油と水を混ぜ合わせる脂質
イタリアンドレッシングなどのボトルに入ったドレッシングを使う前に何をされますか?
分離したドレッシングを混ぜるためにボトルを振りますよね?
ドレッシングは主に「酢・油・砂糖・塩こしょう」でできています。
これらの材料とほとんど同じ材料からできているのがマヨネーズです。
マヨネーズは主に「酢・油・砂糖・塩・卵黄」でできているのですがドレッシングと違って分離していません。
なぜマヨネーズは分離していないのか?
#ヒントは材料です!
その理由は「卵黄」にあります。
卵黄には「レシチン」というリン脂質の1種が含まれています。
#聞いたことありますか?
リン脂質は「水 (液体) にも脂質 (油) にもなじみやすいという性質」があります。
この性質によって卵黄 (レシチン) を含むマヨネーズは分離していないのです。
レシチンは卵黄の他に大豆にも含まれています。
ちなみに、油と水を混ぜ合わせる (油と水の両方となじむことができる) 働きを持つものを「界面活性剤」といい、卵黄の他に「石けん・洗剤・化粧品・シャンプー・リンスなどにも含まれて」います🧴
この界面活性剤の働きによって汚れが落ちます。
ただし、シャンプーなどに含まれている界面活性剤は「合成界面活性剤」で、卵黄に含まれているのは「天然界面活性剤」という違いがあります。
#合成界面活性剤についてはまた今度お伝えします!
リン脂質の水と油を混ぜ合わせる性質は体内でも重要な役割をしています。
リン脂質は「血液 (液体) に溶けにくいコレステロールなど (脂質の1つ) の吸収を助ける働き」があります。
また、「細胞膜 (細胞を覆っている膜) の主成分で、情報を伝える働き」もあります。
アブラが多くて「細胞膜が柔らかいほど情報が伝わりやすく」なります。
リン脂質が不足すると余分なコレステロールが血液中に溜まることで「動脈硬化や心臓病などの生活習慣病になる可能性」があります。
また、脳に情報を伝えるのが遅くなったり、栄養不足になることで「記憶力や集中力、学習能力の低下につながる可能性」があります。
卵や大豆などからリン脂質を摂るようにしましょう!
参考:厚生労働省/e-ヘルスネット「コレステロール」
南清貴「究極の食」講談社インターナショナル
細川雅史・菅原達也「リン脂質の性状と機能性」建帛社
守口徹「眠れなくなるほど面白い脂質の話」日本文芸社
宮崎 洋祐「ホスファチジルセリン (PS) の概要とその機能」
Liu SH, ea al. 2012 “Docosahexaenoic acid and phosphatidylserine supplementations improve antioxidant activities and cognitive functions of the developing brain on pentylenetetrazol-induced seizure model.”