授業開き(教科開き)を極めて,模擬授業の力,面接の語りの力を高めよう!
本日は,偶数日なので,
【初歩から学ぶ模擬授業の合格戦略】
をお届けします。
本日のテーマは,
【授業開き(教科開き)を極めて,模擬授業の力,面接の語りの力を高めよう!】
です。
授業開きとは,教科開きとも呼ばれ,ある学年でのある教科の最初の授業でのことです。
どの学年のどの教科でもその年度で最初の授業というものがあります。
多くの場合,4月の最初の授業になります。
授業開きは,その教科のその年度での最初の授業ですので,その年のその教科の方向性を決める重要な授業となります。
子どもにその教科に対する教科を持たせ,「よし,勉強するぞ!」という意識を生みださせる絶好の機会です。
授業開きに失敗すると1年間,その後遺症は続きます。
授業開きの目的は,概ね4つあげることができます。
1.教科の目標を明らかにする。
2.児童生徒の興味関心を教科に誘う。
3.学習の仕方を紹介する。
4.教科を学ぶことへの将来への展望,教師からの期待について語る。
これら4つの目的を授業開きの中に入れていく必要があります。
この4つの目的からも明らかなように,授業開きには教師の高い話術が求められます。
子どもたちに教科の魅力を伝え,その教科を学んでみたいという意欲を芽生えさせ,必要に応じて学び方も教える。
その教科に苦手意識を持っている子どもには苦手意識からの脱却の機会となるような語りが求められます。
先日は,授業の最初の5分が授業の成否を決定するというお話をしましたが,1年間の授業全体を一つのユニットと考えると,最初の授業である授業開きがその年度の授業の成否を決定付けると言っても過言ではありません。
授業開きを制する者は,その年度の教科指導を制するのです。
授業開きそのものが教採の模擬授業に出題されることも多いのですが,授業開き自体が出題されないとしても,授業開きを訓練しておくことは,非常に重要です。
授業開きが上手くなれば,授業も上手くなるからです。
授業開きが上手いということは,なぜその教科を学ぶのかが分かっている証だからです。
そして,これは,志望動機にも,教科観,教科指導観にも,繋がっていきます。
河野が模擬授業のトレーニングを行うときは,受講する人の準備状況によっては,まず,授業開きを特訓し,それから,単元を選んでの模擬授業を特訓することもあります。
授業開きができないのに,単元の模擬授業をやっても,教材研究論に終始してしまい,授業そのもののトレーニングをしにくいからです。
必要に応じて,授業開きを経験することが必要です。
授業開きが上手くできるようになると,単元を指定しての模擬授業も飛躍的に上手くなります。
私(河野)は,「教員採用試験の模擬授業の演習のためになぜ授業開きにチャレンジするのか」ということについて,以下の7つのポイントを示しています。
1.普段の癖をチェックし,必要があれば改善するため。
2.音声・音量・プロミネンス・イントネーション・発声等をチェックし,改善するため。
3.表情・身振り・立ち位置・姿勢等をチェックし,改善するため。
4.指導言(発問・解説・指示)の在り方を考え,特に「解説」の部分を磨くため。
5.児童生徒の興味関心を勝ち取る話の内容,話術を磨くため。
6.児童生徒に分かりやすく,明瞭にはなすための内容,話術を磨くため。
7.教科の特質やその教科を学ぶ意義を的確かつ効果的に伝える技術を習得するため。
授業開きが授業としてかなりハイレベルなのは,例えば,板書ひとつをとりあげてもよく分かります。
授業開きの板書はとても重要です。
年度途中の普段の授業より,格段にしっかりと考えて板書計画を練る必要があります。
なぜだか分かりますか?
答えは簡単です。
授業開きとはその年度のその教科の最初の授業です。
子どものノートはまっさらの新品のはずです。
子どもは新しいノートを準備し,まっさらのノートを開き,その1ページ目に,模擬授業での教師の板書を書き写します。
記念すべきノートの第1ページに相応しい板書であるべきです。
授業開きの最初の5分は,その授業時間だけでなく,その学年1年間のその教科の指導の成否を決定付けます。
学年最初の授業のその最初の5分をしくじると,1年間ずっと後悔することにもなりかねません。
授業開きの最初の5分は,1年間の教科指導を占うものです。
河野が模擬授業演習で授業開きを指導するときには,そういう観点から,単なる話術や授業テクニックだけではなく,最初の授業たるに相応しいかどうかをもチェックします。
そうは言っても,最初はなかなか上手くできるものではありません。
だから練習するのです。厳しいコメントも受け入れるのです。
私は授業開きのコメントはかなり辛辣です。
普段はエンジェルなのですが,この時だけはデビルになります。
優しい指導観がこもったデビルになります。
授業開きを模擬授業として練習することは有益です。
ただ,一つだけ,注意すべきことがあります。
授業開きを模擬授業として演習するときは,しっかりとした助言者についてもらった方がはるかに効果的です。
初心者だけで授業開きを見せ合っても,あまり効果のある学びにはなりません。
やはり,経験がある人に,しっかりとしたアドバイスや,ちょっとした実演をみせてもらうということが必要です。
それなしには,なかなか授業力は向上しませんし,授業のアイデアを思いつくような能力を育むことができません。
模擬授業の練習というと,すぐに単元の授業の演習ばかりをしがちですが,まずは授業開き(教科開き)をやっておくと,個人面接の志望動機や教科に関する質問などにも,とても効果的に答えることができるようになります。
自分が教える教科についての理解と情熱,そして,子どもに何を伝え,何を学んでほしいかを盛り込んでいくのが授業開きなのですから。
皆さんも,模擬授業の練習の際に,時には,授業開きにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
河野正夫
レトリカ教採学院