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小児慢性から難病への制度以降(慢性疾患を抱える子どもが、成人になるときに良くある相談)
小児慢性特定疾病対策
2015(平成27)年の児童福祉法の改正施行されて以降、小児慢性特定疾病の数は急増した(2015年前 514疾病、2023年11月 788疾病)。
この結果、従来、小児慢性疾患に該当しなかった慢性疾患のある子どもも小児慢性特定疾病に該当するようになった。
この結果、慢性疾患を抱える子どもの公的な医療費助成の対象者が広がった。
ちなみに、2015年以前は、小児慢性特定疾「患」、2015年以降は、小児慢性特定疾「病」である。
対象は、新規申請が18歳未満、18歳未満で継続して小児慢性を使用している場合は、20歳未満となっている。
そのため、20歳を超えた慢性疾病を抱える場合は、別の制度を検討する必要がある。
小児慢性特定疾病情報センター:医療費助成の概要https://www.shouman.jp/assist/outline
難病の患者に対する医療費等に関する法律
小児慢性特定疾病と同様に、2015年に法律が施行され、従来の56疾患から、341疾患(2024年4月現在)と大幅に増加しており、年々増加する予定である。
小児慢性特定疾病の788の約半数となるため、小児慢性特定疾病から難病に移行できる患者も増えてきた。
小児慢性と難病の大きな違いは2つある。
1つは、小児慢性が新規18歳未満、継続20歳未満と年齢制限がある。難病は、年齢制限がない。つまり、難病は、生涯的に利用できる制度である。
2つは、医療費助成対象となる”診断基準”の違いである。
例えば、心疾患の一つであるファロー四徴症については、
小児慢性は、治療中又は次の「①から⑨」(下記、参考資料参照)のいずれかが認められる場合であるが、難病の場合は、NYHAⅡ度以上、または高額な医療を継続するものとなる。
ただし、障害者総合支援法の利用については、医療費助成の対象でなくても、難病の該当疾患であれば利用可能である。
小児慢性特定疾病情報センター:ファロー(fallot)四徴症https://www.shouman.jp/disease/details/04_33_041/
難病情報センター:ファロー四徴症https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/upload_files/File/214-215-202404-kijyun.pdf
小児慢性から難病への移行
小児慢性の医療費助成は、難病よりも医療費や入院時食事療養費の助成が良い。そのため、どちらも利用可能であれば、小児慢性を優先して利用することが多い。
そして、小児慢性の年齢上限になると、難病へと移行することになる。
申請の留意点
20歳未満であれば、難病の医療費助成を利用することは少ないかもしれないが、難病が障害者総合支援法のサービスを利用できることには留意しておく。
例えば、補装具や日常生活用具などの利用などがある。
おわりに
慢性疾患を抱える子どもにとって、成人後の制度利用についても自立を支援するための重要な要素である。
親ではなく、自分自身で利用できる制度を理解すること、どこに申請すれば良いかなど、自立の第一歩へとつながる。