竹生島クルーズで琵琶湖を満喫 こっそり教える太鼓判の滋賀県観光地 ②
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日本一の面積を誇る雄大な琵琶湖。観光船で島めぐりや花見を楽しもう。
竹生島
奥琵琶湖にぽっかりと浮かぶ孤島が竹生島だ。琵琶湖八景にも選ばれている。島周辺は、水深70メートルを超えて、琵琶湖の最深部も近くにある。島は鬱蒼とした樹々と花崗岩で覆われて、荒々しくも神々しさを感じる。さすがに日本一広い湖だが、鳥達は他に湖上で羽根を休める場がないせいか、竹生島の北側樹林でカワウの糞害が深刻化した。大量の糞で樹林が禿げてしまったのである。しかし、観光船で行くぶんには、この糞害はほとんど気にならないだろう。観光船が船着場につくと、伽藍群を見上げる形になる。
竹生島は無人島と言われているが、正確に言えば片時も人が居なくなることはない。なぜなら、寺と神社の職員が毎晩の宿直を勤めているからだ。よって、竹生島は無住の島なのである。辺りは真っ暗なのにローソクの番などは慣れないと大変だろうな。島には寺と神社があるが、元々は特に区別されることはなかった。船着場から鳥居をくぐって急な階段を昇る。高い所から見下ろす琵琶湖は爽快だよね。
船着場に降りた客が階段に押し寄せるので、向かって右手の緩やかなスロープの先の神社から回るのも手だ。
船着場付近に土産屋も軽食もあるが、本格的な食事は期待できないので、クルーズの前後のお楽しみにしたい。
宝厳寺
西国三十三所の第三十番札所なので、観光気分に浸った拝観者に混じって、巡礼者の一団が訪れることもある。西国巡礼は宝厳寺が竹生島にあるために、歩いて満願するのは事実上不可能となっている。泳いで竹生島に行くのもかなり辛いと思われる。
大昔に消失したとされ、近年に再建された三重塔だけは真新しい。大阪城から移築された唐門は、思わずうっとりするほど煌びやかだ。
船廊下を渡るとさらにテンションが上がる。
都久夫須麻神社
船廊下を渡った先が、都久夫須麻神社である。
江島神社、厳島神社とともに、日本三大弁財天に数えられる。本殿は国宝に指定されている。
舞台からかわらけを投げて鳥居を通すと願いが叶うと言われている。万城目学の小説『偉大なるしゅららぼん』でもかわらけ投げのシーンが出てくる。
私もやってみたが、初めてだと全く距離感が掴めず、大暴投になってしまった。
まさに竹生島は信仰のワンダーランドである。竹生島へは琵琶湖汽船やオーミマリンなどが定期便を運航している。
今日は今津か長浜か
竹生島は滋賀県の観光地の中でも比較的有名じゃないか、どこがこっそり教えるなのだ、というお叱りを受けるかもしれない。竹生島に初詣に出かけるのもいいが、いくつかの航路や季節の中でも、初夏の琵琶湖横断航路が狙い目だ。冬期は日本海からの風が強くて欠航になる日が多いが、初夏は打って変わってその風が心地良くなるからだ。琵琶湖横断航路とは、今津港と長浜港のどちらからでも竹生島を経由して、対岸で降りることができる航路だ。公共交通機関を利用される方は、ぜひこの航路を利用してみてほしい。
そんなわけで、今津と長浜のお薦めを教えちゃう。
今津
今津駅湖岸近くに丁子屋旅館がある。300年を超える歴史を持つ旅籠は、建物も年季が入っている。今はほとんど宿泊客がおらず、食事がメインになっているという。
鯉の洗い、琵琶湖稚鮎の佃煮、ウナギの蒲焼き、琵琶湖ホンモロコの網焼き、鴨鍋、〆のうどん、
これほどの豪華食材が出てきておひとり様8,000円(税込)ポッキリとは、信じられない安さである。
各界著名人を魅了した隠れた名店だ。
今津には、ヴォーリズ建築などの瀟洒な建物が点在するが、いずれも駅から遠い。日を改めてゆっくり訪れたいものだ。琵琶湖周航の歌資料館は、近江今津駅から今津港に向かう道すがらにあったが、150mほど北にある今津東コミュニティセンター内に移転した。琵琶湖就航の歌は国民的な唱歌として知られ、団塊世代より上のほとんどの方は、ソラで歌えるほど愛されている。館内では様々な関連資料とともに、あらゆる歌手や合唱団が歌った琵琶湖就航の歌を試聴することができる。個人的にはフランク永井の歌唱が好きだ。
丁子屋から歩いてすぐなので、ちょっと立ち寄ってみたい。
今津港から眺める琵琶湖はまた格別なんだな。
黒壁スクエア
かつては閑古鳥が鳴いていた長浜の商店街だが、黒壁の建物を中心に住民有志が再興させて、湖北の観光拠点として賑わうようになった。黒壁スクエアには多くの飲食店があるが、郷土料理の定番をお薦めしたい。
翼果楼の焼き鯖そうめんは、甘辛く煮つけられた鯖とそうめんがベストマッチだ。この味は関ヶ原以東のほうが好まれる気がする。そうめんに搦んだ煮汁が最高に美味いんだ。
茂美志やののっぺいうどんは、のっぺい汁に使われる根菜中心の具材を、あんかけうどんにした長浜の郷土料理だよ。特大のしいたけが美味い。しいたけって松茸より美味しいよね?
黒壁スクエアには多くの店がひしめいており、通好みの店も他にあるが、長浜名物ならこのどちらかを選べば間違いない。決して話題先行ではなく、評判に違わない味を出し続けている。他にもガラス工芸やらフィギュア博物館やらがあるから、食事に買い物に飽きることはない。
多景島と沖島
日蓮宗の見塔寺がある孤島は、彦根港から船で行ける。
上陸便と眺めるだけの便がある。興味がある方は入島して境内も拝観してみるがいい。
沖島には堀切新港からの定期便で行ける。駐車場もあるし、船は便数も比較的多く、そんなに不便はないだろう。
集落を歩くことが好きな方は、ぜひ訪れたい島である。
沖島は、日本で唯一の淡水有人島で、比叡山に攻められて堅田から追われた人々が住み着いたとされる。半農半漁で生きる島民は、狭い路地に肩を寄せ合うように暮らしている。
漁協で手作りの琵琶湖の恵みを買い求めるがいい。過疎化によって年を追うごとに人口は減っているが、沖島の生活文化は途絶えないでほしいものだ。
海津大崎の桜
琵琶湖の最奥にある岩礁が海津大崎で、琵琶湖八景と日本さくら100選にも選ばれている。湖岸線にズラリ並ぶ桜が咲き誇る様は壮観だ。各社から様々な便が出ているので、比較検討するだけで楽しい。
桜のシーズンは桜並木の狭い道がノロノロ運転になるので、船で沖から桜を眺めるのがおすすめなのだよ。カヌーを漕いで見に来る人も少なくない。
マキノからは屋形船も出ている。また、マキノ駅からはメタセコイア並木へのバスが出ているので、桜の季節に合わせて行くのも一案だろう。
次回は、近江商人屋敷とその周辺をめぐる。
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