小説書きの、本気で目指す商業デビューの方法
「はじめまして」の方もそうじゃない方も、こんにちは。
私、2023年3月に角川ビーンズ文庫より小説家デビューを果たしております、野菜ばたけと申します。
今回は『可能な限り一般的なものから一歩踏み込んだ創作論』の第二弾。
「本気で商業デビューを目指す場合、どういうルートがあるのか」について書いてみようと思います。
私自身の経験や作家仲間に話を聞いた上で書いていますので、それなりに信憑性も高いんじゃないかなぁと思いますよ。
この記事は、
にオススメです。
よかったらこれを読んで、他の人よりちょっとだけ小説家デビューの選択肢(方法)について詳しくなっていってくださいね。
これまでの『創作論シリーズ』はこちら。
デビューへの道① 公募に応募する
Web小説サイト経由でのタイアップや出版社で行われている公募に参加し受賞する。
これが皆さんがデビューと考えた時に、最もイメージしやすい道ではないでしょうか。
今は公募もWebで応募するものがほとんどで、紙に印刷して送る……なんていうのは、もうほぼなくなりました。
公募自体も、Web小説サイトからタグを付けたりワンクリックで応募が完了するような『公開公募』もあれば、各出版社の公募応募フォームからWordやテキストなどの決められたファイル形式で添付し応募する『非公開公募』もあります。
Web小説サイトからの方が応募の手順が簡単な分応募しやすい印象ですが、出版社も実は『公開公募』と『非公開公募』とでは、少し評価基準が異なっていたりするので注意が必要です。
公募を探したい場合は、こちらのサイト「koubo」がオススメです。
↓ ↓ ↓
小説賞以外の公募についても掲載があるサイトですが、条件を「小説」で絞り込み検索すれば、公開公募・非公開公募や出版社に関係なく検索して探せます。
無料で、随時更新されます。
ここを見るだけでほぼ公募を網羅できるので、私もいつもとても助かっています。
1.公開公募
『公開公募』は、Web小説サイトにネット上の読者に作品が見える形で公開した上で応募する形式の公募です。
Web小説サイトの作品編集画面から応募作にタグを付けたり、ワンクリックで応募する公募を選択し保存する事で応募が完了する事が多いと思います。
手軽に応募できる反面、読者数や読者からの評価・感想、レビューの数なども加味して審査する事がかなり多く、評価が得られなかった作品は足切りの形で審査の台に乗せてもらえない……という事も比較的多いです。
出版社側としては、「わざわざWeb小説サイトというみんなの目に見える場所に公開した作品を選定する以上、Web読者の評価が高い=受賞時に一定の読者が既についている状態だと安心できる作品を取りたい」と思っての事でしょう。
出版社もビジネスで本を作っています。
既に目に見える指標を使う事は、至極当然でとても合理的な事だと思います。
そういう公募では、そのサイトで長い間コンスタントにWeb投稿をして結果を出している人ほど、作品ファン・作者ファンも多くつき有利です。
逆にまだランキングに上がった事のない人や普段から作品投稿をしていない人にとっては、少し不利になるでしょう。
そういう審査方法に不服のある人もいるでしょうが、これは有利な作家の日々の積み重ねあってのもの。
出版社に何を言っても変わらない事実でもありますので、あまりクサクサとせず、「そういうものだ」と割り切って、『公開公募』に応募する場合は、審査員に一般のWeb小説読者が陰ながら含まれている事を自覚し、少なからずWeb小説読者の目を気にした投稿をする必要があると覚えておきましょう。
もちろん中には「Web上の評価は審査の対象外です」と明記している公募もありますから、ファンがあまりついていない方で公開公募に応募してみようかなと思う方は、そういう公募を狙うという手もありますよ。
2.非公開公募
逆に『非公開公募』は、各出版社の公募応募フォームからWordやテキストなどの決められたファイル形式で添付し応募する特性上、審査の過程で作品がWeb読者の目に触れる機会がありません。
審査員は下読みをする人や編集者さん、場合によってはゲスト作家さんです。
構成もWeb小説のような一話ごとに引きがある作りではなく三幕構成などの一冊として見た時に完成度の高い作品が好まれたり、最低限の描写で済ませた方が読まれやすいWeb小説よりも、細かな描写力が必要になってきます。
『公開公募』『非公開公募』の間に優劣はありません。
評価軸が違う事を念頭に置いて、どちらで公募にチャレンジする方が評価されやすいかを個人で考え選ぶと受賞率が上がります。
3.コンテストと新人賞の違い
また、小説界隈では『公開公募』『非公開公募』に関わらず、コンテストと新人賞で分けて考える事もあります。
一般的に、コンテストは作品を、新人賞は作家を発掘するためのものだと言われていますが、中には新人賞と銘打っていても実質は作品発掘になる場合もあるので、注意が必要です。
とはいえ実際にどうなのかはふたを開けてみないと分からない & 出版社も会社なので途中で方針が変わる事もあるので、「新人賞に入賞してもその出版社との長期の仕事が確定している訳ではない」という事を念頭に置いておきましょう。
特に最近はたとえば作家を抱えるような年縛りの作家契約ではなく、作品ごとに著作権や金銭の支払いなどに関する作品契約を結ぶ事が多いです。
契約書を結ぶまでは、あくまでも口約束。
過度な期待をすると後で心が折れます。笑
要注意です。
デビューへの道② 拾い上げ
最近の拾い上げは、もっぱらWeb小説サイトからされます。
出版社の編集者が定期的にサイトを巡回し、出版したい系統を検索で絞り込んで読み込んだり、ランキングの上位作品に当たりを付けて作家に話を持ち掛けます。
必ずサイトの運営経由で打診が来ますので、直接話を持ち掛けられた際は詐欺か自費出版・無料出版のお誘いです。
