「『クラス会議』を学習指導要領に位置づけるってことにこだわってきた理由」その①
「クラス会議」はアドラー心理学をベースに、シンプルで、本当に魅力的なプログラムです。毎日短時間のシンプルなプログラムを続けることで、子どもたちにライフスキルを育てていくことができます。本当にオススメです。
今日は、その「クラス会議」の内容ではなく、「クラス会議」を学習指導要領に位置づけることにこだわってきた理由についてまとめてみたいと思います。
滋賀県総合教育センター研究員として「クラス会議」を研究
「クラス会議」をやってきて、最も大きかった経験は、滋賀県総合教育センターで研究員をしたことです。当時、大津のいじめ事件が大きな問題となっていて、それに対応する研究を担当させていただきました。プレッシャーは半端なかったけれど、いろいろ考えてやるしかない・・・と、手を挙げ「クラス会議」を中心とした研究に取り組みました。とんでもない茨の道でしたが、この1年の経験は、人生でも最も充実し、学びまくった1年になりました。
手を挙げた年は、本当にリアルタイムだったので、身投げするくらいの覚悟でした。そして、新年度、今でも尊敬してやまないし、絶対に足を向けて寝ることができない、滋賀の特別活動の大家のS先生が教育センターに赴任し、チームのリーダーとなってくださいました。神様っているんやな…って思いました。
ボクはそのS先生に「クラス会議」について力説し、絶対にこれが必要だということを必死で訴えました。そのS先生は、特別活動の大家。おそらく「クラス会議」には、否定的だったと思います。否定的だったはずのS先生は、必死で「クラス会議」のことを力説し続けるボクにこんな風におっしゃってくださった。
本当に「クラス会議」が大切だと思うのなら、教育課程のどこに位置づくのかをしっかり説明する必要がある。しっかりと説明ができるようになれば、「クラス会議」は広がっていく。でも、それができなければ、絶対に「クラス会議」は広がらない。今年の研究で、しっかり勉強して、位置づけをはっきりさせてみよう。
泣きそうになりました。県の研究として「クラス会議」が発信できることになったのです。この時のことを思い出すと、今でも半泣きになります。
ただ、実は「教育課程に位置づける」って話。その時はあまり意味が分かっていませんでした。正直「何を訳の分からないことを言っているんだろう・・・?」って思ってしまっていました。でも、今から考えたらS先生がおっしゃったことは、間違いなく真髄を突いていました。
「小学校学習指導要領特別活動編」の写経からスタート。
やっとの思いで研究がスタートした直後、S先生から呼び出されました。そして、ある1冊の本を手渡されたのです。それは、読み込んで擦り切れ、付箋にまみれた「小学校学習指導要領 特別活動編」でした。中を見ると、蛍光ペンと溢れんばかりのメモ。そして、S先生は一言。
「研究の前に、ここに書いてあること、全部写しとくように。」
・・・えっ?写す?
「これはやばい・・・」と思ったけれど、やるしかありませんでした。勢いよく話しまくっていたボクはちょっとがんばって、
「分かりました。」
と答えました。すると、
「中学校のもあるしね。」
と同様に書き込みされまくった「中学校編」も渡されたのです。S先生は、かつては滋賀県教育委員会特別活動の指導主事。特別活動に精通しまくっていた有名な方だったのです。その付箋まみれ、書き込みだらけの「小学校学習指導要領特別活動編」「中学校学習指導要領特別活動編」を、ひたすら写すところから、研究がスタートしました。
学習指導要領のどこに位置づくかを説明できることの意味
学習指導要領は、教育課程の基準。ここに位置づけられなかったら、実践する理由や根拠が説明がつかないことがあります。反対されたら実践できなかったり、もめてしまったりすることにもなりかねません。でも、位置づけることができたら、反対されてもしっかり説明できるし、逆に強くお勧めすることもできます。
教育センターでの1年間の研究は、何度も何度も提案を蹴られたり、修正を強いられたりしたけれど、何とかやり切ることができました。S先生にはとことんお世話になりました。S先生には感謝してもしきれません。
「クラス会議」にかけていたので、本気でとことんやりました。今でも思い出すのは、ダメだというS先生の後を追いかけて、何のことだったかはハッキリしないけれど、後ろから背中に向かって説明しながら「お願いします!」と言い続けたこと。今、考えたら多分、かなりめんどくさいやつだったと思うし、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだけれど、どうお礼を言っていいか分からないくらい、本当にいろんなことを教えていただきました。
そんな研究を経て、間違いなく言えることは、「『クラス会議』は、教育課程に位置づけることができる」ってことです。特別活動に位置づけられた活動として、実践できるどころか、「安心して互いの意見を出し合い、一人ひとりが受け入れられる学級の雰囲気をつくるための 一助となった」、「一人の問題をみんなで考えようとしたり、困っている時に助 け合おうとしたりする雰囲気をつくることができた」ということがまとめられています。これは、ボクが担当した研究ですが、滋賀県の教育に関わる方々の決裁を受けた、滋賀県の研究としてがっちり公開されています。
https://www.shiga-ec.ed.jp/www/contents/1438560606804/files/07kiyou.pdf
よかったら、時間のある時に読んでいただけるとうれしいです。
ちょっと長くなってしまったので、どのように位置づけるのかということは、次回で説明することにしますね。お楽しみにー。
店長敬白。