24時間vaker(ソーシャルワーク職がブラックとなる理由)
ソーシャルワークの客観性
バイステックの7原則には、ケースワーカーに客観性が求められるとは記載されていない。
ただ、クライエントとケースワーカーの立ち位置を明確にすることは要求されている。
そのためには、ケースワークの客観性は重要である。
医療ソーシャルワーカーは、患者・家族を支援する対人援助職である。
患者や家族の「困っている」ということは、言葉だけではない。態度、服装、本人の生い立ちなど、感情や風景を理解しなければうまくはできない。
さらに、ソーシャルワーク専門職のとして、その専門性を活かして「何とか助けたい」ということもある。
これは、ソーシャルワーカーの主観的な部分である。
ただし、看護職や介護職などと違う。
ソーシャルワーカーは、間接的な支援も求められている。
つまり、「主観」と「客観」の両立が必要となっていく。
ソーシャルワーカーとしての経験が浅い時は、これができない。
その背景には、3つの大きなブラック因子が存在する。
3つのブラック因子
①仕事が終わっても、相談が頭から離れない。
相談は単純なものだけではない。
むしろ、単純なものは少ない。
複雑なもの、時間を要するもの、そもそも解決方法が言い出せないものもある。
このような相談を受けた場合、仕事が終わって家に帰っても、その相談が頭から離れない。食事をしていても、寝ていても、夢に出てくることもある。
この場合は、休む時間を失っているので、徐々に心が削られていく。
相談専門職には、こころの健康が必須である。
しっかりとこころの休養ができないと、より良いソーシャルワークは、不可能である。
つまり、相談が頭に離れないソーシャルワーカーのソーシャルワークは質が悪いと言える。
②家族や友人からの相談にも対応してしまう。
この仕事をしている人は、常に相談しやすい空気を持つ。
自分の家族や友人から頼られる人も多いと思う。
それ自体が悪いわけではない。
ただ、主観が強くなる。
家族や親しい友人であれば、客観性は保てない。
この場合も、質の良いソーシャルワークができるとは言えないと考える。
また、自分が勤務する病院と関係ない相談であれば、「ただ働き」である。
③前職が影響を与える。
ソーシャルワークは、ヒトと環境に影響を与える。
簡単に言えば、患者だけと対峙するわけではなかく、家族や社会など、様々なものへのアプローチが欠かせない。
この時に、ソーシャルワーカーになる前の前職が影響を与える場合がある。その一つが、介護や看護の経験である。
これらの経験は、患者を理解することや、患者の直接支援をしている介護職・医療職を理解することでも非常に有用である。
ただし、デメリットがある。それが主観が強くなうリスクである。
医療業界では、カルテをSOAPで記載することが多くなっている。
Sは、Subject、Oは、Objectである。
SOAP式は、医療職が判断を適切に行うためのテクニックである。
SOAPは、患者の主観情報を記載しがちな医療専門職に、客観的な視点を促す。
医療ソーシャルワーカーは、クライエントである患者の支援というよりは、思考は常に客観性が高いが、前職が直接処遇の仕事をしていると、主観が高いため、ソーシャルワーク専門職へのスイッチをしないと、バランスが保てなくなる。
まとめ(24時間Vakerにならない方策)
相談事が頭から離れない。
仕事が終わっても、ずっと職場で話し合っている。
これは、相談の質を下げるし、より良いソーシャルワークの創造を妨げる。
対処方法は、簡単で、プライベートを充実させればよい。
また、相談ごとについては、全部、メモ帳に書くことが推奨される。
近年は、クラウドも進化している。
人間の頭のなかにストックするようにもよほど信用できる。