急な打診に舞い上がって引っかからないように、気を付けましょう。
1.検索からの打診
検索からの打診の場合、純粋な読者数や評価だけではなく、Web読者からの根強く熱のこもった感想やレビューを重視する場合も往々にしてあるようです。
実際にカクヨムでは出版打診の際にそういう部分を加味した事が、インタビュー記事に明記されていました。
作品や作者につく根強い読者も大切にしたい所ですね。
2.ランキング上位からの打診
ランキングの上位に上がった場合は、複数社から出版の打診が来る事もあります。
最初の出版社に飛びつかず、打診の内容を聞いてきちんと吟味しましょう。
中には「コミカライズだけ」「出版時の印税率が低い」場合もあります。
他より知名度が高かったり一緒にお仕事をしたい出版社がある場合は「他のところは○○なので~」と交渉もできるでしょう。
相手は対等な仕事上のパートナーになる相手です。
交渉時には高圧的にならないように、かつ聞くべき事はきちんと聞くように心がけましょう。
デビューへの道③ 営業
自分から作品を売り込み(持ち込み)にいく道と、他の人に持ち込みをお願いする道があります。
1.自分で売り込み(持ち込み)をする
小説で私が知っている、随時作品を募集している先は「Nolaノベル」と「ドラゴンノベルズ」、そして「アルファポリス」の三つです。
「アルファポリス」には出版申請という、自作の出版を直接出版社に打診できる機能がついています。
24h.ポイントが1500以上の時にしか申請できないという欠点がありますので、出版申請をしたい人はその時を見逃さずにポチッとしましょう。
残りの二つは応募する事に特に制約はありません。
「Nolaノベル」は残念ながら合否結果が届く事はありませんが(編集者の目に留まったら、Nolaノベル運営から登録しているメールアドレス宛に直接連絡が来ます)、「ドラゴンノベルズ」は10営業日以内に必ず合否の連絡があるので、応募してみるのもいいかもしれません。
それぞれのサイトに約束事が明記されていますので、応募の際はきちんと読んでから応募しましょう。
▼アルファポリス 出版申請について
▼「Nolaノベル」
▼ドラゴンノベルズ
その他にも、お伺いを立てれば取り合ってくれるところもあるようです。
まずは出版社サイトの問い合わせフォームから持ち込み可かどうかのお伺いメールをしてみるところから始めるといいでしょう。
2.エージェントを使う
一定の金額を支払う事で、各出版社に伝手のある人が代わりに営業活動をしてくれる事もあります。
どのくらいお金を払うのか、成約ごとになのか月額なのかはエージェントによって違うので、それぞれで確認する必要があるでしょう。
ただし月額の場合、お金を支払っても結果がついてこない場合、下手をすると実際には営業活動をしていない場合なども考えられますので、エージェントの能力や繋がり、誠実な相手かなどの下調べは、注意深く行いたいところです。
他の作家の伝手で仕事がもらえる・商業作家が編集者を紹介する事はほぼない!
よく聞かれたり言われたりするのが「○○さんとのお仕事私もしたいんだけど、紹介とかしてもらえたりとかしない?」というもの。
しかし普通、誰かから「紹介して」と言われて、作家さんが編集さんに口添えをする事はありません。
一つは、そんな権限は作家にないから。
編集者に「○○さんの小説いいからデビューさせてあげてよ」とか言える人、中々いません。笑
それこそ王御所の話だったら聞いてくれる編集者もいるかもしれませんが、普通はしません!
だって、もし自分が紹介した人が仕事に不誠実な人だったら困るから。
正直な話、ヤバい人を紹介してしまったせいで自分の仕事もなくなるのは困る。
実際にはそうならなくても、そうなる可能性がある時点で作家は行動を起こしません。
どれだけプライベートで仲がいい相手でも、普通はしない・できない事を知っておきましょう。
実力があるなら、自分で営業をかけましょう。
営業をかけてもダメだったら、自分を磨いてもう一度営業をかけましょう。
実際に、実力がないとデビューしても読者に袋叩きにあいます。
「お金払って買ったのに損した!」って言われます。
そういう始まりの創作活動は、きっと長くは続きません。
間違いなくメンタルがやられます……。
本気で小説家になりたい人ほど、デビュー済みの小説家さんに渡りを付けてもらう考えは、持たない方が絶対にいいです。
可能性としては、編集者さんに「最近誰か注目している方はいますか?」と聞かれて作家さんが答える事はあるかもしれませんが、そもそも滅多に聞かれもしませんし、「編集者さんにではなく作家に自分を売り込みに来るような作家さんは、あまりいい印象を抱けないよね」という話を聞いて、なるほどと思いました。
それでももう八方ふさがり……。
どこに何度営業をかけてもまともに取り合ってくれないし、もう伝手を辿るしか……。
そんな場合は、編集者さんと会って話せる会合などに出て、自分で業界の人との伝手を作りましょう。
小説の受賞パーティーに一般人枠として参加・招待してもらえるものもあると聞きます。
コロナの影響で減っている・なくなった場合もありますが……探してみるのもいいと思いますよ。
さいごに
小説家になる道はいくつかありますが、まずは作品一冊分(10~12万字)の小説が書けなければ始まりません。
努力なくして成功はあり得ない。
商業デビューを目指す皆さんは、まずは頑張って書くところから始めましょう!
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『可能な限り一般的なものから一歩踏み込んだ創作論』の第三弾はこちら。
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