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映画『ベル・エポックでもう一度』(フランス映画)
フランスの大人のラブ・コメディー映画『ベル・エポックでもう一度』(2019)は、改めて映画のすばらしさを、存分に感じさせてくれる作品です。
【あらすじ】かつての売れっ子イラストレーターだったヴィクトルは、業界のデジタル化の流れに対応しようとせず仕事もなくなり、家で不平不満ばかりいう生活を送っています。そして、とうとう、愛想をつかされ、妻のマリアンヌに家を追い出されしまいます。そして、その妻は、友人である精神科医であるフランクと同棲を始めてしまいます。
すべてを失ったヴィクトルは、ちょうどその頃、息子からプレゼントされていた体験型「タイム・トラベラー」を利用することにします。そして彼が、リクエストしたのは、1974年5月のカフェ「ラ・ベル・エポック」でした。
「ベル・エポック」とは、19世紀後半から1920年第にかけてのフランス・パリの豪華絢爛な栄光の時代を表した言葉ですが、映画の中のベル・エポックは、1974年のリヨンです。この映画の中のベル・エポックとは、ヴィクトルとマリアンヌの二人にとって最も輝いていた時を指しています。
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映画『アバウト・ア・タイム』で父親が最後にリクエストしたタイムトラベラーがとても印象な場面として心に残っていますが、本作も、幸福な一時の時間が、いかに人生において重要なものであるかを、改めて教えてくれる作品です。
妻のマリアンヌが最後に放つ「あなたと結婚したことを後悔しているわ。でもそれでもあなたが愛おしい。なぜなら、運命の人だから」のセリフにすべてが集約されています。
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このマリアンヌを演じているのは、フランスを代表する女優の一人で、フランソワ・オゾン監督の『8人の女たち』にも出ていたファニー・アルダンです。このファニー・アルダンの運命の人と言えば、フランソワ・トリュフォーが、まず浮かびますよね。ファニー・アルダンは、フランソワ・トリュフォーの最後のパートナーで、『隣の女』と遺作『日曜日が待ち遠しい』の主演女優として知られています。そして、本作『ベル・エポックでもう一度で』でセザール賞を受賞しています。
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一方、主人公の夫ヴィクトルを演じているのは、ダウン症の青年との交流を描いた『八日目』で、カンヌ国際映画祭の主演男優賞を受賞したダニエル・オートゥイユです。また、ミヒャエル・ハネケの『隠された記憶』でも、主演していました。
そしてフランスの有名なコメディー映画『メルシィ!人生』の主演で最も認知されているのではないでしょうか。プロデューサー役で出ている、ギョーム・カネもそうですが、フランスを代表する男優たちは、コメディー映画の中で、哀愁を漂わせるテクニックが、本当に凄いと思います。
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