、2019年度には42%減の3万8622件まで減少。
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インバウンド好調で、増えているのでは、、
と考えた方も居たかと思うが、実際には
旅館もホテルも減っているのである。
特に旅館は、減りかたが激しい!
都市部のホテルに限れば、増えているのかも知れないが、、旅館は、確実に減っている。
さて、ホテルと旅館、どこが違うのか?
似ている部分もあるが、細かく細分化された組織で出来ているのがホテル。
一方、旅館はホテルと比較するとあまりにも大雑把である。詳しく説明したい。
例えばホテルの宿泊部門を見た場合、
チェックイン・アウトと対応するレセプションの他に
ゲストリレーションズ、ハウスキーピング、リザベーション、セールス、プランニング
ベル、ドアと分かれていて、その業務内容はそれぞれ全く違うものである。
ちなみにホテルは欧米の文化なので、部門を表す名称を含め用語は全て英語である。
一方旅館はどうかというと、上記のような部門は存在せず「フロント」と呼ばれる和製英語のところが全てを網羅するというか、必要な部分だけをピックアップしている。
かなり、無理がある、、
全てがそんな感じなのであるが、旅館を運営していく上で欠かせない存在として
①料理長
②レベニューコントローラー
③フロントスタッフ
④仲居(サービススタッフ)
どれもが不可欠である。
②のレベニューとは、予約のコントロールである。
これは、ホテルのリザベーション部門で、一番大切なところである。
そしてそれは、非常に難しく、旅館においては
適材な人材が少ないという現実もある。
それゆえ旅館では、外部にそのコントロールを委託するところが多いが、これも衰退の原因の一つである。
支配人がその任を担当しているところもあるが、それが出来る人材も少ない。
一番大事な頭脳(予約コントロール)を自己で管理出来ないなんてナンセンスである。
そして①の料理長。
これがまた悩ましい。
料理長に必要な条件としては、技術はもとより、人柄、マネジメント力などが不可欠である。
具体的には、季節に応じた献立を書き、原価計算をきちんとして、定められて原価で満足いただける料理を提供する必要がある。
これがきちんと出来る人が実に少ないのである。
ホテルにおいて、食材仕入れはパーチェシング部門が、発注と納品を管理している。
実際に納品された肉が注文した等級や部位、適正な価格か、そして注文したグラム数であるか、納品時にはかりにのせてチェックする。ここを通過してから現場に運ばれるのである。
旅館の場合には、そんなややこしい部門などあるわけも無く、料理長が業者に直接手配し、業者は直接厨房に納品するのである。
そして、料理長は業者から賄賂をもらったりと悪いことをするわけである。
業者もバカではないので、その分を単価にのせたり、肉のグラムをごまかしたりするのである。
よって業者は困らないが、これでは経営を圧迫する事態へとつながる。
これ、本当に多い。いまだに無くならない悪しき習慣なのである。
続いて仲居である。
仲居の業務は多岐に渡るが、朝食と夕食のサービスはメインである。
必然的に業務時間が長くなるために、朝7時から10時まで、夕方15時から21時までとし、途中「中抜け」という形をとったりするが、中抜けと言っても中途半端で、せいぜい出来るのは昼寝くらいで、全く自由が無い。こんな形態では若い人が集まるわけも無く、常に人材不足である。
言い方は悪いが「誰でも良い」的なことになってしまうのである。
田舎の旅館では、得体の知れないような女性が働いているのも珍しいことではない。本当の話である。
※これについては、また改めて書きたい。
また派遣会社からの派遣に頼ることにもなるが、これがまた単価が高く、住宅やら食事やらやたら条件が多い割に、派遣されてくる人材はとんでも無い輩ばかりなのである。
つまり、労働環境が悪いことやギャラの安さなどのスパイラルが中々良い方向に向かないのである。
これらは、日本の旅館は家内工業から発展した業態であることが大きいのでは無いかと推察する。
このままでは、日本から旅館は無くなってしまうかも知れない。
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