木漏れ日、雨粒、春の日に
昨日は冷たい雨のいちにち。
雨の中、早朝から娘を試験会場へ送る。
会場の近くで夕方まで時間を潰す。雨の中、植物園へ…
雨なので、人はほとんどいない。貸し切りだ。
前にもこの温室が工事中のときに(3年まえくらい)、温室で働く方にものすごく熱く、リニューアルする温室について、植物について、解説された記憶があるのだけれど、今日も出会った。
すれ違うたびに、一つ一つの植物や展示について,とても熱心に丁寧に楽しそうにお話してくださる。
全く前に進めない(笑)
(なにせ貸し切り状態だものだから、専属のガイドさんに案内されているようなもの…)
わたしも夫も人見知りで、本来なら苦手なのだ。
ほっといてもらいたい。
でも、あまりに一生懸命に、楽しそうに、一つ一つの植物たちを、「この子たちは〜」と話してくださって、まるで植物園のおさかなくんとお話しさせていただいているようだった。
最後にはありがたくて得したな、と思う。
その方曰く、温室の担当になって2年ぐらいは、植物たちも心を閉じていて、何をしても反応がなかったけれど、3年目から徐々に心を開いてくれて、こんなにも花をつけるようになり、
今は5年目でまだいろいろもっと良くなるように試しているのだそう。
そして温室を訪れてくれた人たちにも楽しんでもらいたい、と。
ここの植物たちもこんな方にお世話してもらえて幸せだろう。
そしてこの方も夢中になって、毎日植物たちと寄り添えて、なんて豊かな毎日を送っていらっしゃるのだろう…
それから夫が観たいというので、
(そしてわたしも他の方がnoteで素晴らしいと書いていらっしゃるのを読んでいたので)
映画館で「PERFECT DAYS」を観た。
これまた余韻にものすごく浸ってしまう素晴らしい映画!
主人公は自分にとって必要なだけ、働いている。(おそらく自分が必要とする分だけのお金が得られ、決まった時間だけ仕事すれば良い)
それは公衆トイレの清掃で、とても熱心に隅々まできれいに、誇りを持って仕事に臨んでいる。
仕事が終わると、銭湯で一番風呂に入り、行きつけの飲み屋さんでホッとひと息。
寝る前には毎晩、本を読む。
朝は、近所の神社の落ち葉をはく箒の音で目覚め、大切に育てている鉢植えの植物たちに水をやり、身支度をして缶コーヒーを飲む。
それから好きなカセットテープをセットして音楽を流しながら担当のトイレへと向かう。
そんな毎日の繰り返し。
でもそれは一つ一つ、主人公が選び取ったかけがえのない毎日のルーティンだ。(そんなふうにわたしには思えた)それはまるで究極のミニマリストのよう。
印象的だったのは、「人はそれぞれ、その人の世界で生きている」ということ。
同じものを見て、同じ空間にいても
それぞれきっとその人なりの見方、感じ方をしているから、一つとして同じ世界はないのだもの。
主人公は自分の世界で満ち足りて些細な事に幸せを感じて、でも周りの人は偏見の目で見る人もいれば、少し寄り添ってくれる人もいる。
それはわたしたちの人生でもきっと同じこと・・
大切なのは、自分が幸せだと思えること・・・
同じルーティンを繰り返すも、全く同じ日などなくて、それは同じようにみえるけれど一つとして同じでない木漏れ日に、例えられていた。
試験の待ち時間が素敵な時間に…
いつまでも記憶に残して、何度でも思い返したい。