【困難な教室でふんばっている先生へ。】②
10年以上、親交のあるT先生(仮名)から、Rhodurus CAFEのメンバーのみなさんへのメッセージの続きです。よかったら、お時間のある時に読んでいただいて、コメント等いただけるとうれしいとのことです。伝えますので、ぜひお願いします。
Rhodurus CAFEのメンバーのみなさまへ
この前は、突然送ったメッセージ、店長さんにシェアいただき感謝です。うまく伝えられるかどうかわかりませんが、時々、メッセージ送らせていただきます。もしも、何か先生方の支えになったり、前に進むキッカケになったりすれば幸いです。
この前、クラスがうまくいかなくて、困難な状況で踏ん張っているこの状況は、あなただけの責任ではないという話をさせていただきました。もしかしたら、これは現場の他の先生方や、保護者からは全否定されることかも知れません。でも、私ははっきりと言います。この状況はあなただけの責任ではありません。
学校を取り巻く方々は、「学級経営は担任の力」という主張をされる方も多くいると思いますが、私はこの意見に賛同できません。その理由は大きく2つあります。そのうち、今日は1つ目の理由を詳しくお伝えさせてください。
前のメッセージでもお伝えしましたが、現場の先生方なら知っていると思いますが、担当学年や担任を決める時にある議論に「この学年の、このクラス、今年は誰が担当するの?」というものがあります。つまり、「課題が大きい学年や課題が大きい子を担任するのは誰か?」ということです。つまり、課題が大きい学年や課題が大きい子がいれば、対応に苦慮し、対応が困難になってくることが予想されるのです。
そこで、担任の力量が問われるわけですが、対応が困難だったり、対応に苦慮することが予想される多くの場合、多くの先生が、その担当を拒否します。そして、その担任は「管理・統制」ができる先生が担当することになることがほとんどです。簡単にいうと「抑え込む」ことができるということが条件になりがちです。なぜなら、それ以外に手がないからです。これまでも何とか「抑え込む」ことで乗り越えてきたので、高学年になればなるほど、力の強い男性で、恫喝ができる先生が担当することが増える…といった実態があります。
しかし、その考え方で対応するということは、子どもたちも同様の学びをしてい流ことがあります。どういうことかというと、担任に力で抑え込まれてきたけれど、力で負けない…、つまり、抑え込めないということが分かると、「管理・統制」が効かなくなり、指導が入らなくなっていくことがあるのです。
もし、あなたが「管理・統制」のための力が強くない場合、あなたが原因というよりは、これまでの指導とあなたの特性が合わないことで、学級がうまくいかないということが考えられるのです。
もしかしたら、「管理・統制」で育てられたのではなく、「民主的」に育てられてきた子どもたちであれば、あなたの特性や指導がものすごい効果をあげることがあったかも知れないのです。それは、力が強く、恫喝することでクラスをまとめていた先生にはできないことかも知れません。
何が言いたいかというと、あなたが大切に思っていることと、子どもたちがこれまで育ってきた環境や考え方との相性が影響することがあるということです。
学校は1年生から1年1年、全く違うやり方で育てられる…ということがあり得ます。担任の思想ややり方が必要以上に尊重されていて、「学級経営」至上主義になっているからです。もしかしたら、あなたの特性や考え、やり方も、学校全体で共有されている流れの中にあれば、ものすごく効果的だと思うのですが、方向性が全く違う流れの中にあれば、全く通用しないということになります。
つまり、学校全体で一体どんな子を育てていくか、何を大切にしていくのかということが共有されていないことも要因の1つになるのです。
もしかしたら、「管理・統制」で力が強い先生であれば、どんなクラスもまとめられるという考えもあると思います。もしかしたら、保護者の中にも、先生がしっかりしていればクラスはうまくいく…と考えている方も多いと思います。しかしながら、私はそうとは言い切れない状況を何度も見てきました。
それは、担当学年や担任を決める話し合いの場面でのこと。その学校でも、これまでで最も課題のある子がいました。担任した先生の多くが休職したり、退職したりしてしまっていました。なんとか1年乗り越えたとしても、クラスがまとまるといったこととは無縁でした。その子の最終学年、つまり6年生の担任を決める時のこと。
その学校には、これまでどんなクラスも「管理・統制」し、恫喝しまくって、うまく学級を経営してきたY先生がいました。誰もがこの6年生の担任になる…と思っていたのですが、話し合いの結果、担任にはなりませんでした。理由は、たぶんY先生でも抑えられないだろうし、力と力がぶつかった時に、収拾がつかなくなるだろうからでした。つまり、力で抑えられない子がいるってこと。この事例を見て、「抑え込む」ということには限界があることを痛感しました。
多かれ少なかれ、こういった状況があるということからも、もしかしたら、クラスがうまくいかないことは、これまでの指導の積み重ねとあなたの指導の関係も大きいということなのです。つまり、あなただけの責任ではないのです。ここまで、お伝えしてきた内容も、明らかに「学級経営」が担任の力に委ねられていることが分かるのではないでしょうか?
本当なら、担任だけでなく、学校でチームで対応するようなイメージがあれば、1人の力量や特性にかかわらず、子どもたちを見ていくことができるのですが、なかなかそんな指導ができていないのが、今の学校の現状だと思います。担任はサバイバルレース。まさにそんな印象なのかも知れません。
そして、先ほどの力では抑えが効かないと判断された子の6年生は、決して力で指導するわけではない、K先生が担任することになりました。これまで必死で「抑え込む」ことで指導をしてきた5年間を経て、最終学年はK先生。
K先生は、4月からおっしゃっていました。「うまく回るはずがない」と。また次のメッセージでは、K先生が担任をされた様子から見えてきた「学級経営は担任の力」という考えに賛同しないもう1つの理由を詳しくお伝えしますね。
それでは、また。
読んでいただいて、感想がある方は、ぜひ店長までお知らせください。T先生も、自分のやってきたことと向き合っておられるようです。ぜひ、メッセージや感想をお知らせいただければ…と思います。そのままT先生に転送させていただきます。どうぞよろしくお願いします。
店長敬白。