名作TRPG『D&D』をアニメ化した『ヴォクス・マキナの伝説』が良すぎる。あわせて映画『アウトローたちの誇り』を観て『バルダーズ・ゲート3』をプレイすると“最高の人生”になった
アマプラで『ヴォクス・マキナの伝説』ってアニメを見かけたんですよ
最初は、「なんだこれ。知らないアニメだなぁ」くらいの反応です。
しかし、どうも私の好きなジャンルである"ファンタジー系(しかもダンジョン飯)”っぽい雰囲気を感じたので、ほっとけなくなって概要欄を読んでみたんですね。
ほぉ~、これ、もしかしてオリジナル作品?しかも、ちゃんとファンタジーっぽいな、と気になって色々と調べてみる。
すると、なんと本作、この世にテーブルトップ・ロールプレイングゲーム(TRPG)を世に広めた先駆けとなった作品『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第5版を遊ぶプロの声優さんたちの番組から企画されたアニメとのこと。
全部でシーズン3まで公開されており、きちんと日本語吹き替えにも対応。最初の10話はKickstarterキャンペーンで資金調達されて放送されたという。海外ではすでに絶大な人気を誇るとか……。
日本で例えるなら、有名声優が『ドラクエ3』プレイしたストーリーをアニメ化っていうノリだろうか?
ということで、さっそく全話視聴してみたところ大変満足できた。
もしゲームで考えたら、わりとバランスのいいパーティ構成であるヴォクス・マキナの一行
主人公たちはヴォクス・マキナと名付けられた冒険者集団だ。
・なかなか回復魔法が発動しない聖職者のパイク
・斧と腕力で大体解決しようとする元・蛮族のグロッグ
・しょっぱな情事シーンを披露するナンパ男の吟遊詩人スキャンラン
・植物を操る魔法が使えるケイレス(修行の身)
・ハーフエルフのならず者である姉弟のヴェクスとヴァクス(熊もいる)
・復讐心に支配された銃使いパーシー
以上が、ヴォクス・マキナのメンバーである。これ……癖強すぎるだろ。
収集つくのか?こんなに濃ゆいキャラクターばっかりで……
ところが、これがゲームで考えてみると、結構バランスがいいのでは?とも思う。
物理的な攻撃力に長けたグロッグが前線に出て、素早い動きと弓矢で敵を翻弄するローグとレンジャーの姉妹に、援護射撃できる銃使いに、いざとなったら植物を操る魔法と、吟遊詩人のバフ効果、そしてピンチの回復役。
もし、これらのチームがちゃんと機能するなら完璧では?
そう思ったのもつかの間であった。
お酒と暴力にまみれるどん底からスタート。落ちぶれた冒険者たちは成り上がる必要があった……
そんな感じでめちゃくちゃバランスの良いパーティのはずなのですが……
ろくに依頼も請け負えず、うだつの上がらない酒浸りの日々を送るメンバーたち。
吟遊詩人のスキャンランは宿屋の娘とヤってるし。植物魔法の使い手であるケイレスは、修行して一人前になるために旅に出たというのにゲロまみれ。
酒場で喧嘩した後に追い出され。
「正直言って、なんで私たちって、一緒にいるの……?」というセリフまで出てきてしまう始末。完全にお通夜モードだ。おいおい……解散寸前じゃねーか!!!
借金が山ほどある一行をなんとか励ます聖職者のパイク。どんな仕事でも引き受けなければ、第1話で物語がたたまれてしまう。
お国を守るために戦うことにしてみたメンバー
立ちションしたついでに、国からのおふれが書かれた張り紙を見つけた吟遊詩人のスキャンラン。ほかに頼るところもなし。一行は(多少、無謀だが)王の間へと謁見しに行く。
ゲロまみれでズタボロの一行だが、蛮族流の超絶デカいゲップと吟遊詩人の持ち前の歌唱力でなんとか依頼を引き受けることに成功する。
依頼の内容は非常にシンプル。
「相手の正体はわからないけど、村とか滅ぼしてる奴なんとかしてほしい」とのこと。さっそく現地調査した結果、彼らは敵対する奴が超絶狂暴なドラゴンであることを知る。
一行は何の恩義もない国のために命をかけて戦う理由がないと揉め始めるが、ドラゴンに滅ぼされて蹂躙された村人たちの姿に心を痛め、どうせなら「名誉ある死」を遂げるためにドラゴンに立ち向かうという選択をとる。
こういう、どん底まで落ちぶれた連中が発起して立ち上がり、鋭いまなざしになるド王道の展開、たまりませんね。『龍が如く7』も行ってしまえばどん底スタートでしたが、こういう成り上がりモノって結構好きです。
キャラクターひとりひとりがしっかりと活躍する丁寧な作り
全シーズンを見て率直に感じたのは、上記で登場する全てのキャラクターにこれまで生きてきた背景があり、物語が進行するごとにそれぞれの人物が抱えている確執や問題に直面することです。
結果的に、スキル的にも精神的にも成長を遂げる物語が丁寧に描かれているな~と思えました。
しかも、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の世界設定が基になっていることもあり、同じ第5版の世界設定が基の映画『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』と併せて視聴すると、また世界観の解像度が高まるかもしれない。っていうか、ぜひ観て欲しい。
『バルダーズ・ゲート3』は自分たちもオリジナルのキャラクターを作って独自のストーリーを紡げる夢みたいなゲーム
『ヴォクス・マキナの伝説』の紹介は、ここらへんにしておこう。
次は、同じ『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の世界設定で、彼らのようなストーリーを自ら作成したキャラクターで実際に体験できる夢のようなタイトル『バルダーズゲート3』を紹介したい。
『バルダーズ・ゲート3』は、プレイヤーの選択によりストーリーの展開が細かに変化する自由度の高い作風が特徴的なRPGだ。
私はこのゲームがまだ日本語化されていない時、全600万文字(リリース時)を日本語に翻訳してプレイしていた。公式のSNSの投稿によると、本作を1回プレイするのに少なくとも100時間は有すると想定されており、エンディングの数は1万7000通りにものぼるという。
そんなのもう……プレイするのに人生が足りないではないか。
『ヴォクス・マキナの伝説』や『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』と同じ世界設定で、オリジナルのキャラクターを作成して冒険に出れる……。もう、これだけでだいぶ豪華な体験である。
あなたの選択によっては、登場するキャラクターとは親密な関係性になり、時には恋愛関係に発展することもある。
私も実際に『バルダーズ・ゲート3』をクリアまでプレイしたが、RPGが好きで本作をプレイしてない人は“人生を損してる”と断言できるほど感動した。
異世界で暮らすとしたら、あなたは果たして何者になるのか?
行動そのものが全て世界へと反映され、まるで大河ドラマのようにシナリオは分岐していくのだ。まさに、あなた自身が主人公となり、映画の物語を進行させるようなもの。
『バルダーズ・ゲート3』に関しては、ゲームメディア『電ファミニコゲーマー』にて軽く紹介した記事も執筆させてもらったこともあるので、内容が気になっている方はぜひ読んでみて欲しい。
2025年には他機種同士のクロスプレイにも対応して、多くの人同士がマルチプレイして進められるようにもなる神ゲーだ。
また、『バルダーズ・ゲート3』をプレイするならば、『ヴォクス・マキナの伝説』のようにアニメ化を狙ってリプレイをしっかりと保存しておくのもアリかもしれない。
どうか、皆さんのロールプレイが楽しいものでありますように。